公開日:2022年10月11日
最終更新日:2022年11月16日
ディスクロージャー制度とは、企業が利害関係者に対して行う企業の財務情報や非財務情報の開示をいいます。
ディスクロージャーには、会社法や金融商品取引法といった法律に基づくもの、アンダーライターとの契約によって行うべきものがあります。
ディスクロージャーとは、情報開示のことで、企業の利害者である投資家、債権者、取引先等に対して行う企業内容の開示制度をいいます。
ディスクロージャー制度は、会社法等の法律によるもの、金融商品取引所の規制に基づくものなどがあります。
経営活動の際に必要とされる資金の調達は、株式や社債、コマーシャルペーパー等を発行して広く投資家から出資を募る方法と、銀行などの金融機関からの借入という方法等で行います。
そして投資家や金融機関は、資金を拠出するうえで、その企業の経営状態や資産内容等の企業内容に関する情報を判断材料とします。また、取引先にとっても取引の開始や維持・継続等の判断材料が必要になります。
そこで、発行者にディスクロージャーを要請し、投資家などを保護しようとしているのです。
ディスクロージャー制度は、会社法・金融商品取引法等の法律によるもの、金融商品取引所の規制に基づくもの、アンダーライターとの契約によって行うものなどがあります。
①法律に基づくもの ・会社法による開示制度 会社法では、計算書類を規定し、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、注記表としています。 ・金融商品取引法による開示制度 ②金融商品取引所の規制に基づくもの ③その他 |
会社法および法務省令は、計算書類を規定し、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、注記表としています。また、事業報告と計算書類を別個に規定して、会計に関する部分は、計算書類で報告することとなります。
なお、株主に提供する事業報告書については、ウェブサイトによる提供も可能とされています。
また金融商品取引法における開示は、投資者などの投資判断を行うための情報を提供するものであり、有価証券届出書を内閣総理大臣に提出します。また、インサイダー取引を規制するため、業務等に関する重要事実は公表するものとされています。
会社法による開示制度は、会社の機関設計に応じて適用範囲などが異なります。会社法における「公開会社」は、その発行する全部または一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について、株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社と定義されています。
会社法の構成は、公開会社以外の会社で、いわゆる株式譲渡制限会社を基本とし、その特則として公開会社の規定が設けられています。
取締役会設置会社では、定時株主総会の収集の通知を行い、株主に対して取締役会の承認を受けた計算書類および事業報告、連結計算書類を提出し、株主総会に提出または提供します。
すべての会社に適用される通則として、以下の事項を事業報告の内容として記載することとしています。
①株式会社の状況に関する重要な事項(計算書類および附属明細書、連結計算書類の内容となる事項を除く)
②内部統制の整備に関する決定、または決議 ③買収防衛策などに関する事項 ④特定完全子会社に関する事項 ⑤株式会社とその親会社等との間の取引に係る事項 |
公開会社は、事業報告の内容として、以下の事項を含めなければならないとされています。
また、会社法では、計算書類、連結計算書類、臨時計算書類を規定しています。計算書類は、貸借対照表、損益計算書そのほか法務省令で定めるものです。また連結計算書類は、会計監査人設置会社、およびその子会社からなる企業集団の財産および損益の状況を示すために、必要かつ適当なものとされています。
①株式会社の現況に関する事項 事業内容、営業所・工場・使用人の状況、事業の経過およびその成果、損益の状況など ②株式会社の会社役員に関する事項 ③株式会社の役員等賠償責任保険契約に関する事項 ④株式会社の株式に関する事項 ⑤株式会社の新株予約権等に関する事項 ⑥社外役員等に関する特則 |
このほか、会計参与設置会社は当該会社参与の氏名または名称の事項を記載しなければなりません。
また、会計監査人設置会社についての特則もあります。
これらの事業報告については、定款の定めを置くことにより、事業報告における記載事項の一部についてウェブサイトで開示することによって、株主への提供を省略することができます。
金融商品取引法におけるディスクロージャー制度は、有価証券の発行市場もしくは流通市場において、一般の投資家が投資の判断を行ううえで必要となる十分な資料を提供することで、投資家自身の責任で投資に必要な判断をさせることを目的としています。
発行者のディスクロージャーには、発行市場向けのものと流通市場向けのものがあり、発行者以外の者による開示として、公開買付、大量保有者の開示があります。
有価証券届出書に記載する情報を集め、その真実性を確認し、届出書を作成するには多額の費用がかかります。また、有価証券届出書の提出を要する募集・売出しを行った発行者は、以後、原則として有価証券報告書等により継続的に情報を開示する義務を負い、継続開示のコストも負担することになります。
このような発行者のコストを考慮して、1億円以上5億円未満の募集・売出しについては、有価証券届出書の記載内容を簡略化することが認められています(少額募集、5条2項)。少額募集を行った発行者は、継続開示についても簡略化が認められています。この制度は非上場会社が利用することを念頭に置かれています。
発行市場における企業内容に開示は、企業が一定種類の有価証券を多数のものを相手として、一定金額以上の有価証券の募集または売出しを行う場合に、内閣総理大臣に提出する有価証券届出書および投資者に直接交付される目論見書によって行われます。
流通市場における企業内容の開示は、有価証券報告書、四半期報告書、半期報告書、臨時報告書によって行われます。
有価証券報告書は、内国会社については定められた様式によって作成し、財務局長に提出しなければなりません。
また、有価証券報告書を提出しなければならない会社のうち、一定の要件に該当する会社は、事業年度ごとに、企業集団および財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要なものとして、内部統制報告書をあわせて内閣総理大臣に提出することが義務づけられています。
金融商品取引法では、インサイダー取引について厳しく規制しています。
金融商品取引所の上場会社の役員や一定の株主等の会社関係者等は、法令で定められた業務上の重要事実を知った場合には、その重要な事実が公表されるまで、株式の売買は禁止されます。
不実の継続開示がなされると、当該発行者の上場証券等を取引する投資家に甚大な損害を及ぼすことになるばかりでなく、市場における証券の価格が誤った情報に基づいて決定されることになるため、資本市場はその機能を発揮することができません。
そこで法は、発行者やその関係者に民刑事の責任を負わせるとともに、課徴金を課すことによって、正確な情報のディスクロージャーがなされるよう確保しようとしています。
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