法定休日と所定休日の違いとは?休日と休暇はどう違う?

公開日:2019年09月04日
最終更新日:2022年07月14日

この記事のポイント

  • 「法定休日」とは、法的に与えなければならないと定められている休日のこと。
  • 「所定休日」とは、会社が任意で定めることができる休日のこと。
  • 法定休日に労働させた場合には35%の割増賃金を支払う必要がある。

 

「休日」と「休暇」を同じ意味に捉えて使っている人は多いと思いますが、休日と休暇は労働義務があるか否かで取り扱いが大きく異なります。
また、休日にも法定休日と所定休日があり、それぞれ意味が違います。
ここでは、法定休日と所定休日の違いや休日と休暇の違いについてご紹介します。

法定休日・所定休日・休暇

会社には、労働者に対して休日を与えなければならない義務があります。
労働基準法第35条では、「使用者は労働者に毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と規定されています。
このように法的に与えなければならないと定められている休日を「法定休日」といいます。

例外として4週間を通じて4日以上の休日を与えることも認められていますが、原則はあくまでも週休制です。
つまり、「毎週1回」または「4週間を通じて4日以上の休日」を与えることは、必須の法定条件であるということになります。

(1)法定休日と所定休日との違い

休日には、法定休日のほかに会社が任意で定めることができる「所定休日(法定外休日ともいいます)」があります。
所定休日とは、労働基準法で定められ与えることが義務づけられている法定休日以外で、会社が定めた休日のことをいいます。

労働基準法では、労働時間の限度として「1日8時間および1週40時間」「毎週少なくとも1回の休日」を定めていますが、1日の所定労働時間が7時間や8時間である場合、1週間に1日の休日だと「1週40時間」という法定労働時間をクリアすることができなくなってしまいます。そこで、「1日8時間および1週40時間」というルールをクリアするために、さらに「所定休日」を設けて「週休2日」としている会社が多いのです。

就業規則や労働契約では、法定休日と所定休日について明確に区分して規定されていない場合もありますが、法定休日所定休日は、給与計算をするうえで大きな違いがあります。
所定労働時間の出勤は休日労働にならないので、割増賃金は時間外労働としての25%で足りますが、法定休日に労働させた場合には35%の割増賃金を支払う必要があります。

なお、法定休日に労働させるためには会社は36(サブロク)協定を締結する必要があります。

※36(サブロク)協定とは
会社が従業員に時間外労働をしてもらいたい時には、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数代表者と、書面で延長できる時間を定めて「労使協定」を締結し、行政官庁(所轄の労働基準監督署)へ届け出る必要があると規定しています。

(2)法定休日と休暇との違い

休日と休暇は、労働者にとって働く必要がなく、労働から解放されているという点では同じですが、労働義務があるかないかという点で、その性格が大きく変わります。

休日とは、労働契約上で労働者が「労働する義務を一切負わない労働の義務がない日」です。一方、休暇とは「労働義務のある日でも労働義務が免除された日」のことをいいます。
また、休暇にも法定休暇と法定外休暇(任意休暇)があり、法定休暇には年次有給休暇、時間外労働に関する代替休暇、生理休暇、育児休暇、介護休暇などがあり、それぞれ法律で規定されていて、労働者から請求された時には原則として必ず付与しなければなりません。
法定外休暇には、傷病休暇、慶弔休暇、夏季休暇などがあり、これらの休暇については会社は任意で設定することができます。
休暇中の賃金を支払うか否かは、会社が任意に決めることができますが、年次有給休暇と時間外労働に関する代替休暇については、当然有給として取り扱わなければならないとされています。

代休・振替休日

休日労働した場合には、労働者に対して割増賃金を支払う必要があります。
所定休日に労働させた場合の割増賃金は、時間外労働として割増率25%以上の賃金を支払えば良いことになりますが、法定休日に労働させた場合には割増率35%以上の賃金を支払う必要があります。社員旅行で研修やセミナーが行われる場合には休日労働扱いになりますが、単なる慰安旅行の場合には休日労働とはみなされません。

