貯蔵品とは|棚卸しの仕訳や振り戻し処理とは?

公開日:2023年03月24日
最終更新日:2024年03月30日

この記事のポイント

  • 貯蔵品とは、消耗品や耐用年数1年未満または10万円未満の工具器具備品で、費用処理されなかったもの。
  • 期末に未使用で残っている収入印紙、事務用品なども貯蔵品で処理をする。
  • 利用不能なものがある場合には、早期処分を検討する。

 

仕入以外の購入品(事務用品や収入印紙など)で、期末に未使用で残ったものは、「貯蔵品」に振り替えて、当期の経費から一度除いてから、翌期に元の勘定科目に降り戻して、翌期の経費に含めることができます。

このように「貯蔵品」を毎期、洗い替えしていくことで、各期で実際に使用した分を経費として計上することができるというメリットがあります。
 

貯蔵品の豆知識

貯蔵品とは、収入印紙や事務用品など耐用年数1年未満または10万円未満の物品で、未使用の状態で保管してあるものをいいます。
貸借対照表では、貯蔵品は棚卸資産に計上されます。
会計処理では、購入したときに貯蔵品として資産に計上し、使用するたびに費用に振り替えていきます。購入したときに購入金額でいったん費用として計上し、決算において未使用の分を貯蔵品に振り替える方法も認められています。
なお、貯蔵品の購入は消費税の課税取引ですが、収入印紙(租税公課)は消費税非課税取引ですから、その点については注意が必要です。
経理システムは、税理士とのバランスを視野に入れて構築することが大切です。税理士に依頼すれば、経理業務の改善提案や効率化を提案してくれるので、経理担当者の人数やコストを下げることができます。
税理士に税務申告だけ依頼するケースもありますが、その場合には会社に必要な経理担当者を確保しなければならず、また求める人材の質も高くなります。
トータルのバランスで、事業経営に必要なのは何なのかを考えることが大切です。

貯蔵品とは

貯蔵品とは、決算日において未使用の事務用品や消耗品を処理するときに使う勘定科目です。
※製品の製造等のために要する貯蔵品は、製造原価として処理を行います。

消耗品、工具器具備品のうち、相当な価額以上のものは、貸借対照表の流動資産に属することになります。
※流動資産とは、現金預金及び1年以内に現金化が可能な資産のこと。

(1)貯蔵品の処理の流れ

期中の会計処理では、物品を購入したときに、該当する費用で処理をします。
事務用品や消耗品など、仕入以外の購入品を費用計上している場合には、期末に棚卸しを行い、未使用分は「貯蔵品」に振り替えます。

取得原価は、購入代価に直接・間接付随費用を加えます。

①購入時
「切手3,000円分を購入した。」

借方 貸方
通信費 3,000 現金 3,000

②決算時
「決算で棚卸をしたところ、2,000円分の切手が未使用で残っていた。」

借方 貸方
貯蔵品 2,000 通信費 2,000

そして、翌期首に前期末の「貯蔵品」を元の勘定科目に振り戻す処理を行い、翌期の経費に含めるようにします。
こうすることで、各期に実際に使用した分を経費として計上することができます。

③翌期首
「翌期首、前期末の貯蔵品を振り戻した。」

借方 貸方
通信費 2,000 貯蔵品 2,000

(2)貯蔵品に該当するもの

貯蔵品に該当するものは、消耗品や事務用品等の消耗品のほか、耐用年数1年未満または耐用年数1年以上で10万円の工具器具備品で、費用処理されなかったものです。

決算日に未使用のままで貯蔵されている、以下のようなもの
・事務用品
・文房具
・包装材料
・切手
・帳票
・燃料
・パンフレット
・収入印紙
・切手

(3)貯蔵品を購入した時の仕訳

貯蔵品を購入した時、消費したときは、以下のように処理を行います。
消耗品の購入は、消費税課税取引ですが、収入印紙(租税公課)は非課税取引です。

①購入時
「消耗品5万円を購入し、そのうち3万円を消費した。」

借方 貸方
貯蔵品 50,000 未払金 55,000
仮払消費税等 5,000

②払出時

借方 貸方
消耗品費 30,000 貯蔵品 30,000

(4)貯蔵品の期末未使用品の振替処理

期末に未使用品があった場合には、期中の購入時に費用処理をしておいて、期末に未使用分だけ貯蔵品として振り替える処理を行います。
切手は通信費、収入印紙は租税公課で処理をします。

