フリーランスは青色申告がおすすめ?知っておきたい必要経費の勘定科目

公開日:2018年08月01日
最終更新日:2022年07月05日

この記事のポイント

  • 開業前には、提出する書類を理解しておく。
  • 確定申告は、断然青色申告がおすすめ。
  • 開業届と青色申告承認申請書は、同時に提出するとラク。

 

個人事業主・フリーランスは、原則として確定申告をする必要があり、そのためには日々の記帳作業が大変重要になってきます。

確定申告には、青色申告と白色申告がありますが、青色申告が断然おすすめです。青色申告では、複式簿記での帳簿づけを義務づけられることになりますが、65万円の特別控除が受けられるという税制上の特典を受けることができるなど、実に多くのメリットを享受することができます。

複式簿記と聞くと「難しそう」というイメージを持つ人も多いのですが、会計ソフトを活用すれば、簿記の知識はそれほど必要なく、経理作業自体を非常にシンプルにすることができます。
会計ソフトをフル活用して、効率的に経理作業を行いましょう。

確定申告は青色申告を選択する

確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。
個人事業主やフリーランスの場合には、どちらかを選択することができます。

青色申告を選択すると、複式簿記で記帳する必要がありますが、白色申告を選択したところで、全く記帳が不要になるというわけではなく、平成26年からは、すべての白色申告者に対して帳簿の記帳と保存が義務づけられるようになりました。
ただし、白色申告の場合、青色申告と比較すると作成しなければならない帳簿の数も少なく、記帳方法も簡易な簿記でよいということにはなっています。

(1)青色申告と白色申告の違い

青色申告を選択すれば、青色申告特別控除(最高65万円※)が受けられ、赤字を3年間繰越しすることができます。また、家族への給与を経費にすることができるなど、多くのメリットがあり節税効果は絶大です。

65万円の青色申告特別控除を受けるための要件

①正規の簿記の原則で記帳
(複式簿記)
②申告書に貸借対照表と損益計算書などを添付
③期限内申告
④e-Tax による申告(電子申告)または電子帳簿保存
参照:国税庁「青色申告特別控除額が変わります!!」

青色申告は、白色申告と比較すると申告内容が専門的で多くの情報を記入する必要があります。そこで「節税は魅力的だけど、手間がかかるのはちょっと…」と考える人もいるでしょう。

けれども昨今の会計ソフトは、日々の収支を入力するだけで、自動で青色申告書が作成されます。つまり、会計ソフトを活用すれば、青色申告も白色申告もほとんど作業内容に変わりがないということです。ですから確定申告は、ぜひ青色申告で行なうことをおすすめします。

(2)青色申告するための事前手続き

確定申告を青色申告で行うためには、事前に以下の手続きが必要となります。
必須なのは、開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)だけですが、必要に応じて届出を提出しておいた方がよいものもあります。
個人事業主、フリーランスが青色申告をするためには、事業を開始した段階でこれらの手続きを済ませておきましょう。

個人事業の開業・廃業等届出書(税務署に提出)
新しく事業を始めた人は、「個人事業の開業・廃業等届出書」を出す必要があります。
この届出は、フリーランスとして税金を申告し、納めることを税務署に伝える意味があります。提出しなくても特に罰則等はありませんが、この届出を出さないと、青色申告ができず、白色申告で確定申告を行うことになります。

「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出期限は、開業日から1カ月以内となっています。
届出が未提出で今まで白色申告を行っていた人でも、後から提出することが認められますので、青色申告承認申請書と一緒に提出しましょう。

▶ 個人事業の開業・廃業等届出書の書き方

事業開始等申告書(都道府県税事務所に提出)
起業するとき、「開業届」と同時に「事業開始等申告書」も提出しなければいけません。
開業届の提出先が税務署ですが、この「事業開始等申告書」は、都道府県税事務所になります。地域によっては都道府県税事務所だけでなく、区市役所への提出が必要になる場合もあります。提出しなくても特に罰則等はありませんが、提出しておいた方が無難です。
開業届は国税の納付を宣誓するものですが、この事業開始等申告書は各種地方税の納付を宣誓するための書類となります。

▶ 事業開始等申告書とは|記入例・提出期限・開業届との違い【まとめ】

所得税の青色申告承認申請書(税務署に提出)
確定申告を青色申告で行うためには、「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出しなければなりません。提出先は、確定申告の書類を提出する税務署になります。

申請書の提出期限は、「開業日」を起点にして2カ月以内が原則で、1月1日~1月15日までに開業した場合は、その年の3月15日までが提出期限、1月16日以降に開業した場合は、開業日から2カ月以内が提出期限となります。
特に申請を出さなければ白色申告の扱いになります。

また、白色申告から青色申告に切り替える場合は、青色申告に変更する年の3月15日までが提出期限となります。
なお、青色申告承認申請書は一度提出すればそれ以降も青色申告となるので、 毎年、税務署へ青色申告承認申請書を出す必要はありません。

▶ 所得税の青色申告承認申請書とは?書き方・提出先・期限【まとめ】

所得税の納税地の変更に関する届出書
自宅と店舗が異なり、店舗の住所を納税地とする場合や、納税地を変更する時に必要となる届出書です。

▶ 所得税の納税地の変更に関する届出書

フリーランスの経理作業

事業を続けていくには、常に事業の状態を把握し、課題が見つかれば軌道修正していかなくてはなりません。そして、事業の現状を把握するために欠かせないのが、日々の収支管理です。
また、確定申告を青色申告で行うためには、複式簿記による帳簿付けが条件となっています(令和2年分より、e-Tax による申告(電子申告)または電子帳簿保存を行うことが要件)。

