経費削減|削減のポイントは?人件費はどうコントロールする?

公開日:2019年10月30日
最終更新日:2022年07月04日

この記事のポイント

  • 経費削減の第一歩は、何にいくら使っているかを正確に把握すること。
  • 固定費は売上ゼロでもかかる費用。経費削減のカギは「どれだけ固定費を減らせるか」。
  • 固定費のなかでもっとも大きなものが人件費である。

 

経費を削減するのは、時としてお金を稼ぐより難しいことがあります。
経費を上手に使うためには、何にいくら使っているかを把握して削減しやすいものを細かくチェックすることが大切です。

会社の経費のなかで最も大きいものは人件費ですが、人件費をやみくもに削減するのは、従業員のモチベーションを下げ貴重な人材の流出につながることもあるので、おすすめできません。まずは人件費以外の費用がどれだけかかっているのか、そしてそれらの経費を削減する方法はないかを考えることが大切です。

経費削減のポイント

営業利益を増加させる方法は、大きく「売上高を上げる」「売上原価を下げる」「販管費を下げる」の3つの方法がありますが、なかでもまず検討したいのが「経費削減を行う」という方法です。
なぜなら、「売上高を上げる」「売上原価を下げる」という方法は、実現できるか否か不確定であり、そのうえ効果が出るまでに時間がかかることが多いからです。
一方「経費削減を行う」という方法はどの項目についていつから削減するかを検討し実施すれば、ほぼその通りに削減することができて営業利益を増加することができるからです。

(1)経費削減のカギは「どれだけ固定費を減らせるか」

損益計算書では「何に使ったのか」という使いみちごとに費用が分類されていますが、この費用は「売上がゼロでも必ずかかる費用(固定費)」と「売上がゼロならかからない費用(変動費)」に分けることができます。

固定費
固定費の代表は、オフィスの家賃や人件費などです。
固定費は、売上がゼロでも必ずかかる費用なので、固定費が大きいと売上が減った時に赤字が膨らんでしまいます。逆に言えば売上が伸びても変わらないので固定費を低く抑えることができれば、売上の伸び率以上に利益の伸び率は大きくなります。

変動費
変動費の代表は、売上原価です。売上原価は、商品やサービスが売れた分だけを計上するルールとなっているので、売上がゼロならば売上原価もゼロになります。

理想的なのは変動費や固定費がともに少なく、利益がしっかりと確保できている状態です。変動費や固定費が増えてバランスが崩れれば、会社は赤字に陥り経営を継続することが難しい状態になってしまいます。

中小企業の場合には、固定費が多くなる理由として人件費や家賃の増加が考えられ、変動費が多くなる理由としては仕入れや外注加工費の増加が挙げられます。
特に固定費は、売上がゼロでもかかる費用なので、固定費を削減することは、事業を行ううえで、非常に重要です。

たとえば、売上が1.5倍になった時に変動費と固定費がどのように変化するかを見てみましょう。

売上高 100 売上高 150
変動費 50 変動費 75
固定費 45 固定費 45
利益 5 利益 30

上記では、売上高が1.5倍になると、変動費は比例して1.5倍になります。一方固定費は変動しません。そこで、1.5倍になった売上高から変動費+固定費を引くと、6倍になった利益が計算できるということになります。

このように、固定費をどれだけ減らせるかが経営の安定のために重要となるわけです。

固定費を削減するためには、たとえば商品の生産を外部業者に委託して自社工場の維持コストをなくしたり、オフィスの家賃を見直したりすることを検討しましょう。

(2)固定費のなかで最も大きい「人件費」

固定費のなかでもっとも大きなものが人件費です。
しかし、だからと言ってやみくもに人件費を削減することはできません。人件費を削減すれば、よい人材が確保できなくなったり優秀な人材が辞めてしまったりというリスクがあるからです。
また、逆に「損益トントン」でもいいから、なるべく多くの給与を従業員に還元したいという考え方もあるでしょう。確かに、従業員も同業他社と比べて給与が高いのであれば、モチベーションはアップしますし優秀な人材を確保できる可能性も高まるでしょう。
しかし、高い給与を払い続けた結果、会社がつぶれてしまっては元も子もありません。

