公開日:2019年12月26日
最終更新日:2023年10月17日
個人事業主として開業する場合には、さまざまな手続きが必要となります。
業種によっては、免許や資格が必要ないと開業できない業種もありますが、いずれのケースでも必要となるのが「開業届」です。
この記事では、開業届の意味や提出先、記載方法などについてご紹介します。
開業届とは、事業を始めた個人事業主が「個人事業を始めた」ということを公に宣言する届出書です。正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書(※以下「開業届」)」といいます。
開業届は、国に対して「どこの住所で、このような個人事業を開業した」ということを届け出るための書類で、確定申告をするために必要となります。
なお開業届を提出する時には、あわせて「所得税の青色申告承認申請書」を提出しましょう。青色申告とはさまざまな控除を受けることができる確定申告の方法で確定申告ができるようになります(※後述)。
また、開業届は労働保険に加入する際にも提出を求められます。
控えのコピーを大切に保管しておきましょう。
提出先は、住所を管轄する税務署です。
納税地は基本的には住所地を選択しますが、自宅と事業所が複数の都道府県をまたぐ時には、両方の自治体に開業届を提出します。
最寄りの税務署の場所は、国税庁のサイトで郵便番号、住所、地図などから検索することができます。
なお、提出は郵送で行うこともできます。
その際には、開業届けと一緒に返送用の封筒に切手を貼って同封します。
税務署から、開業届けの控えに収受印が押されたものが、後日返送されてきます。
開業届の提出期限は、開業後1カ月以内です。
未提出に関する罰則は定められていませんが、提出しないと青色申告で確定申告ができないので、節税することができなくなってしまいます。早めに手続きを行なうようにしましょう。
開業届には、所轄の税務署名のほか、業種や住所・氏名、開業日などを記入します。
従業員を雇用する場合は、従業員が家族や配偶者の場合には「専従者」、それ以外の場合には「使用人」の欄に記入します。
①税務署名 提出先の「税務署名」を記入します。 提出先は、自宅を事務所と同じ住所にしているのであれば、その住所を管轄している税務署で、自宅と事務所が異なる場合で、事務所の住所地を納税地とする場合には「所得税の納税地の変更に関する届出書」を一緒に提出する必要があります。 ②納税地 ③上記以外の住所地・事業所等 ④氏名・生年月日 ⑤個人番号 ⑥職種 ⑦屋号 ⑧届出の区分 ⑨所得の種類 ⑩開業・廃業等日 ⑪所得税の青色申告承認申請書 ⑫消費税の課税事業者 ⑬事業の概要 ⑭給与等の支払いの状況 ⑮源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無 |
個人事業主の開業時には、開業届以外にもさまざまな手続きが必要です。
早く本業に集中するためにも、まとめて手続きを行なうようにしましょう。
①事業開始等申告書 都道府県と市町村に提出します。提出期限は開業日から15日以内(自治体による)です。 書式は各自治体によって異なりますが、下記では東京都のケースをご紹介します。 |
②所得税の青色申告承認申請書 青色申告をするために必要となります。 提出期限は、1月15日までに事業を開始した人は、その年の3月15日、1月16日以降に事業を開始した人は、開業後2カ月以内です。 |
③青色事業専従者給与に関する届出書 一定の要件を満たした配偶者や家族への給与を経費とすることを認めてもらうために必要となる書類です。 提出期限は、1月15日までに事業を開始した人は、その年の3月15日、1月16日以降に事業を開始した人は、開業後2カ月以内です。 |
④給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 従業員(青色事業専従者を含む)を雇用して源泉徴収を行う時に、事前に税務署に提出する書類です。提出期限は、従業員を雇用することになってから1カ月以内です |
開業する際には、これまでご紹介したようなさまざまな書類作成や手続きが必要ですが、「freee開業」を使用すれば、簡単に開業届や必要書類を作成することができます。
何を書いたらいいか迷いがちな項目(たとえば、職業・仕事の種類)も、プルダウンメニューから選ぶだけで完了します。
また、開業届以外に必要となる「事業開始等申告書」や「所得税の青色申告承認申請書」、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」などの書類がまとめて自動でPDFに出力されます。
開業届の提出以外にも、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出など、例外的な評価方法や償却方法を選択したい時に、任意で提出した方がよい書類もあります。
事業の内容によっては、税負担を減らすことができる可能性があります。
税理士に相談すれば、開業届の手続きを含め、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出を提出すべきか否かについてアドバイスをもらうことができます。
また、節税対策や資金調達などについて相談することもできます。
以上、開業届について知っておきたい7つの知識と、開業届以外に必要な書類や手続きについてご紹介しました。
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)と「事業開始等申告書」は、個人事業主として事業を行ううえで、必ず提出しなければならない書類です。また、青色申告を行なう際には、「所得税の青色申告承認申請書」が必要となりますし、配偶者や家族などを従業員とする場合には、「青色事業専従者給与に関する届出書」、従業員を雇用して源泉徴収を行う際には、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」が必要となります。
自分の事業内容に沿って必要となる書類が分からない時や、記載方法について迷った時には、税理士にアドバイスを求め、早めに手続きを済ませましょう。
freee税理士検索では数多くの事務所の中から個人事業の開業について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
開業届・開業手続きについて相談できる税理士をさがす
監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
クラウド会計ソフトの「クラウド会計ソフト freee会計」が、税務や経理などで使えるお役立ち情報をご提供します。
「クラウド会計ソフト freee会計」は、毎日の経理作業を最小限で終わらせることができるクラウド型会計ソフトです。疑問点や不明点は、freee税理士検索で税理士を検索し、開業届・開業手続きについて相談することができます。
クラウド会計ソフト freee会計