帳簿づけとは、事業のお金を管理するために「日々の取引を仕訳すること」をいいます。
この「取引」とは、「現金を支払う」「現金を受け取る」などの現金が増減するもののほか、「取引先から商品を仕入れた」「顧客に商品を販売した」なども取引に該当します。
そして、取引を帳簿に記録することを「仕訳」といい、仕訳をする際には、「勘定科目」を割り当てる必要があります。
「勘定科目」を割り当てることで、「このお金は何のために支出したか」「このお金はどのような原因で入ってきたか」を把握することができるようになるからです。

(1)よく使う必要経費の勘定科目25

必要経費とは、売上原価のように収入を得るために直接要した費用だけでなく、取引先に土産を渡したり、従業員に差し入れをしたりといった費用も必要経費となります。
必要経費とは、購入したものが何かではなく、「何のための費用か」によって計上できるかどうかが決まります。

以下に、よく使う主な必要経費の勘定科目25をご紹介します。
これらに該当しない支出もあるかもしれませんが、それが仕事に必要な支出であると思うなら、勘定科目を選んで経費として計上しましょう。

1 売上原価 販売した商品の仕入代金・製造原価
2 給与手当 従業員や青色事業専従者に支払った給与、賞与、アルバイト代
3 法定福利負 従業員の健康保険料、厚生年金保険料、労働保険料
4 福利厚生費 従業員の健康診断費用、従業員への見舞金、慰安旅行の費用など
5 地代・家賃 オフィスや店舗、駐車場などの賃借料、共益費など
自宅兼事務所の場合には、仕事場の面積や仕事時間をもとに事業用を按分して計上できる
6 賃借料 機材、用品のレンタル代、自動車リース代
7 水道光熱費 電気・ガス・水道使用料金
8 旅費交通費 通勤費、交通費、出張旅費など
9 通信費 電話代、プロパイダ料金、切手・はがき代
10 外注費 アウトソーシング代金、清掃会社の清掃料など
11 広告宣伝費 新聞、ネットなどの広告掲載料、看板、カタログ、チラシなどの費用
12 販売促進費 キャンペーン費用、無料サンプル費用など
13 交際費 接待飲食費、中元、歳暮など
14 会議費 会議、打ち合わせなどのための会場代、飲食代
15 諸会費 商工会議所や法人会、同業組合などの会費
※ゴルフクラブのような親睦職の強い団体の会費は、原則として諸会費とは認められない
16 保険料 火災保険、自動車保険など
17 修繕費 建物、機器などの修繕費
18 新聞図書費 業界紙、書籍、雑誌など
19 研修費 セミナーや講習会の受講料
20 事務用品費 文具、ソフトウェア、用紙、コピー代など
21 支払手数料 税理士、会計士、弁護士などへの報酬
22 支払利息 借入金の利息
23 減価償却費 建物、機械、自動車など、年数を経過することで価値が落ちる固定資産については、その価値の落ちた分をその年の費用を計上する
24 消耗品費 名刺、電池、ティッシュペーパーなど
25 租税公課 個人事業税、印紙税、印鑑証明書発行手数料、事業用の自動車税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税、償却資産税

(2)フリーランスの所得と税金

フリーランスが仕事で得た所得は、「事業所得」と呼ばれます。
所得とは、収入から必要経費を差し引いて残ったお金のことで、この所得からさらに人それぞれの事情に配慮して、所得額を減らすことができる「所得控除」という制度があります。
所得から、この「所得控除」額を差し引いた額に、決められた税率を掛けることで、その年の基本的な納税額が決まります。
さらにこの納税額から差し引くことができる、「税額控除」という制度もあります。

つまり、必要経費をもれなく計上して所得を減らし、適用される所得控除については適用を受けて控除額を差し引き、さらに税額控除もきちんと差し引くことが、フリーランスの節税のコツということになります。
何が必要経費と認められるのか、自身が受けられる所得控除、税額控除が何かについて分からない場合には、早めに税理士に相談し、もれなく適用を受けるようにしましょう。

(3)個人用と事業用は分けて管理

帳簿づけを行う際には、事業用の支出とプライベートの支出が混同してしまう場合があります。事業の支出とプライベートの支出は、きちんと分けないと正しい利益が分からず経営状況を把握できなくなってしまいます。
したがって、事業用と生活用は2つの通帳をつくり、別々に管理しましょう。
また、支払や入金はできるだけ引落しや振り込みにして口座を通すようにして、クレジット決済にすれば、預金通帳に記録が残りますし、「クラウド会計ソフト freee会計」と連携させれば、自動で仕訳までされますから、さらに経理作業を効率化することができます。

また、「クラウド会計ソフト freee会計」で仕訳をした内容は、リアルタイムでレポート化されるため、事業の状況を正確に把握することができます。
たとえば費用レポートでは、月別の「仕入高」や「外注費」「給料手当」など費用内訳を確認することができますし、損益レポートでは、収支別の取引先トップ10や、損益の主要項目を時系列で確認することができます。

費用レポート
損益レポート

まとめ

以上、フリーランスは青色申告がおすすめについてご紹介しました。
勘定科目は、「どの勘定科目を選択すればいいか分からない」といったケースもありますが、「クラウド会計ソフト freee会計」なら、簿記の知識がなくても、直感的に勘定科目を選択することができます。
ただし、初期設定を行ったりfreee会計機能をフル活用したりするためにも、「クラウド会計ソフト freee会計」を導入する際には、税理士のサポートを受ける方がスムーズといえるでしょう。

青色申告について相談する

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また、初めて税理士を探す場合は、なかなか自分に合った税理士を選びきれないこともあるかと思いますので、是非コーディネーターによる「税理士紹介サービス」を併せてご利用ください。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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