住民税はいくら?|住民税の節税方法は?

公開日:2019年12月10日
最終更新日:2022年11月01日

この記事のポイント

  • 住民税は「所得割」+「均等割」
  • 所得割額の計算方法は、所得税とほぼ同じ。
  • 均等割は、原則として道府県民税1,500円、市区町村民税3,500円。

 

住民税がいくらなのか計算するためには、まず所得金額を計算し、所得控除や税額控除を差し引くなどして計算します。
住民税は、所得金額を元に計算する「所得割」と定額の「均等割」から成り立っているので、この所得割と均等割を合計したものが、個人の住民税額ということになります。

住民税は個人だけでなく、法人にも課税されますが、この記事では個人住民税の申告方法や計算方法、納付・還付の方法などについてご紹介します。

▶ 確定申告を税理士に依頼したい方はこちら

住民税とは

住民税とは、都道府県や市区町村が行っている行政サービスの費用を、住民にも負担してもらいましょうという趣旨の税金です。
実は、住民税という言葉は法律上にはありません。通常は、道府県民税(都民税を含む)と市町村民税(特別区民税を含む)を合わせて、住民税と呼ばれています。

(1)住民税=所得割+均等割

所得税と同じように1年間の所得金額をもとに税額が計算されますが、所得金額をもとにして計算されるのは「所得割」といわれるもので、住民税には別途定額でかかる部分「均等割」があります。

つまり、住民税は、所得金額を元に計算する「所得割」と定額でかかる「均等割」を合計したものが住民税額です。

住民税額 = 所得割 + 均等割

なお、よく「○○市は住民税が安い」などという話を聞くことがありますが、住民税には10%比例の税率(道府県民税一律4%・市区町村民税一律6%)というものがあり、どこの都道府県・市区町村も原則一律の税額になります。ただし、条例などで変更することは可能とされています。

(2)住民税はいくら?計算方法は?

前述したとおり、住民税は所得割と均等割から成り立っています。
均等割は、道府県民税1,500円、市区町村民税3,500円と決まっていますが、所得割額は個々の所得金額によって異なります。

所得割額

(前年の総所得金額等-所得控除額)×税率-税額控除

①所得金額を計算する
住民税の所得割は、個人の所得金額によって異なります。
そこで、住民税を計算する際にはまず、個人の所得金額を計算する必要があります。
所得とは、収入から必要経費を差し引いたもので、サラリーマンなどは必要経費がないので、代わりに「給与所得控除」を差し引いて、所得を計算します。

収入-必要経費(給与所得控除)=所得

②所得を計算したら、所得控除を差し引いて課税所得を計算する
所得控除とは、雑損控除、医療費控除など、個々の事情によって異なりますが、適用される所得控除の種類や額が多ければ多いほど、所得控除額が多くなるので節税することができます。

所得-各種所得控除=課税所得(課税標準額)

③課税所得(課税標準額)に税率を掛けます。
所得割の税率は、道府県民税一律4%、市区町村民税一律6%となっています。
そこで、課税標準額に10%を掛けて「所得割」を計算します。

課税所得(課税標準額)×10%=算出所得割額

④税額控除・配当割額などを差し引く
所得控除以外に「税額控除」というものがあります。
税額控除とは、住宅ローン控除などのことで、税額から直接差し引くことができるので、所得控除よりも節税効果があります。

算出所得割額-調整控除・税額控除=所得割額

⑤所得割と均等割を合計します
所得割の額を計算したら、均等割(道府県民税1,500円、市区町村民税3,500円)を合計します。

均等割額

均等割額 = 道府県民税(都民税額) + 市町村民税(特別区民税)

この合計額が、個人の住民税額ということになります。

所得割+均等割=個人の住民税年税額

(3)住民税の均等割額の計算

所得控除とは、所得から差し引くことができるもので、所得から所得控除が差し引かれれば、それだけ住民税の負担を抑えることができます。
ちなみに、所得控除は、所得税からも差し引くことができるので、適用される所得控除の種類や額が多ければ多いほど、住民税だけでなく所得税の負担も軽くすることができるのです。
住民税や所得税の納税額を減らしたい場合には、適用される所得控除はもれなく適用を受けることが大切です。
所得から差し引くことができる所得控除は、15種類ありますが、住民税と所得税では、所得控除額に差があります。
所得税の所得控除額と異なるものについては、以下の表にまとめましたので、参考にして下さい。

種類 住民税の所得控除額 所得税の所得控除額
1 雑損控除 下記①②のうち多い方
①損失額(保険金等の補償額を除く)
-総所得金額等×10%
②災害関連支出の金額-50,000円
同左
2 医療費控除 (支払い医療費-補填金額)-10万円と所得の5%のどちらか少ない額)
※セルフメディケーション税制あり
同左
3 社会保険料控除 支払った全額 支払った全額
4 小規模企業共済等掛金控除 支払った全額 支払った全額
5 生命保険料控除 最高7万円 最高12万円
6 地震保険料控除 最高2万5,000円 最高5万円
7 障がい者控除 1人26万円、特別障がい者30万円
※同居特別障がい者の場合53万円
1人27万円、特別障がい者40万円
※同居特別障がい者の場合75万円
8 寡婦控除 26万円 27万円
9 ひとり親控除 30万円 35万円
10 勤労学生控除 26万円 27万円
11 配偶者控除 最高33万円
70歳以上の配偶者:最高38万円
最高38万円
70歳以上の配偶者:最高48万円
12 配偶者特別控除 最高33万円 最高38万円
13 扶養控除 一般の扶養親族(16歳以上19歳未満):33万円
特定扶養親族(19歳以上23歳未満):45万円
一般の扶養親族(23歳以上70歳未満):33万円
老人扶養親族(70歳以上):38万円
老人扶養親族のうち同居老親等(70歳以上):45万円
一般の扶養親族(16歳以上19歳未満):38万円
特定扶養親族(19歳以上23歳未満):63万円
一般の扶養親族(23歳以上70歳未満):38万円
老人扶養親族(70歳以上):48万円
老人扶養親族のうち同居老親等(70歳以上):58万円
14 寄附金控除 (支払額と所得の40%のどちらか少ない額)
-2,000円
15 基礎控除 最高43万円 最高48万円

