公的融資制度とは?3つの公的融資制度の特徴を解説

公開日:2024年07月10日
最終更新日:2024年07月10日

この記事のポイント

  • 公的融資制度とは、国や地方公共団体などから資金調達できるシステム。
  • 大きく①政府系金融機関、②自治体からの制度融資、③信用保証協会の保証融資の3つがある。
  • 公的融資制度には、低金利・固定金利・無担保などさまざまなメリットがある。

 

公的融資制度とは、民間の金融機関から受ける融資ではなく、国や自治体などから資金調達をするシステムです。
中小企業や個人事業主にとっては低金利・固定金利で資金調達できるというメリットがあります。

公的融資制度とは

公的融資制度には、大きく分けて①政府系金融公庫、②自治体による制度融資、③信用保証協会の保証融資があります。

①政府系金融公庫とは、政府が設立した金融機関であり、主に中小企業や個人事業主向けに低金利の融資を提供する機関です。
②自治体による制度融資とは、各自治体が地元の中小企業や個人事業主を支援するために提供する融資制度です。
③信用保証協会の保証融資とは、信用保証協会が中小企業や個人事業主の信用を保証することで、金融機関からの融資を受けやすくする制度です。

(1)政府系金融公庫

政府系金融公庫は株式会社ではありますが、株式のすべてを国が保有している金融機関のことで、日本政策金融公庫と商工組合中央金庫の2つがあります。

日本政策金融公庫は、民間の金融機関では対応しにくいような融資にも活用することができ、民間の金融機関で融資ができないと判断された企業でも、政府系金融機関からなら融資を受けられるというケースも多いですし、創業融資など新規開業者にとっては非常にありがたいプランもあります。
商工中金は中小企業専門の金融機関で、全国47都道府県および海外5か所に拠点を持っています。設備資金や長期運転資金、手形割引などの短期運転資金まで幅広い融資を行い、中小企業の事業活動を支援しています。

(2)自治体による制度融資

自治体からの制度融資とは、都道府県・市区町村が独自に設けている制度融資です。
金利や利子補給(特定の融資を行った金融機関に対して、借入者の金利負担を軽減するため、その利子の一部または全部に相当する金額を給付する制度)などの優遇制度があります。
自治体による制度融資は、創業融資や資金繰り改善などが中心です。

(3)信用保証協会の保証融資

信用保証協会による保証融資は、信用保証協会から直接融資を受ける物ではなく、中小企業が信用保証協会に一定の保証料を支払うことで、民間の金融機関からの借入時に保証人の役割を果たす制度です。
以下の資本金要件・従業員要件のいずれか一方が該当していれば、信用保証協会を利用できます。

業種 資本金 従業員数
製造業等 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
医療法人等 300人以下
ゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
3億円以下 900人以下
ソフトウエア業、情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅行業 3億円以下 300人以下
宿泊業(旅館業を除く)、娯楽業 5,000万円以下 100人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下

参照:東京信用保証協会「ご利用いただける中小企業とは」

信用保証協会付融資は、一般的な融資より返済期間を長く設定できる、金融機関にとってリスクがなくなるため、積極的に融資を行ってくれるというメリットがあります。
保証協会には金融機関経由、または直接保証を申込み、その後保証協会が中小企業を審査します。したがって、金融機関ではなく保証協会による審査がポイントとなります。

公的融資制度を活用するためには

公的融資制度は、民間の金融機関では扱いにくい融資にも取り組むことが目的の一つでもあるため、決算書の内容だけではなく、経営者のやる気や能力といったものも重視します。
たとえば、日本政策金融公庫の新創業融資制度においては、必要資金総額の約3分の1以上の自己資金が確認できることが条件とされています。これは、決算書などで実績が確認できない新規創業者の本気度を自己資金で測っているからです。つまり、3分の1の自己資金すら自分で用意しないような新規創業者では、長期間にわたって事業の準備をしてきたとは考えにくく、単に思い付きで事業を始めた可能性も否定できません。そのために自己資金を非常に重視するのです。

(1)必要書類

公的融資制度では、主に以下の書類を用意する必要があります。

事業計画書:事業の概要や将来の計画を記載した書類
収支計画書:今後の収入と支出の見込みを記載した書類
申告書:過去の税務申告の内容を記載した書類
財務諸表:会社の財務状況を示す書類(損益計算書、貸借対照表など)
その他、会社案内、会社の預金口座、商業登記簿謄本など

