起業したいと思ったら、まず考えたい5つのこと

公開日:2023年06月02日
最終更新日:2023年10月17日

この記事のポイント

  • 自分の強みを生かせるか?継続的なビジネスモデルか?
  • 必要な運転資金は明確か?当面の生活費は確保できているか?
  • 成功のイメージができているか?経営の基本は理解しているか?

 

人によって起業したいと思う動機はさまざまです。起業スタイルも目指すゴールも、人によって違います。

しかし、起業したいと思ったら、必ず認識しておきたいのが「起業したら、すべては自分次第である」ということです。
目指したゴールに前進できるか、それとも撤退せざるを得ない状況となるかは、自分自身の努力の結果として現れます。

この記事では、起業したい!と思った人が、これからスタートラインに立とうとするうえで、最低限考えたい5つのことについてご紹介します。

起業したい時に考えたい5つのこと

最近は、起業したいと思ったらすぐに行動に移し、その後徐々に事業を拡大して成功する人が増えています。
アイデアを思いついたら、とりあえず最低限の機能、最低限の投資で作った製品やサービスを世に出し、顧客の評価を生かして改良する…といったことを繰り返し、製品やサービスの質を高めてから本格的な事業としてスタートする…といったケースです。
最初から本格的な事業としてスタートしようとしても、初期投資が膨大になりますし、時間がかかって思うように事業展開できないことも少なくなりません。
しかし必要最小限からスタートすれば、製品やサービスをブラッシュアップしながら事業を拡大していくことができ、成功確率は高まるというわけです。

もちろん、だからと言って起業したい!と思ってすぐに行動に移すのは、やはりリスクが伴います。
そこでこの記事では、起業したいと思った時に最低限考えたい5つのことについて、ご紹介します。

(1)ビジネスプランは明確か

起業をしたいと思ったら、まずビジネスプランを明確にする必要があります。
ビジネスプランとは、事業目標や目標を達成するための段取り等をまとめた計画書のことです。

しかし、いきなりビジネスプランを作成しようとしても難しいものです。そこでまずは、自分の強みを確認することが大切です。

①自分の強みは何か
これまでの仕事で培った知識、ノウハウ、人脈、資格など、自分自身の強みを確認したうえで、それを生かせる分野を考えます。

たとえば、メーカーで営業マンとしてのキャリアが豊富なAさんは、そのキャリアを生かして、営業代行で起業しました。その後営業代行のみならず、営業戦略のコンサルタント、営業マンの教育など、ビジネスの幅を広げています。

▶ 3C分析とは?書き方を事例からわかりやすく

②ニーズはあるか
さらに、その分野がどのようなニーズに応える商品・サービスであるかを考えます。
いくら自分の強みであっても、やりたいことであっても、ニーズがなければ事業はうまくいきません。
ニーズがあるかを調べるためには、まず成長市場を分析して世の中全体のニーズの傾向を把握し、そのニーズに応えうるかを考えていきます。
業界新聞や商工会のデータはもちろんSNSのチェックも必要ですし、身近な友人や知人に相談してみる手もあります。
そして、そのニーズに応えられるという確信が持てるか徹底的に検討します。

③収益は見込めるか
その分野で、収益を見込めるかを検討します。
つまり、事業にどれくらいの資金を掛け、どのような仕組みで売り、自分はどのくらい儲けるかということです。
競合はどれだけいるか、小資金で始められるかなども十分な検討が必要です。

(2)資金はどれだけ必要か

起業資金は、初期投資(オフィスや店舗、備品等)と運転資金(家賃、光熱費、人件費、仕入など)に分けて考えます。運転資金は、最低でも半年分を用意しておくと安心です。

起業資金については、出資や融資で調達するのは難しいですから、自己資金を中心に考えます。
まずは自己資金を中心として少額で起業し、利益を積み上げていけば、将来的に融資を受けやすくなります。資金がないとあきらめずに、少額資金でビジネスを立ち上げて運営する方法を見つけるのがおすすめです。

ただ、どうしても自己資金で足りない時には、日本政策金融公庫等から融資を受けることなども検討してみましょう。日本政策金融公庫は、創業融資向けのプランが用意されていて、多くの起業家が利用しています(※後述)。

(3)協力者はいるか

起業する際には、できるだけたくさんの協力者をつくることが非常に大切です。
人脈を軽視すると、経営はうまくいきません。
まずは家族に理解してもらうこと、そして以前の勤め先の人脈も大切にして、できるだけ協力してもらうようにします。
また、起業前に新たな人脈づくりをしておくことも有益です。
セミナーや勉強会などはできるだけ参加し、起業後に自身の協力者となってくれるかもしれない人とは、かならず名刺交換してメール等で挨拶をしておきましょう。