「期中に切手3万円、収入印紙を1万円購入した。期末に未使用の切手5,000円、収入印紙3,000円があり、これを貯蔵品に振り替える。」

①購入時

借方 貸方
通信費 30,000 現金 30,000
租税公課 10,000 現金 10,000

①決算時

借方 貸方
貯蔵品 5,000 通信費 5,000
貯蔵品 3,000 租税公課 3,000

(5)経常的に消費する貯蔵品の処理

税務上は、消耗品等の貯蔵品は、貯蔵品を消費した日の属する事業年度の費用とするのが原則です。
ただし、毎期概ね一定数量を購入し、かつ経常的に消費されるものについては、継続適用を条件として、購入した日の属する事業年度の費用(損金)として処理をすることができます。

(6)固定資産の廃材の処理

有形固定資産の廃材で、処理価値が見込まれるものや取替部品としての利用が見込まれるものも「貯蔵品」として処理を行います。
この処理については、有形固定資産の廃棄損を先延ばしにする可能性があります。さらに、貯蔵品に計上されていることから減価償却もされませんので、資産の過大計上となる可能性があります。

したがって、処理を行う際には「実際に処分が可能であるか」「処分価値の見積は、適正に行われているか」「取替部品として利用可能であるかどうか」等、十分に検討することが大切です。そして、利用価値がないと判断した場合には、早期に処分する方が財務健全性の観点からは望ましいといえるでしょう。

「簿価5万円の機械の廃棄を行うにあたり、一部利用可能な部品を取り外し、貯蔵品として処理をする。当該部品の購入価格は、2万円と見込まれる。」

借方 貸方
貯蔵品 20,000 機械装置 50,000
固定資産除却損 30,000

「一部利用可能な部品として2万円の貯蔵品として計上していたが、機械装置本体が仕様変更したため、当該部品は使用できなくなったので、廃棄した。」

借方 貸方
雑損失 20,000 貯蔵品 20,000

まとめ

貯蔵品とは、消耗品のほか、耐用年数1年未満または10万円未満の工具器具儀品で、未使用(費用処理されなかったもの)を処理するときに使う勘定科目です。期末に未使用で残っている切手や収入印紙も、貯蔵品で処理をします。
ただし、利用不能なものがある場合には早期に処分を検討することが大切です。

貯蔵品について相談する

freee税理士検索では、数多くの事務所の中から、貯蔵品の処理や、固定資産を廃棄した際の処理、節税対策などについて相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

 

\ 貯蔵品について相談できる税理士を検索 /

都道府県
業種

貯蔵品に関する税理士相談Q&A・経験談を見る

・貯蔵品での振替について
「前期の決済にて未使用の消耗品を貯蔵品とし振替をしました。
当期で使用した分の貯蔵品から消耗品費への振替方法をお伺いしたいです。
・貯蔵品について
「開業費で購入した消耗品を貯蔵品にしたいのですがこの場合は貯蔵品にしてもよろしいのでしょうか?
・貯蔵品の計上について
「経費にならなかった消耗品を貯蔵品として計上しました。
その際freeeにて記入した場合、総勘定元帳にて「発生額累計」と「残高」にマイナスがついてしまいました。

この記事の監修・関連記事

監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

クラウド会計ソフトの「クラウド会計ソフト freee会計」が、税務や経理などで使えるお役立ち情報をご提供します。
「クラウド会計ソフト freee会計」は、毎日の経理作業を最小限で終わらせることができるクラウド型会計ソフトです。疑問点や不明点は、freee税理士検索で税理士を検索し、相談することができます。

 

PageTop