予約販売とは?売上計上はいつ?仕訳はどうする?

公開日:2023年03月02日
最終更新日:2023年03月02日

この記事のポイント

  • 予約販売は、特殊商品販売のひとつ。
  • 予約販売は、引渡しが完了した時点で前受金を売上に振り替える。
  • 予約販売は、商品等の引渡しの前は、収益を認識することはできない。

 

予約販売とは、予約金を受けとって商品や製品等を販売する販売形態をいいます。
予約金受取額のうち、商品の引渡しが済んでいない分については「前受金」として処理をします。
この記事では、予約販売の意味や処理のほか、混同しがちな委託販売や試用販売などの違いについてご紹介します。

予約販売とは

予約販売とは、商品や製品などを将来引き渡すことを約束して、あらかじめ商品代金の一部または全部を受けとって行われる販売形態をいいます。
予約販売の例としては、出版業における全集等の予約販売などがあります。

(1)予約販売は「前受金」を「売上」に振り替える

予約販売の場合には、商品代金の一部または全部を受けとった段階では商品の引き渡しは完了していません。そこで、予約金の受取時には「前受金」として処理をして、実際に商品などの引渡しが完了した時点で、「前受金」を「売上」に振り替える処理を行います。

前受金:商品やサービスを提供する前の代金の受取について処理する勘定科目

(2)予約販売以外の「特殊商品販売」とは

予約販売は、特殊商品販売と呼ばれる販売形態のひとつです。
売上は、商品やサービスの提供を行った時点で計上されます。
しかし、販売形態には、予約販売や委託販売など特殊な販売形態のものもあり、これらについて一般的な売上計上基準を適用すると、実態が適正に反映されなかったり、実務上煩雑になったりするため、特有の会計処理を行います。
このような特殊商品販売として処理する販売形態は、以下のような種類があります。

販売形態 内容
予約販売 あらかじめ顧客から購入の意思表示を受け、商品代金の一部または全部を受け取り、後日商品の引き渡しを行う販売形態
委託販売 商品の販売を自社で行わず、第三者に商品を送って、商品の販売を委託し手数料を支払う販売形態
試用販売 相手方に商品を送って一定期間試用してもらい、そのうえで商品を購入するかどうか決定してもらう販売形態
割賦販売 商品は引き渡しておき、分割払いで代金を回収する販売形態

(3)予約販売と委託販売の違い

委託販売とは、受託者に自己の商品・製品を預けて販売する方法です。
自己の営業所がない地域での販売など、受託者の販売力を活用して売上を増加できることから、広く利用されている販売方法です。

委託販売は、原則として販売を委託された人が委託品を販売した日に売上計上します。
ただし、実務上は委託者が受託者の販売について、その都度把握することが困難なケースがほとんどです。
そこで、受託者の売上報告書(仕切清算書)が委託者のもとに到着した日に売上計上することも認められています。

委託販売 商品の販売を第三者に委託して商品を送り、手数料を支払う 受託者が委託品を販売した日をもって収益計上する。
継続適用を条件として、「仕切精算書到達日基準」も認められる。
予約販売 あらかじめ顧客から購入の意思表示を受けたうえで、商品の一部または全部を受取り、後日に商品の引き渡しを行う 予約金を受け取っても収益を計上しないで、「引き渡した時」に収益を計上する。

(4)予約販売と試用販売の違い

試用販売とは、正式な販売契約以前に取引先に商品等を試用させて、試用した後で取引先が買取の意思表をすることで、売買が成立する販売方法です。

試用販売は、商品を送った段階では、顧客が購入するかどうかまだ分からないという点が、予約販売と異なります。
試用販売においては、顧客から商品の購入する意思表示をした時点で、売上を計上します。

予約販売 あらかじめ顧客から購入の意思表示を受けたうえで、商品の一部または全部を受取り、後日商品の引渡しを行う 予約金を受け取っても収益を計上せず、引き渡したときに収益を計上する。
試用販売 商品を送った段階では、まだ相手方は購入するか分からないが、一定期間試用してもらい、そのうえで商品を購入するかどうか決定してもらう 買主の買取意思表示が必要で、買主が買取の意思表示を行った時点で収益を計上する。

(5)予約販売の売上計上時期

予約販売は、買い手から商品などの購入の予約を受けて予約金を受領するものの、その時点では商品等の引渡しは行われていません。
そこで、予約金受取額のうち、決算日までに商品等の引渡しまたは役務の給付が完了した部分だけを当期の売上高に計上します。そして、残額は貸借対照表の「負債の部」に記載して、次期以降に繰り延べます。

(6)予約販売のよくある仕訳

予約販売では、①予約金受取時・②商品引き渡し時・③代金回収時に処理を行います。

「11万円の商品を予約販売し、予約金として1万円を受け取った。その後商品を引渡し、代金を回収した。」

①予約金を受け取った

借方 貸方
現金 10,000 前受金 10,000

②商品を引き渡した

借方 貸方
売掛金 100,000 売上高 100,000
前受金 10,000 仮受消費税等 10,000

③代金を回収した

借方 貸方
現金 10,000 売掛金 10,000

まとめ

予約販売とは、買い手から商品等の予約を受けて予約金を受け取るものの、その時点では商品等の引渡しは行われていない販売形態をいいます。出版業における全集等の予約販売などが該当します。
予約販売は、特殊な販売形態であり、一般的な売上計上基準を適用すると、実態が適正に反映されず、さらに実務上煩雑であったりします。そこで、①予約金受取時・②商品引き渡し時・③代金回収時に処理を行うという特有の会計処理を行います。

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