3C分析とは?書き方を事例からわかりやすく

公開日:2023年01月26日
最終更新日:2023年01月26日

この記事のポイント

  • 3Cとは、市場(customer)・競合(competitor)・自社(company)。
  • 3C分析とは、市場・顧客・競合について分析したうえで、自社の分析を行うこと。
  • 3C分析は、一般的に①市場、②競合、③自社の順番で分析する。

 

3Cとは、市場(customer)・競合(competitor)・自社(company)の頭文字をとったもので、3Cに沿って調査や分析、戦略立案を進めると、事業や産業の全体を把握したうえで効率的にプロジェクトを進めることができるという、基本的なフレームワークです。
ここに流通チャネル(channel)を加えて、「4C」とする場合もありますが、ここではまず3C分析についてご紹介します。

3C分析とは何か

3C(スリーシーぶんせき)分析とは、経営分析の際に使われるフレームワークです。
市場(customer)・競合(competitor)・自社(company)の順番で調査や分析を行うことで、市場や顧客、競合の情報を把握したうえで、自社の分析を行う手法をいいます。
3C分析を行うことで、「自社のことばかりに気が向いてしまい競合のことを考えていなかったため、すでに同じような商品があることを見過ごしてしまった。」「市場分析を行っていなかったためそもそも市場がないことに気づかなかった」といった失敗を防ぐことができます。

①市場(customer)分析
市場・顧客のニーズを把握して購買プロセスを分析

②競合分析
競合他社の強み・弱みを定量的・定性的に分析

③自社分析
自社の強み・弱みを定量的・定性的に分析

市場や競合を知ることで、自社が参入している市場が成長しているのか、競合他社はどのように事業を展開しているのかなどを把握して事業機会を発見していきます。

3Cは、このように視点を3つに分けていますが、各要素は独立して個々に分析するものではなく、連動させて分析します。
たとえば、自社のことを分析するのであれば、顧客のことを知る必要がありますし、自社の位置づけを把握するためには、競合としてどのような会社があるのか、そしてその競合はどのような動きをしているのかを、知る必要があるからです。

また、3C分析を行ううえで把握しておきたい視点が「マクロ環境」です。
マクロ環境とは、世の中のトレンドや人口や政治、技術、経済などの情勢の動きなどをいいます。時代が変化すると、これまで強みとされていたものが弱みとなってしまうことがあります。逆に時代が変化することで、これまで注目していなかった要素が社会のニーズに合致して重要視されるようになることがあります。
このようなマクロ環境を意識したうえで、3C分析を行うことが大切です。

(1)市場(customer)分析のポイント

まずは、市場・顧客(customer)分析を行います。競合分析をして自社の強みでどう対抗するのかだけを考えていても、一番大切な「市場は何を求めているのか」という視点を忘れていては、真の分析を行うことはできません。

市場はどう成長するか?顧客は何を望んでいるか?
世の中のトレンドや人口や政治、技術、経済などをマクロ環境で分析し、「今後市場はどのように成長するのか」を分析します。
また、顧客のニーズを把握し、どのような商品を望んでいるのか、どのような購買プロセスをとるのかを分析します。

たとえば、「顧客は製品の品質や性能を優先するのか、それとも価格を優先するのか」「時間をかけて情報収集するプロセスをとるのか、1つ目の製品で購買を決定するのか」といった細かい視点で分析をします。
これらは、市場や製品によって異なるのはもちろん、ターゲットとする顧客の年齢層や居住地、性別などによっても違ってきます。

市場(customer)分析を怠るとどのようなリスクがある?
ある会社では、新製品を開発するにあたり、競合であるA社とB社の調査を行いました。その結果、A社とB社の調査結果を反映した特定の機能を向上させた製品開発案を盛り込みました。
しかし、追加でユーザー(customer)調査を行ったところ、A社とB社の調査結果とは全く別の「不要な機能ばかり向上されていて、使いづらい」という調査結果が出され、課題は全く別のところにあることに気づかされました。
そこで、このようなユーザー調査の結果を反映し、新製品の開発に取り組みました。

顧客の意向を反映するのは当然と思われるかもしれませんが、競合調査だけで製品開発を行っていたら、特定の機能だけ向上させ、一般の消費者が求めないレベルの製品になっていたかもしれません。
このようなケースは、実は非常に多いものなのです。

(2)競合(competitor)分析のポイント

続いて競合他社(competitor)の分析ですが、この競合の分析をする前にはまず、「どの会社が競合であるか」について定義をしなければいけません。
同じ市場で同じ製品を扱う会社だけが、競合他社というわけではありません。同じターゲット層を持つ顧客は競合となることもありますし、同じような時間を必要とする企業やサービスなどが競合となることもあります。
たとえば、テレビ局の競合は今や多局のテレビ局だけではなく、YouTubeやTikTok、SNSなども競合と見ることができます。

このように、「どの会社が競合であるか」を定義したら、製品の特徴や機能をはじめ、売上や地域別・顧客別のシェア、事業戦略などについて競合の調査を行います。
この競合調査は、調査会社やコンサルタントに依頼する場合もありますが、費用をかけずに自社で行う場合には、完璧に調査を行うことは難しいため、ある程度は仮説を立てながら分析していく必要があります。
そこで、まずはウェブサイトやリリースなど開示されている情報、関係者のブログなどから情報を収集していきます。株主総会の招集通知や企業トップのインタビューにおける発言から、仮説を導き出せる場合もあります。

(3)自社(company)分析のポイント

市場(顧客)分析と、競合分析の次は、自社(company)分析です。
市場(顧客)分析で明確になった課題について、自社がどこまでアプロ―チできているのか、市場の成長に対して、自社のアプローチが十分なのか、売上が追従しているのかを分析します。
次に、競合分析で明確になった競合の強み・弱みと自社の強み・弱みを比較します。優位である場合も劣っている場合もその理由・原因まで特定します。
自社の強みを生かすためには、弱みとなる不測事態をどのように防ぐかの対応策を検討しなければなりません。