新規創業者は、過去の財務諸表がないので、とくに事業計画書が重視されます。
事業の目的や計画内容、数値計画が明確になっていることはもちろん、事業が十分に検討されたものであること、そして経営者のやる気と能力があふれる内容になっていなければ評価されません。
また、預金口座の通帳もチェックされます。社会保険の滞納がないか、他の銀行の借入金の遅れがないか、そして売上の入金額が決算書や試算表での売上高と相違がないかチェックされます。
また、はじめて取引をする場合には、総勘定元帳もチェックされます。決算書に粉飾があると、総勘定元帳と辻褄が合わなくなるのですぐに分かってしまいます。
政府系金融機関だからといって、審査は甘いわけではありません。決算書や事業計画書の内容がとくに重視されるのは、他の金融機関と変わりはありません。
ただ、公的融資制度は、既存の融資先であれば多少業績が悪化していても融資をしてくれるケースは多いので早いうちから融資を受けて、返済実績を積み上げておくとよいでしょう。

(2)主な手続きの流れ

公的融資制度は、その種類によって手続きの流れが異なります。

①政府系金融公庫
まずは、窓口等に相談して、必要な資料を用意して、申し込みをします。利用する融資制度によっては、別途資料を用意しなければならないこともあります。
審査は、必要資金の内容、将来の事業計画・見通しなどについて面談をしてから、検討されます。融資が決まったら、各種契約手続きへと進みます。

②自治体による制度融資
制度融資は自治体によって異なりますが、一般的には以下の流れで進みます。
詳細については、各自治体のホームページなどで確認しましょう。

・市区町村などに融資の申し込みを行ないます。
・市区町村は、金融機関に融資斡旋状を発行します。
・金融機関は、必要に応じて信用保証協会に保証申し込みを行います。
・信用保証協会の保証が決定すると、金融機関が融資を実行します。

③信用保証協会の保証融資
信用保証協会の保証融資は、保証協会に中小企業が保証料を支払うことで、信用保証協会が保証人の役割を果たしてくれる制度なので、保証協会での審査がポイントとなります。

・保証協会への申込は、金融機関経由または直接保証を申し込みます。
・申込後、保証協会で審査が行われます。
・審査の結果、保証協会は保証承諾をしたら、「信用保証書」が金融機関に送付されます。
・金融機関は、この「信用保証書」の条件に従って、融資を実行します。この時、所定の信用保証料を金融機関経由で保証協会に支払います。

(3)専門家はフル活用する

公的融資制度の審査は、決算内容だけでなく、経営者の能力ややる気も重要な評価ポイントです。事業計画はそれぞれの事項の内容に矛盾がないようにし、数値をしっかり説明すること、そしてやる気や本気を見せることが大切です。したがって、公的融資制度では、実績のある税理士に事業計画について相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、事業計画の精度を高め、融資審査の通過率を向上させることができます。
税理士というと、一般的には記帳代行、会計帳簿の作成、申告書の作成、税務調査の立ち会いといったイメージがありますが、最近では資金調達や経営相談などコンサルタント業務を得意とする税理士も増えています。
また、飲食業界、美容師業界など特定の業界に精通している税理士も増えています。
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まとめ

公的支援制度は、一般的な金融機関よりも低金利での融資となるため、資金調達コストを抑えることができ、中小企業の経営負担を軽減します。また返済期間が比較的長く設定されており、返済条件が柔軟に設定されていることが多く、経営状況に応じた返済プランを選択できます。
さらに信用保証協会が保証人となることで、信用力が低い中小企業でも融資を受けやすくなります。。
公的支援制度を利用する際には、事業計画書の提出が必要となることが多いので、早めに税理士等のアドバイスを受け計画の精度を高めるようにしましょう。

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・日本政策金融公庫の新創業融資について
「創業融資は原則無担保無保証だと思います。
その場合、法人は有限責任ですので最悪の場合倒産という形になり個人保管がないという認識で正しいでしょうか。
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・融資について
「この度、日本政策金融公庫で創業融資を受けたいと考えております。
クレジットカードの分割払いをいくつかしていて分割払いで未だ未払いが80万ほどあります。(仕事でクレジットカードを使用していてその際の分割です。)

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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