株取引で損失が出た場合は確定申告でトクをする

公開日:2019年04月13日
最終更新日:2019年06月20日

目次

  1. 株取引で損失が出た場合の確定申告
    • 確定申告すべきか否かは、口座の種類・個々の事情等によって異なる
    • そもそも確定申告とは
    • 株式取引と確定申告の関係
  2. 株取引で損失が出た時の確定申告のメリット
    • 翌年以降の税負担を軽くできる
    • 「源泉あり」でも損失が出た場合は申告を
  3. 株取引で損失が出た時の確定申告の手順
    • 申告書B第一表の左欄
    • 申告書B第二表
    • 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
    • 確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)
    • 申告書第三表
    • 申告書B第一表の右欄
  4. まとめ
    • 確定申告に強い税理士をお探しの方
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この記事のポイント

  • 株取引で損失が出た場合には、確定申告をすることで所得税を減らすことができる。
  • 確定申告すべきか否かは、口座の種類・個々の事情等によって異なる。
  • 株取引で損失が出た場合の確定申告書の作成のポイントを理解しよう。

 

株取引で損失が出た場合には、確定申告をすることで所得税を減らすことができます。
具体的には、確定申告をして損失が出た分を翌年以降の株取引の所得から差し引くことで所得税を減らすことができるのです。これを「損益通算」といいます。

さらに、すべての口座で損益通算をして、それでも年間トータルで利益がなくマイナスになってしまった場合には「譲渡損失の繰越控除」という制度で、翌年以降3年にわたって株取引による利益や配当利益と損益通算することができます。

株取引で損失が出た場合の確定申告

1年間の株取引で出た利益には、税金がかかります。
この利益は、「譲渡所得」として給与や配当金などの所得と分けて課税されます(分離課税)。
税率は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)で、原則として確定申告が必要です。
株取引で損失が出た場合には、確定申告をする必要はありませんが、損失を利益や配当と相殺できるので、確定申告をした方が得することがあります。

確定申告すべきか否かは、口座の種類・個々の事情等によって異なる

確定申告をするべきか否かは、自身が証券会社に開いている口座の種類によって異なります。
株取引を行う口座は、大きく分けて(1)NISA口座(2)特定口座(源泉あり)(3)特定口座(源泉なし)(4)一般口座の4つに分けることができます。


(3)特定口座(源泉なし)(4)一般口座は、利益が出ても損失が出ても、確定申告をする必要がありますが、(2)特定口座(源泉あり)では、利益が出ていれば原則として確定申告をする必要はありません。また、(1)NISA口座はでの取引は、そもそも非課税のため申告の必要はありません。
しかし(2)特定口座(源泉あり)でも株取引で損失が出ている場合には、確定申告をすることで所得税を減らすことができます。また、(1)NISA口座の場合もほかに収入がない人で利益が38万円以下なら、確定申告をすることで還付を受けることができます。

そもそも確定申告とは

確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日まで)の所得金額から計算した税金を、納税者が自ら計算して納付する制度です。
翌年の2月16日から3月15日までの間に、所轄の税務署に確定申告書を提出する必要があります。
サラリーマンの場合は、会社で社員の給与や賞与から税金と社会保険料を徴収し、その徴収した税金と社会保険料については、会社が税務署や、市区町村、年金事務所に納めているので、通常ならサラリーマンは確定申告をする必要はありません。
しかし、サラリーマンでも医療費控除、雑損控除、寄付金控除の適用を受けたい場合には確定申告をする必要がありますし、年収が2,000万円を超えた人や2カ所以上の会社から給与をもらっている人、株取引で特定口座を選択していない人で副業である株取引による所得が20万円以上あった人などは、確定申告をする必要があります。

「年末調整しているサラリーマンで確定申告が必要な場合、した方がいい場合」を読む

株式取引と確定申告の関係

株取引を行った場合には、自分で損益を行って確定申告をして税金を納めるのが本来の姿です。
しかし、前述したように確定申告が不要な場合や確定申告が不要でもあえて申告をした方が有利なケースもあります。