(4)個人事業主か法人か

起業する際には、大きく個人事業主としてスタートするか、会社を設立してスタートするかを検討します。
費用や手続き面で考えると、個人事業主の方がおすすめですが、法的な手続きを経て設立される会社の方が、やはり社会的な信用力が高いですし、将来的に出資者を募るなど、事業を拡大しやすいといえます。

とはいうものの、会社を設立するためには、さまざまな届出が必要になり、定款認証や登記の申請の際に一定の費用がかかります。また会社を設立すると、赤字でも納めなければならない税金もあります。

したがって、まずは個人事業主として在宅ワークなどから始めるのも、ひとつの手です。
自宅をそのまま仕事場として使えば、時間的にも資金的にもロスがありません。
事業規模が拡大してくると、法人成りした方が事業展開もできますし、節税にもつながりますので、それから法人成りを検討する人も多々います。

(5)経理の基本を理解しているか

起業して、事業を成長させるためには、「数字」に敏感になることが非常に大切です。
数字と向き合い、課題を把握し経営の打ち手を考えることは、起業しその事業を継続するためには必須です。
会社は年に1度決算書を作成しますが、経営分析を行うためには年に1度では足りません。毎日とは言いませんが、月次決算で数字を見てどこに手を打てばお金が残せるかを考えるのは、経営者にとって一番大切な仕事です。

損益計算書や貸借対照表は、見慣れない人からすれば文字と数字が並べられているだけの書類に見えるかもしれませんが、これらの決算書には企業の現況がすべて記載されています。決算書のさまざまな数字を使って、安全性や収益性、将来性なども分析することができますし、課題を把握し早急に手を打つこともできるようになります。

起業してから、簿記をイチから勉強するのは大変ですし時間もありませんので、できれば起業前に、簿記の基本的な知識や、簿記と決算書との関係等の基本は理解しておくことをおすすめします。

起業したい人のQ&A

起業したい!という想いは強くても、「起業するなんて、無謀ではないか」「成功するのか」など、不安や悩みは尽きないものです。
起業をすれば、状況は大きく変わります。自分がやりたい事業を思うように進め、それで稼げるようになるということは、起業の魅力です。
しかし、起業は素晴らしいことだけではありません。苦難に直面することもあります。その苦難にしっかりと向き合う覚悟が本当にあるのか、慎重に考えることも必要です。
ここでは、起業に関するよくある悩み、疑問をご紹介します。

(1)20代で起業するのは無謀?

最近は、20代の若さゆえの感性を生かした起業するケースが増えてきました。20代の起業の大きな強みは、情熱と体力です。そして、「精一杯頑張ってダメなら、またゼロからチャレンジすればいいじゃないか」という前向きな割り切りです。
この20代ならではの強みを存分に生かすことができれば、20代の起業は決して無謀ではありません。

他の年代では、「家族の反対がある」「会社でのポストが上がった」などの理由からなかなか行動に移すことができなくても、20代であればそれほど制約がなく、チャレンジすることができます。
ただし、20代の起業の弱点は知識と経験です。資金不足であるケースも多いでしょう。したがって、これらの弱点を補ってくれる協力者は必要です。自身に足りない部分を補ってくれる協力者を見つけるためにも、広く人脈づくりを行うことが大切です。

(2)30代の起業、キャリアは生かせる?

「2022年度新規開業実態調査」によると、起業時の年齢は「40歳代」が35.3%と最も高く、次いで「30歳代」が30.7%を占めました。


開業時の年齢は「40歳代」「30歳代」が約7割

29歳以下 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上
2018年 6.9% 31.8% 35.1% 19.0% 7.3%
2019年 4.9% 33.4% 36.0% 19.4% 6.3%
2020年 4.8% 30.7% 38.1% 19.7% 6.6%
2021年 5.4% 31.2% 36.9% 19.4% 7%
2022年 7.2% 30.7% 31.3% 19.4% 7.5%

参照:日本政策金融公庫総合研究所「2022年度新規開業実態調査」より作成

30代・40代は、社会人としての経験を積み、専門分野での知識を身につけており、体力も十分であることから「起業適齢期」と言えるかもしれません。
ただ、30代・40代の起業は、20代と比較すると家族がいたり会社でのポストも上がってたりと、制約条件が増えています。さらに言えば、サラリーマンとしての経験はあっても起業家としての経験はゼロです。そして、このような状況から起業に踏み切れないケースも多々あります。

