公開日:2022年01月29日
最終更新日:2022年03月24日
リースとは、借りる側からみると「物件を借りて使用料を支払う取引」であり、貸す側からみると「物件を貸して、使用料を受け取る取引」です。
リース資産については、「ファイナンス・リース」「オペレーティング・リース」に区分されます。
法人税については、平成19年度の税制改正において、リース会計基準の改正に対応して税務の取扱いが変更されている点に注意が必要です。
リース資産とは、リース契約によって取得した、購入したと同然の効果とコスト負担を持つ資産です。
たとえば、リース契約をした工作機械、事業用車両、重機、コピー機、パソコンなどの資産が該当します。
物件の所有者である貸す側は、その物件の借りる側に対してリース期間にわたって、使用する権利を与えます。
一方借りる側は、貸す側にリース料金を支払います。
リース取引は、契約内容によって大きくファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に区分されます。ファイナンス・リース取引はさらに所有権移転ファイナンス・リースと所有権移転外ファイナンス・リースに区分されます。わが国におけるリース取引の多くが、このファイナンス・リースによって行われています。
ファイナンス・リース 資産を購入した場合と同等の金額を借りる側がリース会社に支払って、資産を使用する契約です。①リース期間の中途で解約が禁止されていること(中途解約禁止) ②物件価額と付随費用がリース料でおおむね全額回収(90%以上)されること(全額回収) の2つの要件を満たす取引です。 借りる側は、当該資産の使用に伴って発生する費用を実質的に負担します。 ファイナンス・リースは、さらに「所有権移転ファイナンス・リース」と「所有権移転外ファイナンス・リース」に区分されます。
法人税法上は、すべての所有権移転外ファイナンス・リース取引について、売買があったものと取り扱われます。 |
オペレーティング・リース オペレーティング・リースとは、ファイナンス・リース以外のリース取引です。前述したファイナンス・リースの「中途解約禁止」と「全額回収」の両方、またはいずれかの要件を満たさないリース取引をいいます。 ユーザーにとっては、「全額回収」しないことで、リース料総額が安くなることから魅力的なリース取引ではありますが、リース会社にとっては全額回収できない部分を中古市場などで回収しなければならないというリスクが生じます。 わが国では、自動車リースの分野でオペレーティング・リース取引が多く行われています。 |
リースとレンタル、割賦販売の違いは、以下のとおりです。
リース | レンタル | 割賦販売 | |
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対象物件 | 機械設備、車両、ソフトウェア等 | 機械設備のうち汎用性のある機種、車両等 | 機械設備 |
利用目的 | 長期 | 短期 | 長期 |
ユーザー | 主に法人 | 主に個人 | 法人・個人事業者 |
契約期間 | 長期間 | 短期間 | 長期間 |
解約の有無 | 原則として中途解約できない(損害金を支払えば解約か) | 中途解約できる | 中途解約できない(一括返済すれば解約可) |
物件の所有権 | リース会社 | レンタル会社 | 買主に移転、売主に所有権が留保 |
物件の管理 | リース会社 (固定資産税、保険料等の支払・手続きを行う) |
レンタル会社 (固定資産税、保険料等の支払・手続きを行う) |
買主が行う |
物件の保守・管理 | リース会社が行う | レンタル会社が行う | 買主が行う |
代金の扱い | リース料は経費 | レンタルは経費 | 代金のうち、物件価格については減価償却し、手数料が経費扱い |
契約終了時 | 物件返還または再リース | 物件返還 | 所有権が移転する |
オペレーティング・リース取引は、通常の賃貸借取引に準ずる会計処理によって処理をします。これは、支払リース料を費用処理する方法です。
ファイナンス・リース取引については、所有権移転であっても所有権移転外であっても、通常の売買取引に準ずる会計処理によって処理します。
中小会計指針では、所有権移転外ファイナンス・リースについて賃貸借処理することも認められています。ただし、この場合には「未経過リース料」を注記する必要があります。
リース取引の種類 | 処理方法 |
---|---|
所有権移転ファイナンス・リース | 売買処理 |
所有権移転外ファイナンス・リース | 売買処理(賃貸借処理の場合は、注記をする必要がある) 賃貸借処理が認められるもの ①リース料総額が、有形固定資産の資産計上基準(税法では10万円)以下のリース取引 ②リース期間が、1年以内のリース取引 ③リース契約1件あたりのリース料総額が300万円以下のリース取引 |
オペレーティング・リース | 賃貸借処理 |
ファイナンス・リース取引については、売買処理によってリース取引開始日に、リース物件とこれに関する債務を、「リース資産」・「リース債務」として計上します。
リース資産の計上額は、見積現金購入額で、リース契約締結時に合意されたリース料総額から、これに含まれている利息相当分を控除した額です。
この利息相当額については、原則としてリース期間にわたり利息法によって配分します。
定額法によって配分することもできますが、税務上は利息法の方が早く費用化できるというメリットがあります。
所有権移転ファイナンス・リース取引におけるリース資産の減価償却費は、自己所有の固定資産に適用する減価償却法と同一方法によって計算します。
一方、所有権移転外ファイナンス・リース取引におけるリース資産の減価償却費は、原則としてリース期間を耐用年数として、残余価格をゼロとして企業の実態に応じたものを選択します。
税務上のリース期間定額法によることも、できます。リース期間定額法とは、リース資産の取得価額をリース期間で月数按分した金額を、各事業年度の「償却限度額」とする方法です。
リース資産については、売買処理が原則です。
所有権移転外ファイナンス・リースについては、①リース料総額が、有形固定資産の資産計上基準(税法では10万円)以下のリース取引、②リース期間が、1年以内のリース取引、③リース契約1件あたりのリース料総額が300万円以下のリース取引については、賃貸借処理が認められています。