(1)NISA口座
NISA口座での取引は、非課税なので申告の必要はありません。ただし、ほかに収入がない人で利益が38万円以下なら、確定申告をすることで還付を受けることができます。

「NISAとは|メリット・デメリット・始め方 」を読む

(2)特定口座(源泉あり)
特定口座(源泉あり)とは、証券会社等で売却損益・税金を計算して、税金を売却代金から差し引いてくれるので、確定申告は不要です。
ただし、口座内の損益が年間トータルで損失だった場合や、一部の口座で損失が出た場合には、確定申告をすることで損益通算(損失が出た分を翌年以降の株取引の所得から差し引くことで所得税を減らすことができる)をすることができるので、確定申告をした方が得することがあります。

(3)特定口座(源泉なし)
特定口座(源泉なし)は、証券会社等で売却損益・税金を計算まではしてくれますが、税金の計算や納税まではしてくれませんので、利益が出た場合には原則として確定申告をする必要があります。 年間トータルで損失だった場合には確定申告をする必要はありませんが、前述した特定口座(源泉あり)の時と同様に確定申告をした方が得することがあります。
ただし少額の損益通算の場合には、確定申告をすることで扶養親族から離れたり国民健康保険料が増額になったりするなどのデメリットもあります。

「特定口座とは|源泉あり、源泉なしのメリット・デメリット」を読む

(4)一般口座
一般口座の場合は、特定口座(源泉なし)と同様です。
利益が出た場合には原則として確定申告をする必要がありますし、年間トータルで損失だった場合にも確定申告をした方が得することがあります。

「株の税金|一般口座で株取引を行っている人の確定申告」を読む

株取引で損失が出た時の確定申告のメリット

株取引では、利益や損失が発生します。利益が出ればそれは譲渡所得として課税されますが、損失が出た場合には、その損失は翌年以降に3年間持越し、利益や配当と相殺することができます。

翌年以降の税負担を軽くできる

ある口座の取引で損失が出ても、別の証券口座や投資信託での取引で利益が出ている場合には、他の金融商品の売買で得た所得や配当金から損失を差し引いて、所得税を減らすことができます。これを「損益通算」といいます。
また、すべての口座で損益通算をしてもなお損失が出てしまった場合には、「譲渡損失の繰越控除」という制度を使うことができます。この制度は、損失を翌年以降3年にわたって株式売買による利益や配当利益と損益通算することができるという制度です。
(譲渡損失の繰越控除が使えるのは、上場株や公募株式投資信託による損失で未公開株では使うことはできません。)

例えば、株取引の利益が50万円で損失が30万円のケースであれば、「50万円-30万円」の差引20万円が課税対象となり、20万円に対してのみ税金がかかります。
また、株取引の利益が30万円で損失が50万円のケースであれば、マイナス分が20万円となるので、その年は税金がかからず、このマイナス20万円分は翌年以降の売却益と相殺することができるのです。

「源泉あり」でも損失が出た場合は申告を

前述したとおり、「特定口座(源泉あり)」を選択している場合には、原則として確定申告をする必要はありません。しかし、確定申告をして譲渡損失の繰越控除の適用を受ければ、損失が出た分を翌年以降の株取引の取得から差し引くことができますので、お得になります。

株取引で損失が出た時の確定申告の手順

株取引の損失を繰越すためには、一般口座、特定口座にかかわらず確定申告をする必要があります。
また、翌年以降株取引をしなかったとしても、確定申告をする必要があります。確定申告をしないと損失を繰越すことができませんので、注意が必要です。

なお、損益通算ばかりに気をとられて少額の損益通算を受けるために確定申告をすることで、扶養親族から離れたり国民健康保険料が増額になったりといったデメリットが発生してしまうことがあります。
したがって、株取引で損失が出て確定申告をしようと思う時には、慎重に判断することが必要です。