 
参照:東京都主税局「個人住民税」

(4)住民税は税額控除で節税できる

所得税の確定申告や給与の年末調整で所得税から控除しきれない税額控除(住宅ローン控除など)がある場合には、住民税からその額が差し引かれることもあります。

また、ふるさと納税の場合には、住民税の所得割額から差し引かれますので、住民税の納税額を減らすことができます。ふるさと納税の場合には、寄附金(総所得金額等の額の30%を限度)から2,000円を差し引いた金額の10%が税額控除として差し引かれます。

住民税のおおむね2割以内であれば、2,000円の自己負担で地方の自治体に寄付ができ、その自己負担分についても、寄付先からのお礼として特産品をもらうことができるのです

ふるさと納税の控除額

①所得税からの控除:(寄附金-2,000円)×所得税率
②個人住民税からの税額控除:(寄附金-2,000円)×10%
③特例分控除:(寄附金-2,000円)×(100%-10%-所得税率)
上記①~③の合計が控除されます。

▶ 確定申告を税理士に依頼したい方はこちら

住民税の納付と還付

住民税は、前年の所得について次年の6月から次々年にかけて納付します。
住民税と納める人(納税義務者)は、1月1日時点の住所で判定されます。
つまり、令和5年1月1日に港区に在住していた人は、その後引越しをしても、港区の住民税を納付する必要があります。

(1)住民税の納付

サラリーマンや個人事業主は、自分で住民税を計算したり申告したりする必要はありません。
サラリーマンの場合には、勤務先の会社から市区町村に給与支払報告書が送られ、個人事業主などは、税務署から確定申告書の内容が市区町村に送られ、市区町村がそれらの情報をもとに税額通知書を作成し、課税が行われているからです。

したがって、住民税の申告を行なわなければならない人は、確定申告をしなかった人のうち、以下のようなケースに該当する人だけです。

①給与所得以外の所得がある人(配当所得、事業所得、雑所得など)
②年金受給者の確定申告不要制度を利用できた公的年金受給者のうち、年金以外の所得があった人
③課税・非課税証明が必要となる人(公営住宅入居者など)
④非課税対象者として、各種控除を受ける人(国民健康保険・国民年金・介護保険・後期高齢者医療保険の加入者、児童手当・就学援助などの受給対象者)
⑤年の途中で退職して、年末調整を受けていない人

(2)住民税の還付

住民税の納付方法には、給与所得者の「特別徴収」とそれ以外の「普通徴収」の2つの方法があります。
普通徴収の場合には、市区町村から送られてきた納税通知書に基づいて納付しますが、「特別徴収」の場合には、勤務先の会社が毎月の給与の支払の際に住民税額を差し引いて、代わりに市区町村に納付しています。

特別徴収された住民税については、所得税の確定申告を行ない、損益通算や所得控除などを行った結果、納め過ぎであると判定された時には、税金が戻ってきます。
その時、他の所得から生じる「納付すべき住民税額」があれば、まずその額から控除され、そのうえで控除しきれない場合にはじめて市区町村から税金が戻ってきます。

たとえば、株式投資を行っている時に「源泉徴収ありの特定口座」で徴収された住民税や株式等の配当金から徴収された住民税についても、税金が戻ってくることがあります。

税金が戻ってくるか否か判断ができない時には、税理士に相談してアドバイスを受けましょう。

▶ 確定申告を税理士に依頼したい方はこちら

住民税が非課税になる条件

住民税は、所得額や扶養親族の有無、または本人が未成年者、障害者、ひとり親、寡婦であるなどの条件によって非課税になることがあります。
また、子どもの貧困に対応するために、令和3年分以降は一定の要件を満たす未婚のひとり親に対する個人住民税が非課税になりました。
手続き等が必要になることもありますので、詳細は、お住まいの市区町村で確認してください。

▶ 確定申告を税理に依頼したい方はこちら

まとめ

以上、住民税がいくらか計算する方法や、住民税を節税する方法、住民税が非課税になる条件などに付いてご紹介しました。
住民税は所得割と均等割から成り立っていますが、所得割の部分は、所得を少なくすることで納税額を減らすことができますし、適用される所得控除をもれなく受けることはもちろん、ふるさと納税を活用するなどすれば、さらに節税することができます。
適切な節税対策が分からない場合には、税理士などに相談することをおすすめします。

▶ 確定申告を税理士に依頼したい方はこちら

税理士をお探しの方

freee税理士検索では、数多くの事務所の中から、個人の確定申告や住民税の計算方法、節税方法について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

個人の税金について相談する

この記事の監修・関連記事

監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

クラウド会計ソフト freee会計



クラウド会計ソフト freee会計



クラウド会計ソフト freee会計なら会計帳簿作成はもちろん、日々の経理業務から経営状況の把握まで効率的に行なうことができます。ぜひお試しください!




PageTop