(4)自社分析で活用できる「SWOT分析」

3C分析で情報を整理したうえで、次に自社分析をどのように行えばよいのかのヒントとなるのが、SWOTというフレームワークです。SWOTは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)から成り立っています。
まずは、下記のチャート表を作成して、自社の強みと弱みを分類します。

強み
Strengths
弱み
Weaknesses
自社において日頃から感じている「強み(今後の成長につながりそうな要因)」の整理 自社内において日頃から感じている「弱み(成長のネックになっている要因)」の整理
機会
Opportunities
機会×強み
=積極的戦略
機会×弱み
=改善戦略
自社における今後の「機会(ビジネスチャンス)」の整理 今後の可能性、チャンスに自社の強みを活かした具体策 今後の可能性があるのに「弱み」がそれを阻害している場合にそれを改善するための具体策
脅威
Threats
脅威×強み
=差別化戦略
脅威×弱み
=縮小戦略
自社における今後の「脅威」の整理 今後の脅威が想定される場合、自社の「強み」を活かした差別化を図るための具体策 今後の脅威につながりそうなリスクを打破するための具体策

このようなワークシートを作成することで、自社の利点となる経営環境と弱点となる経営環境を把握することができますし、これらを掛け合わせたり対比させたりすることで、事業計画の方向性についても確認することができます。
自社分析は、このように、市場や競合との比較を行ったうえで分析することで、自社の内部分析を深く行うことができます。

▶ SWOT分析とは|分析事例、やり方を分かりやすく

なお、3C分析は、市場(顧客)→競合→自社の順番で行うべきですが、自社分析の後に改めて競合分析を行うと、そこでまた新たな発見ができることがあります。

(5)3C分析をしてみよう

ここで、アパレルメーカーであるA社の3C分析を行ってみます。
A社は、アパレル業界の販売市場と自社の現状について分析し新たな販路や商品開発を行いたいと考えています。

【市場分析】
まずは市場分析です。
アパレル業界(特にブランド品などの高級なファッションアイテム)は、昨今の消費低迷による影響で業績不振の影響を受け、縮小傾向にあります。
ただし、ミクロな視点で分析をしてみると、観光客や若い女性を対象としたファッションアイテムは、それほど縮小していないと仮定することができます。たとえば「SNSにアップしたい」という若い女性のニーズに応えることができれば、まだまだ伸びている市場があることが期待できます。

【競合分析】
次に競合分析を行います。
たとえば販売チャネルに着目すると、ファッションアイテムといえば従来は店舗での販売が中心でしたが、現在はネット販売が増加しています。
また、メルカリやヤフオクなどに代表される個人間売買も増加しています。
ネット販売や個人間売買の増加は、商品の低価格化を促進することにつながりますから、既存市場の縮小と同時に低価格化が進んでいることにも着目するのがポイントとなります。

【自社分析】
最後に自社分析です。
まずは、外部環境の脅威について見てみます。
アパレル業界に限らず、近年は少子高齢化が進んでいることもあり、市場全体が縮小傾向にあります。また、ネット販売や個人間売買などは大きな脅威となりえます。
一方で、SNSやネット販売についてを、脅威ではなく機会と見ることもできます。
機会と見た場合、SNSやネット販売を活用し観光客や若い女性を対象としたサービスを提供できる施策を検討します。

さらに、内部環境の強みと弱みを分析します。
自社の強みとして、「百貨店との強固なパイプがあること、」「材料の調達、デザイン、縫製、流通までのしくみが完成していること」を挙げてみます。
自社の弱みは、「少子高齢化が進み、見込み客が減少している」「SNSを十分活用できていない」「従来の店舗販売チャネルに依存している」などを上げてみます。

こうして分析してみると、従来の販売チャネルでの売上高が減少していること、そして新しい販売チャネルに取り組めていない課題が明確になってきます。

このように3C分析をすることで、「若い女性や観光客を対象とした市場が存在すること」「ネット販売や個人間売買による低価格が進んでいることで、高い商品は売れないこと」一方で、自社分析では「材料の調達、デザイン力、熟練した縫製、流通までのしくみがあること」を活用して、質が高く、SNSにアップしたくなるような新商品を開発することが考えられます。

まとめ

事業アイデアは、手がかりも何もないところから生まれてきません。
そして、このアイデアの素となるのが情報であり分析です。
3C分析とは、「市場はどうなっているのか」「競合はどうなっているのか」「自社にはどのような強みがあるのか」という3つの要素を分析することで、解決策や改善案を見出していこうとする手法です。

このようにアイデアの素となるようなフレームワークは、3C分析の他にもさまざまな手法があります。たとえば、「マーケティングの4P」とは、マーケティングを行う際に、競合や顧客への施策を価格(Price)、製品(Product)、チャネル(Place)、広告宣伝(Promotion)に分けて施策を立てる手法ですし、「5W+1H」とは、戦略を立てる際に、なぜ(Why)、何を目的に(What)、誰と(Who)、どの分野で(Where)、いつのタイミングで(When)、どうやって(How)行うのかをまとめる手法です。

またPDCAサイクルは、戦略を立てる際には、計画(Plan)→実行(Do)→検証(Check)→是正(Action)→再び計画に戻るサイクルを、なるべく速く繰り返すことが有効であるという考え方です。

これらのフレームワークを上手に組み合わせて活用することで、事業のアイデアを出したり改善策を見い出せたりすることが可能となります。

3C分析について相談する

freee税理士検索では、数多くの事務所の中から、3C分析などを活用した経営分析について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

 

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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