飲食費(食事代)|残業の食事・接待などの勘定科目

公開日:2022年03月02日
最終更新日:2024年06月26日

この記事のポイント

  • 食事代(飲食費)は、その内容によって勘定科目が異なる。
  • 従業員への食事代(飲食費)は、給与や交際費とみなされることがある。
  • 1人あたり5,000円以下の食事代(飲食費)は、「会議費」として処理が可能。

 

事業を行ううえでは、取引先の接待や従業員の残業時の食事代、打ち合わせの際の飲食費といった支出は欠かせないものです。
しかし同じ食事代(飲食費)といっても、その内容によって使用する勘定科目は異なりますので注意が必要です。
 

飲食費の勘定科目の豆知識

飲食費(食事代)に関する勘定科目としては、「交際費」、「福利厚生費」、「会議費」などがあります。
交際費は、取引先や仕入れ先、その他事業に関係する人に対して行う営業上必要な接待交際のために使った費用を処理するための勘定科目です。ただし、支払先を明らかでない、支払先を証明できない交際費は、経費として認められません。
福利厚生費は、従業員が残業したときの食事代や、社員食堂での食事提供、ケータリングによる食事代を提供したときに使用される勘定科目です。
会議費は、取引先など社外の人が参加していて、1人あたり5,000円以下で、一定の記載がされた書類を保存している場合に適用されます。この場合、費用は「交際費」ではなく「会議費」として処理されます。
税務調査では、これらの支出の内容を細かく確認されることもあります。そのため、どの勘定科目を設定するかは、早めに税理士に要件や必要な書類等を確認し、適切に処理することが重要です。

食事代(飲食費)の勘定科目

食事代(飲食費)の勘定科目としては、「交際費」「福利厚生費」「会議費」などがあります。
交際費とは、取引先、仕入先などに対する飲食代やタクシー代などの支払いを処理する時の勘定科目で、福利厚生費は従業員の残業食事代や従慰安旅行などの支出を処理する時の勘定科目です。また、1人あたり5,000円以下の食事代(飲食費)は、「会議費」として処理することができます。

(1)取引先の接待【交際費】

交際費とは、取引先や仕入れ先、その他事業に関係する人に対して行う、営業上必要な接待交際のために使った費用を処理するときに使う勘定科目です。
食事代(飲食費)だけでなく、取引先や仕入れ先等に対するタクシー代やお中元、手土産、ご祝儀、見舞金等の支出も交際費で処理をします。
また、「事業に関係する人」には、役員や自社の従業員、株主も含まれます。

交際費は、税法上は「冗費(じょうひ・むだな費用)の濫用を防ぐ」という目的から、交際費のうち接待飲食費の50%相当額しか損金算入することができません。
ただし、資本金1億円以下の中小法人については、年間800万円以下の交際費を損金算入することが認められています。

交際費の損金算入限度額(令和2年4月1日以後)のまとめ

①期末の資本金の額又は出資金の額が100億円を超える法人
支出する交際費等の額の全額が損金不算入

②上記①以外の大会社
新限度額

③中小会社
新限度額と従前限度額との選択適用

新限度額は、以下の計算式で計算します。

(交際費の額のうち、飲食費の額)×50%

参照:国税庁「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」

(2)残業食事代を支払った【福利厚生費】

従業員が残業したときの食事代や、社員食堂における食事提供、ケータリング等による食事代を提供したときは「福利厚生費」という勘定科目を使います。
福利厚生費は、食事代のほか社員旅行、結婚祝い金、定期健康診断、資格取得費、サークル活動補助金などの支出を処理するときにも使用する勘定科目です。

(3)従業員に対する食事代(飲食費)の消費税率

福利厚生費は、従業員にどのように食事を提供したかによって、以下のように軽減税率など消費税区分が混在しますので注意が必要です。

内容 ポイント 消費税適用税率
残業食事代 コンビニやスーパーなどで購入した弁当、パンなど 8%
社員食堂 社員食堂という飲食設備(場所)において食事の提供をする。 10%
ケータリング 再加熱等のサービス提供がある場合は、食事の提供に該当する。 10%
出前・宅配・弁当の配達 再加熱等のサービス提供がない場合には、飲食料品の譲渡と考える。 8%
会議室への飲み物の配達 出前と同様再加熱等のサービス提供がない場合には、飲食料品の譲渡と考える。 8%
ホテルの会議室にホテルから配達してもらう場合 ホテルの会議室にホテルから配達してもらう場合には「場所の提供がある」と考える。 10%