時間外労働(休日労働は含まない)の上限は、原則として、月45時間・年360時間となり、
臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできなくなります。
 臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、
・時間外労働 ・・・年720時間以内
・時間外労働+休日労働 ・・・月100時間未満、2~6月平均80時間以内
とする必要があります。
原則である月45時間を超えることができるのは、年6カ月までです。

参照:厚生労働省「時間外労働の上限規制わかりやすい解説」

また、休日出勤した後、別の日を代わりに休むことがあります。「代休」や「振替休日」と呼ばれるものですが、代休と振替休日は大きな違いがあります。

(1)休日出勤した際の「代休」とは

代休とは、休日に労働させた後、別の日に休ませることをいいます。
たとえば、「日曜日に出勤してもらったから、水曜日に休んでもよい」というケースは代休にあたります。
この場合には休日出勤扱いになり、この日が法定休日で会った場合には休日労働に対する割増賃金の対象となります。当然36協定の締結も必要です。

月60時間を超える法定時間外労働に対しては、会社は割増率50%以上の割増賃金を支払う必要があります。しかし、月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康を確保する目的で「代替休暇」を与えることもできます。
この代替休暇制度を導入するためには、労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数の代表者と労使協定を締結する必要があります。
ただし、代替休暇制度は労働者にその取得を義務づけるものではなく、割増賃金を支払うか代替休暇を与えるかは、個々の労働者の意思によるものとされています。

(2)休日出勤した際の「振替休日」とは

振替休日とは、休日を他の勤務日とあらかじめ交換することをいいます。
たとえば、「今度の日曜日に出勤してほしい。翌週の水曜日に休日を振り替えるから」というケースは振替休日にあたります。
この場合は、休日を交換しているだけなので、休日労働の扱いにはならず、出勤した日が法定休日であっても割増賃金の対象とはなりません。
ただし休日を翌週に振り替えた場合、休日出勤した週の総労働時間が法定労働時間である40時間を超えた時には、超えた分の労働時間が時間外労働に対する割増賃金の対象となります。
振替休日についてはあらかじめ就業規則に規定をしておく必要があります。

休日を正しく運用するためには

働き方改革によって、時間外労働と休日時間外労働+休日労働で月100時間未満、2~6か月の平均80時間以内を超えることはできなくなり、違反した場合には罰則(6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されることになりました。
時間外労働や休日については、運用方法についてこれまで以上に慎重に設定し運用していく必要があります。

(1)休日を設定するときの8つのポイント

休日を設定する際には、まず以下の8つのポイントに注意しましょう。
1つでも該当しないものがあれば、社会保険労務士などに相談してすぐに体制を見直しましょう。

①毎週1日もしくは4週4日を休日とする。
②4週4日で休日を規定する場合には、4週間の起算日を規定する。
③1週間の起算日については就業規則で規定する(規定がない場合には日曜日となる)。
④休日は0時から24時間までの1日を確保できるように設定する(ただし継続24時間の休息でも可能)。
⑤法定休日はできるだけ特定する(必須ではない)。
⑥国民の休日を必ず休日にする必要はない。
⑦社内で法定休日と所定休日の区分を明確にする。
⑧法定休日の勤務に関して36協定を締結する。

(2)労働時間と休日の設定例

労働時間と休日については、①労働時間の限度1日8時間1週40時間②法律で定められた休日を毎週少なくとも1回」という労働時間・休日に関する原則に基づいて設定する必要があります。

たとえば週5日勤務の場合には、月曜日から金曜日までの勤務時間を8時間とし、土日を休日とすれば、①も②もクリアすることができます。

週6日勤務の場合には、月曜日から金曜日までの勤務時間を6時間40分とすれば、日曜日だけ休日でも、①②をクリアすることができます。

まとめ

以上、法定休日と所定休日の違いや休日と休暇の違いなどについてご紹介しました。
休日数を増やすと、時間外労働手当の単価が上がってしまうことになりますので、割増賃金を支払う額が増えていきます。
また、働き方改革で法律上、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができなくなり、特別な事情があっても時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満とするなど、厳しい規制がされることになりました。
休日を設定する時には、割増賃金の支払いの有無や労働基準法に配慮し、必要に応じて36協定を締結するなどの管理が必要です。

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