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①リース債務返済スケジュールを作成 まず、リース債務の返済スケジュールを作成します。以下は利息法により各期に配分する方法です。リース料総額は540万円、見積現金購入価額500万円とします。リース料総額から見積現金購入価額を引いた40万円が利息相当額となります。 利息法とは、各期の支払利息相当額をリース債務の未返済元本残高に一定の利率を乗じて計算する方法です。ExcelのRATE関数を用いることで利率を求めることができます。
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②リース資産の減価償却 リース資産の減価償却を行います(リース期間定額法を採用)。 初年度の費用処理額は、減価償却費1,666,667円、利息相当分は216,874円となります。 消費税額は、リース料総額(540万円)×税率(10%)=54万円を初年度に仕入れにかかる消費税額として処理をします。 税務上、所有権移転外リース取引に該当するので、リース期間定額法による減価償却費、および利息相当額は、全額損金算入することができます(償却明細書作成が必要)。
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所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース会計基準で、リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合に、以下の簡便な会計処理が認められています。
①リース料総額から利息相当額を控除しない方法 ②利息相当額を定額法により配分する方法 |
「リース資産総額に重要性が乏しい」とは、以下の計算式で10%未満の場合です。
日本においては、上場企業の9割近くが10%未満に該当すると想定されています。
未経過リース料の期末残高÷(未経過リース料の期末残高+有形固定資産および無形固定資産の期末残高)<10% |
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①リース料総額から利息相当額を控除しない方法
リース資産、リース債務はリース料総額で計上します。 支払利息は、計上せず減価償却費のみ計上します。 ①リース債務返済スケジュールを作成
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②リース資産の減価償却 リース資産の減価償却を行います。 初年度の費用処理額は、減価償却費180万円(リース期間定額法)となります。 消費税額は、リース料総額(540万円)×税率(10%)=54万円を初年度に仕入れにかかる消費税額として処理をします。 所有権移転外ファイナンス・リースに該当するので、減価償却費は全額損金算入することができます。
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②利息相当額を定額法により配分する方法
リース資産、リース債務は原則法と同じように計上し、利息相当額を定額で配分します。この方法によれば、利息法の計算は不要となります。
①リース債務返済スケジュールを作成
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②リース資産の減価償却 リース資産の減価償却を行います。 初年度の費用処理額は、減価償却費166万6,667円(リース期間定額法)、利息相当額は133,333円となります。 消費税額は、リース料総額(540万円)×税率(10%)=54万円を初年度に仕入れにかかる消費税額として処理をします。 所有権移転外ファイナンス・リースに該当するので、減価償却費は全額損金算入することができます。
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リース会計基準では、所有権移転外ファイナンス・リース取引について、以下の①から③のいずれかに該当する場合には賃貸借処理することを認めています。
①リース料総額が、有形固定資産の資産計上基準(税法では10万円)以下のリース取引 ②リース期間が、1年以内のリース取引 ③リース契約1件あたりのリース料総額が300万円以下のリース取引 |
中小企業庁が作成した中小企業の会計に関する基本要領では、「リース取引に係る借手は、賃貸借取引または売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う」とされましたが、中小企業のほとんどは賃貸借処理をしているので、実態にあったものとして評価されます。
リース取引を賃貸借処理した場合には、以下のような仕訳となります。
「見積現金購入240万円の機械を、リース料総額300万円、リース料月額5万円、60回払いのリース契約とした。重要性が乏しいリース取引に該当するため、賃貸借処理によって処理をする。」
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リース取引は、ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に区分され、ファイナンス・リース取引はさらに「所有権移転ファイナンス・リース」と「所有権移転外ファイナンス・リース取引」に区分されます。
所有権移転リース取引は、自社所有の固定資産と同様に減価償却法により、所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース期間定額法に依って減価償却を実施します。
重要性の乏しいリース契約は、通常の賃貸借取引における方法に準じて処理をすることができます。
法人税については、平成19年度の税制改正において、リース会計基準の改正に対応して、すべての所有権移転外ファイナンス・リース取引について、原則として売買があったものと取り扱われ、賃貸借処理の場合には注記が必要とされています。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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