(4)食事代(飲食費)は一定額を超えれば「給与」や「交際費」

取引先など社外の人が参加していて、1人あたり5,000円以下で一定の記載がされた書類を保存している場合には「交際費」ではなく「会議費」として処理します。
ただし交際費と会議の区分は難しく、税務調査で問題にされることがあります。したがって、会議の内容や開催時期、出席者などを証明できるように一定の記載がされた書類を準備しておくことが必要です(※後述)。

また、福利厚生費も一定額を超えたり一部の従業員だけを優遇したりするような場合には、給与や交際費とみなされることがあります。
給与とみなされれば所得税の課税対象となり、源泉徴収しなければならなくなりますし、役員であれば役員賞与となり全額が損金不算入となりますので、注意が必要です。

(5)打ち合わせの食事代【会議費】

事業を行ううえで開かれる会議で必要となる弁当代、資料代、室料などは、「会議費」という勘定科目で処理をします。
食事代については、1人あたり5,000円以下であれば、一定の書類を保存することを要件として交際費ではなく会議費で処理することができます。
なお、1人あたり5,000円以下であっても居酒屋など酒宴の席で打ち合わせをした場合には、会議ではなく交際費となります。

会議費として計上するためには、その内容が会議としての実態を備えていることが必要となり、以下の事項を記載した書類を保存しておく必要があります。

①その飲食のあった年月日
②その飲食等に参加した取引先など、事業に関係する人の氏名、名称、およびその関係(「○○株式会社○○部、〇田〇子 販売先」というように記載します。
③その飲食等に参加した人数
④その費用の金額、その飲食店、料理店等の名称と住所
⑤その他参考となる事項

①②については、領収書に記載がありますので、③④⑤を領収書の余白にメモしておけば、書類として使用することができます。

なお、飲食の帰りに渡したタクシー代や贈答品は、金額が5,000円以下であっても「交際費」で処理をします。また、5,000円を1円超えたからといって「5,000円までを会議費として処理し5,000円を超える部分を交際費として処理する」ということはできません。
あくまでも実態に応じてその全額を「交際費」または「会議費」として処理します。

食事代(飲食費)の仕訳例

食事代(飲食費)は、その内容によって交際費、会議費、福利厚生費などの勘定科目を使って処理をします。
ここでは、食事代(飲食費)の主な仕訳例についてご紹介します。

(1)取引先の接待をした

「居酒屋で取引先の接待を行った。飲食費として33万円を飲食費、交通費(タクシー代)を2万2,000円、現金で支払った。」

借方 貸方
交際費 302,000 現金 332,000
仮払消費税等 32,000

従業員が全員参加する旅行に取引先も招き、その費用を負担したときは、従業員の分は福利厚生費、取引先の分は交際費と分けて処理をします。

(2)残業食事代を支払った

「従業員の残業食事代として、コンビニで弁当を購入し、現金で6,480円支払った。」

借方 貸方
福利厚生費 6,000 現金 6,480
仮払消費税等 480

(3)打ち合わせの食事代を支払った

「取引先と打ち合わせの際に昼食をとり、現金で32,400円支払った。」
1人あたり5,000円以下の飲食費は、一定の書類(年月日、参加した取引先の氏名、名称、関係、参加した人数など)を保存することを要件として交際費から除外され、会議費として処理することができます。

借方 貸方
会議費 30,000 現金 32,400
仮払消費税等 2,400

食事代(飲食費)の管理は会計ソフト

食事代(飲食費)の管理は、「クラウド会計ソフト freee会計」を活用すれば、入力から管理まで簡単に行うことができます。

(1)食事代(飲食費)は会計ソフトで簡単入力

「クラウド会計ソフト freee会計」は、簿記の知識がなくても感覚的に操作できるように工夫されています。
入力内容から候補となる勘定科目が提示されるので、仕訳作業を簡単に行うことができますし、クレジットカードやネットバンキングと同期させれば、入力作業自体も自動で行われます。

▶ 銀行・クレジットカードの登録・同期

(2)費用レポートで管理できる

入力した費用はリアルタイムでグラフ化され、費用レポートで確認することができます。食事代だけでなく、仕入高や外注費給料手当など費用内訳を確認することができるので、適切に費用管理を行うことができます。

費用レポート

まとめ

飲食費(飲食代)は、食事をした相手を接待した場合には「交際費」、残業した従業員に提供した食事は「福利厚生費」、事業を行うために必要な会議を行った際には「会議費」として処理をします。
なかでも、交際費と会議費は区分が難しく、税務調査の対象となったときには問題視されるケースが多々あります。
会議の開催日時、場所、出席者、会議内容などの記録は適切に作成して保存時、税務署から指摘があったときには会議の実態を証明できるよう準備をしておきましょう。

飲食費(飲食代)の処理について相談する

freee税理士検索では数多くの事務所の中から、飲食費(飲食代)の処理について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

 

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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