等価交換|メリット・デメリット&税金と特例

公開日:2022年07月19日
最終更新日:2022年07月31日

この記事のポイント

  • 等価交換とは、土地を有効活用するためのシステムのひとつ。
  • 有効活用できない土地の所有者が、デベロッパーと組むことで、土地の有効活用を目指す。
  • 等価交換は、表面上は金銭の授受がないが、原則的には課税される。

 

等価交換方式とは、土地の有効活用を行うためのシステムのひとつです。
土地などの固定資産を交換する場合には、一定の要件を満たす場合には、課税の特例が設けられています。

等価交換方式とは

等価交換方式とは、土地の有効活用を目的とするシステムのひとつです。
たとえば、Aさんという人が土地を持っているとします。しかし、Aさんには、その土地を有効活用するだけの資金がありません。このような場合に、Aさんがデベロッパーと組んで、土地所有者とデベロッパーとの間で、「等価交換契約」を締結し、Aさんは土地を提供し、デベロッパーはその土地にマンションを建設します。
そして、マンションが完成したら、その土地の代金に見合っただけのマンションの部屋を区分所有することができます。これが、等価交換方式の考え方です。

三大都市圏の特定市で等価交換マンション事業を行う場合には「既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例(以下、立体買換えの特例)」を利用するケースもあります。ただし、税制上の特例を利用しないで等価交換マンション事業を行うケースもあります。

参照:国税庁「措置法第37条の5《既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例》関係」

(1)等価交換のメリット①(所有者側)

土地の所有者は、資金力がなくても、等価交換によってその土地の代金に見合ったマンションの部屋を区分所有することができます。
等価交換マンション事業は、土地活用事業のひとつですから、事業によって住みやすい住居を入手することができるようになりますし、取得した住居を第三者に貸し出せば、安定した収益を確保することができます。

また、等価交換マンション事業は、相続対策としても活用することができます。たとえば、2人の相続人がいる土地所有者が将来の相続の際に、2人の相続人に資産を承継させたいと考えた場合、土地だと現物分割が難しくなりますが、等価交換マンション事業によって、相続人は区分所有権の特色を活かし、住居を相続することができます。

(2)等価交換のメリット②(デベロッパー)

デベロッパーは、建物の建築に必要な土地の所有権を一部得ることができます。等価交換マンション事業によりマンションを建設した後、最終的に土地と建物の所有権をどう振り分けるのかについては、土地の価格と建築費の関係で決定されるのが一般的です。
たとえば、地主の出資割合が1/3、デベロッパーの出資割合が2/3で、18戸のマンションを建築した場合、地主は6戸を取得し、デベロッパーは12戸を取得するものとなります。

(3)等価交換も原則課税

等価交換は、表面上は金銭の授受が発生しません。
そのため、税金がかからないようなイメージを持つ人も多いのですが、等価交換であっても原則的には課税されます。
なぜなら、資産を売却する場合の譲渡所得に課税がされるのは、所有者が交代することで、その所有期間中の値上がり益を精算するという意味合いもあるからです。
したがって、金銭の授受がなく交換した場合であっても「自分の所有物を一度は売却し、その代金で新しいものを購入した」と考えに基づいて、その売却益に課税されるのです。

(4)固定資産を交換するときの特例

一定の要件を満たす交換については、計算上であっても金銭のやり取りが少なく納税が困難であるとして、特例が設けられています。
以下の4つの要件をすべて満たす交換については、譲渡はなかったものとみなされます。

①交換しようとする資産が、1年以上所有したものであること
(交換のために取得したものではないこと)
②交換しようとする資産が、同じ種類の資産であること
(たとえば、土地と土地、建物と建物、土地と借地権など)
③交換した資産を、交換前と同じ用途に使用すること
(建物→居住用、店舗用、工場用など)
④交換する資産の価額の差が、いずれか高いほうの20%以内であること

参照:国税庁「土地建物と土地を等価で交換したとき」

(5)土地等の中高層耐火建築物等の交換

人口が集中しているような既成市街地域については、住宅を中高層化して住宅を確保するための特例が設けられています。

①特定民間再開発事業の用に供するための土地の建物など(不動産業者が所有し、棚卸資産となるものをのぞく)と、その土地の上に建築された中高層耐火建築物(地上4階以上の耐火建築物)と交換した場合
または
②上記①の規模までいかなくても、既成市街地等にある土地建物などを、その土地の上に建築された一定の耐火共同住宅と交換した場合

交換した土地の収入金額>取得価額
→超える部分に対応する部分については、譲渡所得税が課税されます。
交換した土地の収入金額≦取得価額
→譲渡所得は課税されません。

参照:国税庁「措置法第37条の5《既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例》関係」

(6)立体買換えの特例など

個人は、「買換え特例」や「交換特例」といわれる特例を利用することができます。これらの特例は、譲渡所得税等の課税を繰り延べることができる制度です。
これらの特例を利用すると、等価交換をした時点では譲渡所得税等が課されることはありませんが、交換取得したマンションを将来売却するときには、通常の譲渡所得税等が課せられることになります。

たとえば、立体買換え特例とは、既成市街地等で個人が3階建て以上の耐火共同住宅等(住宅部分が1/2以上であることが要件)を建築するために土地を売却した場合、その購入者が購入した土地上に建築した耐火共同住宅等の区分所有権(敷地利用権付)に買換えるときに使うことができる特例です。
売却する土地については、用途等の制限はありませんが、買い換えるマンションについては自己または親族の居住用、自己の事業用か貸付用、自己と生計を一にする親族の事業用のいずれかに供する必要があるという点に、注意が必要です。

このほか、特定事業用資産の買換えの特例や、特定居住用資産の買換えの特例といった特例もあります。

どの特例を受けるかによって適用要件が異なりますし、税制改正によって要件が変更となることもありますので、信頼できるパートナーとシミュレーションしたうえで、特例を選択することが大切です。

(7)等価交換事業の注意点

等価交換方式は、収益目的、相続税対策、遺産分割対策といった目的から活用されますが、これらの活用目的には優先順位をつけること、そしてその目的が適切か否か、その他の方法はないかなど、専門家等とよく相談することが大切です。

土地活用については、メリットばかりではなくリスクも伴います。
したがって、事業のリスクについて明示をしてくれたうえで、そのリスクへの対策を説明してくれるようなパートナーを選びましょう。

資格をたくさん持っている・人脈が広いなどは大切ではありますが、それよりは一定以上の経験を持っている人を選ぶべきです。

土地の有効活用は、活用する土地の特性によって左右されます。
法的な制約があるか、交通利便性がよいか、生活利便性はよいかなど、さまざまな視点から土地の特性を見極めたうえで、等価交換以外の活用方法(駐車場経営、貸店舗などの活用方法)も提案してくれるようなパートナーが望ましいといえます。

まとめ

大都市圏で容積率が高い土地を持っている人にとっては、等価交換マンションは、有効な選択肢のひとつといえます。
ただし、等価交換マンション事業も事業であるからには、メリットもあればリスクもあります。また等価交換といっても、原則的には課税されますから、特例を活用するなどの税金対策も必要です。
したがって、具体的な検討を進めるうえでは、これらの点を吟味し判断することが大切であり、パートナー選びは非常に重要となります。

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