それでは、給与はどのくらいを目安にすべきかというと、もっとも簡単なのは粗利を「運営費」「人件費」「内部留保」の3つに分けて考える方法です。つまり、粗利の1/3を人件費に充てることを目安とします。そして、そのなかで従業員が納得できる給与額を設定します。
人件費を上手にコントロールすることができれば、長く定着する従業員を持つことができます。人の入れ替えがあれば、そのたびに採用コストがかかりますから、長く定着する従業員を持つことはとても大切です。

また、従業員に長く働いてもらうためには、従業員が納得できる給与の評価基準があることが必要です。
転職理由の上位に必ず入ってくるのが「きちんと評価されていない」という理由であることからも分かるように、従業員にとっては、評価をされていない環境で仕事を続けるのは大変厳しいものなのです。
もちろん、誰もが納得できる評価基準をつくるのは困難なものですが、少なくとも会社に利益をもたらしたら、それがきちんと従業員に還元される仕組みがあることは、非常に大切であるということは忘れないようにしましょう。

また、残業させない体制づくりも必要です。残業代は割増賃金となるので通常よりコストがかかります。また残業が続けば従業員の疲れが蓄積されていくので、生産性がどんどん下がってしまいます。したがって、定時で帰るのが当たり前の環境をつくることも心がけましょう。

さらに、従業員への給与の一部を歩合制や変動制のボーナスに移して、会社の業績に応じて変動させたりするなどして、固定費を変動費化することも有効です。

経費削減を進めるためには

これまでご紹介してきたように、経費を適切に管理するためには、「費用を固定費と変動費に分ける」「固定費をなるべく抑える」ことが大切です。

ただし、中小企業の場合には、経営者が営業も経理も行っていることも多く、そのような中でさらに費用の増減をチェックするのは、なかなか大変なものです。そんな時に活用したいのが、「クラウド会計ソフト freee会計」と顧問税理士です。

(1)経費を正確に把握する

「freee会計」は、日々取引を入力するだけで、自動でさまざまなレポートが作成されます。これらのレポートは、グラフや表形式で表示されるので、売上や資金繰りなどはもちろん、費用の内訳まですぐに確認することができます。

費用レポート
費用レポートには、「freee会計」で登録した勘定科目のデータが集計されます。
主要な経費項目の金額推移をひと目で把握することができるので、どの勘定科目が増えたのかをすぐに把握することができます。また、どの費用がどれだけの割合を占めているのかを知ることができます。

クラウド会計ソフト freee会計「費用レポートの見方と活用アイディア」

資金繰りレポート
資金繰りレポートでは、入金額、出金額を勘定科目・口座別に集計されてデータ化されます。また、取引先や品目別に把握することも可能です。「今月はどういった勘定科目で一番お金を使ったのか」「今後のお金の出入りを踏まえた上で、資金ショートを起こさないか」を確認することができるので、経費を適正に管理することが可能になります。

クラウド会計ソフト freee会計「資金繰りレポートでキャッシュフローを確認する」

(2)税理士のアドバイスを活用する

「経費削減」は、国内外問わずすべての企業が取り組んでいるテーマです。
エアコンの温度設定や小まめな消灯など、地道な取り組みを進めている企業は多いですが、それだけでは経営状態が劇的に変化することはなかなか難しいでしょう。

顧問税理士がいれば、現状を正確に把握して経費削減できるものと必要な経費を明確にして、固定費を削減するためのヒントを与えてくれます。

売上を上げるのは経営者自身の方針にかかってきますが、いかに効率よく経費を削減できるかは税理士のプロならではの視点が必要なのです。

まとめ

以上、経費削減するための考え方や、固定費のなかでもっとも大きい人件費をコントロールする方法についてご紹介しました。
どの経費をどれだけ削減するとよいのかは、会社の売上や業種、規模などによって異なりますが、税理士が決算書を分析し売掛金の回収日数や1日の売上高に対する期末の在庫額の割合、従業員1人あたりの月間労働者人件費などの指標を明らかにすれば、おのずと削減すべき経費が明らかになります。
そして、自社にとって最も適切な経費削減対策を行うことができます。顧問税理士のサポートのもと、従業員が納得した形で経費削減のための対策を行うようにしましょう。

経費削減について相談する

freee税理士検索では数多くの事務所の中から、経費削減のアドバイスをしてくれる税理士・会計士や、人事評価についてサポートをしてくれる社労士の認定アドバイザーを検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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