契印とは|契約印・訂正印・消印との違い

公開日:2019年11月06日
最終更新日:2022年04月21日

この記事のポイント

  • 契印とは、契約書が複数ページにわたっている場合の印鑑の押し方のこと。
  • 契印は、各ページが正しく連続していることを表すことが目的。
  • 契約書では署名の横に押す契約印のほか、契印、訂正印、消印と呼ばれる押し方がある。

 

印鑑を必要とする文書は多いですが、特に社外向けの文書では、ほとんどの場合で印鑑が必要となります。印鑑にはさまざまな押し方がありますが、契約書においては、契印のほかにも、契約印、訂正印、消印の押し方を覚えておくとよいでしょう。

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契印(けいいん)とは

契印とは、契約書が複数ページにわたっている場合に「それぞれのページが正しく連続しているか」「差し替えなどがないか」などについて明らかにする必要がある時の印鑑の押し方です。
複数ページの文書を見開きにしたうえで、綴じ目の部分と左右のページにかかるように押します。

ただしページ数が多い文書の場合には、見開きにした時に左右のページに厚みが出てしまい、綴じ目に印鑑を押しても、印影がきれいに映らなくなります。
このような場合には、文書の背を帯(製本テープなど)で綴じて、その帯と文書本体にかかるように押します。帯と文書本体にかかるように押した時には、前述した文書の見開きの綴じ目の印鑑は省略することができます。

表紙と表裏紙の両方に押すケースが多いですが、どちらか一方にだけ押しても問題はありません。

なお、当事者欄の契約印が「甲、乙」の順番になっているからと言って、契印も甲が上に押して乙が下に押すべきであるということもありません。
ただし、契印を押す場所も当事者欄の「甲、乙」の順番に合わせておく方が、違和感もありませんし無難でしょう。

(1)契印と訂正印の違い

契約印とは、契約書の末尾の当事者欄に押すものです。
なお契約印は、「名前にかけて押すべき」と思っている人も多いのですが、名前にかけて押しても名前から離して押しても構いません。
さらに言えば、逆さまに押してもその文書の正確性を証明するという意味では、特に問題はないのです。ただし押した人の常識が疑われてしまうこともありますので、避けた方が無難です。

訂正印とは、文書の一部を訂正する時に、その訂正箇所または近くに押すものです。
契約書は正確かつ慎重に作成するべき文書ですが、作成するのは人間ですからミスもあります。
また、文書を作成した後に事情が変わり訂正をしなければならないこともあります。
訂正印は、このような事情がある時に必要となる印鑑の押し方です。

訂正印は、文書の発行者自らが訂正を行っていること、他者による改ざんではないことを示すために押します。

訂正印を押す場合には、以下の手順で訂正を行います。

①訂正したい箇所に取り消し線(-)を引く。
②訂正箇所の近くに、取り消し線で抹消した部分の文字数、および訂正として書き加える文字数を書く。この時の文字数は、文字だけでなく句読点や記号等(\や-など)も数えます。

例:
11文字抹消
9文字追加

③訂正した箇所の近くに、文書の作成者の印鑑を押す

(2)契印と消印の違い

消印とは、契約書の記載内容が印紙税の対象で収入印紙を貼る必要がある場合に、その印紙に押すものです。

印紙税とは、契約書や領収書といった印紙税法で定められた一定の課税文書に課される国税で、印紙を貼るだけでなく消印をしてはじめて「印紙税納付」となります。
印紙を貼っていても、それに消印がなければ過怠税がかかることもありますので注意しましょう。
なお、2人以上の人が共同して作成した場合には、どちらか一方の消印で構いません。

消印は、通常は契約印を使って消印をしますが、契約書の印紙の消印は「印章または署名」と規定されているので、印紙と契約書本体にかけて印鑑を押すのではなく署名をする方法も可能です。
何通も文書を作成して印紙を貼る手間が煩雑な場合には、印紙納付ではなく現金納付も認められていますし、また、税務署で税印を押す方法などもあります。

印紙税が必要ない文書に貼ってしまったり、決められた金額以上の印紙を貼ってしまった場合には、税務署に申告すれば印紙税が戻ってきますので、税務署に相談してみましょう。

印鑑の種類・ルールを知っておこう

ここまで印鑑の押し方についてご紹介してきましたが、あわせて印鑑の種類やルールについて知っておきましょう。
印鑑には、認印、銀行印などいくつかの種類がありますが、契約書で使うのは代表者印(実印)です。

会社を設立する際には、会社の印鑑を会社の本店所在地を管轄する法務局に登録することになっていて、印鑑登録された印鑑を「実印」といいます。

契約書では、この実印を押すことになります。契約書は、会社としての意思表示であり、それを表明する権限は代表取締役にあるからです。
印鑑を押すということは、「この文書の内容に誤りはない」ということを相互に確認し宣言をしたということになります。

(1)実印のルール

会社の実印の大きさには、ルールがあります。
辺の長さが1cmを超え、3cmの正方形に収まるものでなければなりません。
形は丸型でも四角や三角形でもOKですが、丸型の印鑑がほとんどです。
また、印鑑は照合することがありますので、それに適するものでなければなりません。
したがって、外枠が欠けていたり、印影が不鮮明だったりするものは会社の実印には向きませんので注意しましょう。
なお、会社名が入っていることは特に要件ではなく、代表取締役の個人の印鑑を会社の実印として登録することもできます。
ただし、混乱を避けるためにも個人と会社の実印は別々に作成する方がよいでしょう。

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(2)割印・止印は契約書では必要ない

割印とは、2通の文書をずらして重ね、両方の文書にかかるように押す方法で2通の文書の関連性を示すものです。また、止め印とは文書の末尾に押して「ここが文書の末尾である」と示すためのものです。

この割印・止印は契約書においては、不要です。

なぜなら、契約書には、「本契約を2通作成し、甲乙各々1通を保有する」といった内容が末文に記載されているので、「この契約書は2通作成していて、甲乙各々1通を保有している」という文書の関連性を示しているからです。また、このような末文があるということは、そこから後に契約書の条文はないということになります。
したがって、割印や止め印を契約書で押す必要がありません。

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(3)電子印鑑の活用

最近増えてきた電子契約においては、印鑑の押印が法的効力を持ちません。e-文書法(平成16年(2004年)制定・翌年施行)によって、従来どおり紙で契約書を作成せず、電子化した文書のみでやり取りをして契約を締結してもその契約は有効となります。
もちろん、電子印鑑を用意して電子化した契約書への捺印することについても問題はありません。

まとめ

これまでご紹介したように、契約書では署名の横に押す契約印のほか、契印、訂正印、消印と呼ばれる押し方をすることもあります。
取引先と契約書を交わす時には、「契約印、契印を押して下さい」「訂正印をお願いします」と言われることがあります。
これらの使い方は、いわゆる商慣習として定着した方法であり、法律などで定められたものではありませんが、それぞれの印鑑の押し方についてはしっかりと理解しておく必要があります。

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