申告書B第一表の左欄

まず、確定申告書B第一表の左側を記入します。

(1) 1年間の収入金額を記入します(申告書「カ」の欄)
(2) 1年間の所得金額を合計します(申告書⑥と⑨の欄)
(3) 「所得から差し引かれる控除」の欄で、該当する控除を記入します(申告書⑩~㉔の欄)

基礎控除額は一律38万円です。
生命保険料を払っている場合には、源泉徴収票の「生命保険料の控除額」から⑭に転記します。

申告書B第二表

次に、確定申告書B第二表を記入します。

(4) 申告書B第二表の「所得の内訳」の欄に、所得の内訳を記入します。
源泉徴収票の支払額と源泉徴収税額から転記をします。

(5) 該当する控除について記入します。
記入する数字は、申告書B第二表左欄に記入した額と同じです。
源泉徴収票の「社会保険料等の金額」から⑫に転記します。

(6)住民税の納付方法を選択します。勤務先に知られたくない場合には「自分で納付」に〇をつけます。

株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書

「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」を記載します。

(7)証券会社から送られてくる特定口座年間取引報告書を確認し、「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」(2面)に収入金額の内訳を記入します。
特定口座、一般口座とも、それぞれの収入金額の内訳を記入します。

(8)株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書の1面に株取引による収入金額を記入します。
2面の「株取引の収入金額)」の合計を記入します。

(9)取得価額と手数料を記入します。
2面の株の取得価額の合計を④に記入します。⑤には、一般口座の売却手数料の合計を記入します。④+⑤の数字を⑦に記入します。

(10) 株取引による所得金額を記入します。
③から⑦を引いた額を⑨と⑪に記入します。損失額は頭に△をつけます。所得金額はゼロなので、⑬に0(ゼロ)と記入します。

参照:国税庁「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」

確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)

確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)を記入します。

(11) 売却の損失額を記入します。
①②③に計算明細書(1面)⑨の金額を転記します。

(12) 損益通算後の売却の損失を記入します。
③の金額を5に転記します。

(13) 繰越する金額を記入します。
付表(1面)⑤の金額を⑪に転記します。③の金額を⑤に転記します。

申告書第三表

確定申告書B第三表を記入します。

(14) 株取引による収入金額を記入します。
計算明細書(1面)の小計③から転記します。

(15) 株取引による所得金額を記入します。
付表(1面)の「譲渡損失の金額⑤」から転記します。

(16) 株取引と給与の実際に課税される所得金額をそれぞれ計算します。
具体的には、第一表から以下の通り転記します。

(ア)第一表「所得金額」の合計(※第一表⑨欄から、第三表⑨欄に転記)
(イ)第一表「所得から差し引かれる金額」の合計(※第一表㉕欄から、第三表㉕欄に転記)
(ウ)⑨から㉕を引いた金額を70に記入します。

(17) 株取引と給与などにかかる税金を計算します。
給与などにかかる税額を記入して78に記入します。
株で損失が出ているので、81には記入する必要はありません。
78~85の税額を計算して86に記入します。

(18) 損失額を記入します。
付表(2面)の「譲渡損失の金額⑪」から転記します。ここに記入する金額が翌年に繰り越されることになります。

申告書B第一表の右欄

最後に、確定申告書B第一表に戻り、右側を記入していきます。

(19) 全体の税額を記入します(第三表86から第一表27に転記)。

(20) 税額控除額の税額を記入します(27の税額から引いて、38、40に記入)。

(21) 復興特別所得税を記入します。

(22) 源泉徴収税額を記入します(第二表44から第一表44に転記)。

(23) 最終的に納める税額を計算します。
㊷から㊹を引いて㊺に記入します。マイナスの場合は、数字の前に△をつけます。

まとめ

以上、株取引で損失が出た場合の確定申告についてご紹介しました。
株取引で損失が出た場合に確定申告をすべきかについては、扶養親族や国民健康保険料の額などにも配慮する必要があります。
株取引で損失が出て確定申告をすべきか否か分からない時や損益通算の計算方法が分からない時は、税理士に相談してアドバイスをもらうことをおすすめします。

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