しかし、先のことをいくら考えても100%成功する保障はありません。結局、起業は「成功するか否か」よりも「起業するか、しないか」といことに尽きます。
「自分のマインドに最もよい影響を与える選択肢は何か」とも言えるのかもしれません。タイミングなど外的条件は整っているかということを、あまりに考えすぎると最初の1歩が踏み出せなくなってしまいます。
「どちらが自分にとって、楽しい人生となりそうか」「起業して、しばらくは苦しい時期が続くかも知れないが、それを乗り越えてもその人生を選びたいか」「協力者や家族の理解など、外的条件は整えることができるか」を十分検討し、その結果起業をしたいと決断したら、その時こそが起業のタイミングなのかもしれません。

※ちなみに「2022年度新規開業実態調査」によると、起業動機は、「自由に仕事がしたかった」(56.6%)、「収入を増やしたかった」(47.2%)、「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」(44.5%)という結果が出ています。

(3)定年後の起業が増えているってホント?

これまでの経験、知識、人脈といった豊富なキャリアを活かす定年後の起業も、着実に増加傾向にあります。
「2022年度新規開業実態調査」によると、「50代」の起業は19.3%、「60代以上」の起業は7.5%となっています。

人生100年と言われる時代、50代、60代で老後などと言っている場合ではないのかもしれません。
ただし、50代、60代の起業は、上場や大きな利益を目的としているケースは少なく、「それなりの収入」と「生きがい、やりがい」を目的として起業しているケースが多いといえます。

一方で50代、60代は、20代~40代と比べてフットワークの軽さ、新しいものへのアンテナが不足している傾向にあります。したがって、50代、60代はこれらの不足している部分を補うための準備を、定年前から始めておくことが大切です。

定年後の生活を意識し始めたら、とにかく早めに準備に取り掛かるべきです。パソコンの基礎知識の習得は必須ですし、SNS等の活用方法も身につけておきたいところです。
十分な準備期間を計画的に行うことで、成功する確率は格段に高まります。もし定年前に準備が整ったのであれば、前倒しで起業することも検討するのもおすすめです。

(4)起業したいけどお金がない

「アイデアはあるけど、資金がない」「自己資金を貯めるのを待っていたら、ビジネスチャンスを逃してしまいそう」という場合には、起業時に受けられる公的支援を積極的に活用しましょう。

日本政策金融公庫では、起業したばかりでも積極的な支援を行っており、新たな事業を始める人や事業を始めて間もない人でも「新創業融資制度」を利用することができます。その他、女性や若者、シニアの起業家を対象とした支援制度も充実しています。

▶ 日本政策金融公庫から融資を受けるための手続きと必要書類
▶ 創業融資を受けるための創業計画書の書き方

また、制度融資という制度もあります。地方公共団体・信用保証協会・金融機関が連携して行う制度で、信用保証協会という公的機関に保証人になってもらい、万が一返済が不可能となった場合には、信用保証協会が金融機関に返済をし、債務者は信用保証協会に返済することになります。

自治体ごとにさまざまな制度を設けているので、各地方公共団体のホームページを確認してみましょう。

▶ 制度融資とは?どんなメリットがある?預託金の意味は?
▶ 起業支援&経営サポートをまとめて解説

(5)起業したいけどアイデアがない

「起業したい!でも、これと言ったアイデアがない」という場合には、すでにあるノウハウを活用できるフランチャイズ加盟による起業を検討してみるもの、おすすめです。
フランチャイズに加盟すると、すでに確立しているビジネスモデルを使わせてもらい、その対価として加盟金や経営指導料を支払うことになります。すぐに経営ノウハウを知ることができ、本部からさまざまな指導を受けることができるというメリットがあります。

フランチャイズ起業で成功するポイントは、何といってもしっかりとした本部を選ぶこと。日本の代表的なフランチャイズ本部が加盟する「日本フランチャイズチェーン協会」に加盟しているかどうかは、ひとつの判断材料になります。また、すでに加盟しているオーナーさんから話を聞いてみるのも、ひとつの手です。
一方で、いずれのフランチャイズ本部を選ぶときにも注意したいのが、本部が提示する売上シミュレーションを鵜呑みにしない、ということです。
どのような状況で出したシミュレーションなのか、納得ができるまで説明を受けることが大切です。

まとめ

起業にリスクはつきものです。しかし、このリスクは正しく理解しコントロールすることができれば、それほど恐れるものではありません。まずは小さく始めれば、リスクはコントロールすることができますし、そのリスクを迅速に把握できれば、打つ手はあるものです。

起業することに不安があるのは当然ですが、思い悩んでいても最初の1歩は踏み出せません。起業して経験を積めば、資金や人脈、知識はどんどん広がっていきます。自己肯定感を高め、人生を明るいものにできる可能性があります。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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