株主資本とは|貸借対照表の純資産の部からわかりやすく解説

公開日:2019年11月29日
最終更新日:2021年09月13日

目次

  1. 株主資本とは
    • (1)株主資本は「純資産の部」に表示される
    • (2)株主資本は大きく「元手」と「利益の蓄積」の2つに分かれる
    • (3)株主資本と自己資本との違い
  2. 株主資本の中身を詳しく見てみよう
    • (1)株主資本の「資本金」とは
    • (2)株主資本の「資本剰余金」とは
    • (3)株主資本の「利益剰余金」とは
    • (4)株主資本の「自己株式」とは
  3. 株主資本利益率(ROE)とは
    • (1)株主資本利益率(ROE)の計算式
    • (2)株主資本(自己資本)利益率の目安は10%
  4. まとめ
    • 株主資本について相談できる税理士をさがす

この記事のポイント

  • 株主資本とは、簡単にいうと株主の持ち分にあたる部分。
  • 株主資本は、貸借対照表の「純資産の部」に表示される。
  • 株主資本は、大きく「株主が出資」した部分と「利益の蓄積」の部分に分かれる。

 

株主資本とは、簡単にいうと株主の持ち分にあたる部分をいい、貸借対照表の「純資産の部」に表示されます。
「株主資本」は純資産の部の中心となる項目なので、しっかり理解しておきましょう。

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株主資本とは

株主資本とは、資本のうち株主の持ち分のことをいいます。
株主資本は大きく2つに分かれます。
株主が出資した金額の合計である「資本金」と「資本剰余金」もう1つは会社ができてから決算までに稼いできた利益を累積した「利益剰余金」です。

株主が出資 資本金
資本剰余金 資本準備金
その他資本剰余金
利益の蓄積 利益剰余金 利益準備金
その他利益剰余金 別途積立金
繰越利益
自己株式

 

(1)株主資本は「純資産の部」に表示される

株主資本は、貸借対照表の「純資産の部」に表示されます。

貸借対照表とは、会社の財産や負債の額(財政状況)が分かる決算書のことで、大きく「資産」「負債」「純資産」の3つに区分されていて、株主資本はこの「純資産の部」に表示されています。

(2)株主資本は大きく「元手」と「利益の蓄積」の2つに分かれる

株主資本は、資本金、資本剰余金、利益剰余金などの項目に区分されますが、これらの項目は基本的には「元手(株主が出資した金額)」か「利益の蓄積(会社ができてから決算までに稼いできた利益)」のいずれかに分けられます。

事業を始める時に株主から出資を募ったお金が「元手」です。この元手は、資本金資本剰余金として処理されます。
そして、この元手を使って事業を行うことで蓄積されていった利益は利益剰余金となります。

(3)株主資本と自己資本との違い

株主資本と似たものに「自己資本」があります。
株主資本と自己資本は同じ意味に使われることもありますが、厳密には自己資本とは、株主資本よりもっと広い意味で使われる用語です。

以下は、株式会社ヤクルトの「平成26年3月期 決算短信」の純資産の部です。

純資産は、「株主資本」「その他の包括利益累計額」「少数株主持分」などから構成されていて、株主資本は純資産の一部であり自己資本の一部であるということができます。

参照:株式会社ヤクルト「平成26年3月期 決算短信」

株主資本の中身を詳しく見てみよう

貸借対照表の「純資産の部」は、主に以下の項目で構成されています。

純資産の部の勘定科目

Ⅰ株主資本

(1)資本金:会社設立時の出資金や増資払込などのこと
(2)新株式申込証拠金:新株発行時に払い込まれた金額のうち、資本金としての効力発生前のもの
(3)資本剰余金:株主が払い込んだお金のうち資本金に組み入れられなかった部分
 ①資本準備金:資本取引から生じた株式払込剰余金などのこと
 ②その他資本剰余金:資本剰余金のうち、資本準備金以外のもののこと
(4)利益剰余金:利益の内部留保の部分
①利益準備金:企業の利益のうち社内に留保すべきものとして規定されているもの

②その他利益準備金:
○○積立金、
繰越利益剰余金(社内留保利益のうち利益準備金と積み立て金以外の社内留保利益

(5)自己株式:自己株式のこと

Ⅱ評価・換算差額等

(1)その他有価証券評価差額金:有価証券の簿価と時価との差額を損益計算書に計上せず、貸借対照表の純資産の部に計上するもの
(2)繰越ヘッジ損益:ヘッジ会計によって繰り延べられた損益または評価差額のこと
(3)土地再評価差額金:土地の再評価に関する法律に規定する再評価差額金のこと

Ⅲ新株予約権
株式会社に対して行使することで、その会社の株式の交付を受けることができる権利

株主資本の中心となるには、資本金、資本剰余金、利益剰余金です。

①資本金(元手)
株主から出資を受けたお金

②資本剰余金(元手)
資本金にはならなかった剰余金(余り)

③利益剰余金(利益の蓄積)
会社が利益を上げ、配当した後の余りの利益で、会社に内部留保されたもの

最近は会社法が改正されたこともあり例外もありますが、基本的な考え方に従えば、株主に配当として分配できるのは、あくまでも利益の蓄積である利益剰余金だけで、元手を意味する資本金や資本剰余金は分配することはできません。

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(1)株主資本の「資本金」とは

貸借対照表の「純資産の部」の一番うえに表示されているのが「資本金」です。
資本金は株主から出資を受けたお金です。
会社は、株式発行によって払い込まれた金額の2分の1以上を資本金に計上しなければならず、残額は資本準備金(資本金としない出資金)として計上されます。

なお、ここで注意しなければならないのは、「資本金が大きいからこの会社は安心」ということではないという点です。
確かに資本金は、「過去に株主からこれだけのお金を集めたことがある」という実績を表す数値ではありますが、決して「会社の現在価値」をあらわす数値ではないということです。
資本金の額が大きくても、会社の現在の財政状態は火の車だというケースもあります。「資本金の額が大きい」=「安定した会社」とは限らないという点に注意しましょう。

資本金を増加させる場合には、資本準備金またはその他資本剰余金を減少させて同額を資本金に振り替えます。資本金を減少させる場合には、資本金の減少額と同額について、資本準備金またその他資本剰余金を増加させます。

資本金額は登記しなければなりませんが、この登記手数料が資本金額に比例することから、実務上は払込金額の2分の1を資本金としているケースが多く見られます。

また、資本金が5億円以上の株式会社については、公認会計士による監査が義務づけられています。

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(2)株主資本の「資本剰余金」とは

資本剰余金は、会社設立時に出資を受けたお金や増資時に株主から集めた資金のうち、資本金とされなかった部分で、資本金とは法的な形式が違うだけで「元手」という経済実態としてみれば、特に違いはありません(※後述)。

利益剰余金は、利益金の剰余金であるのに対して、資本剰余金は、資本の剰余金であるという点で異なります。

資本剰余金の種類
資本剰余金は、資本準備金・法律で定める準備金で資本準備金に準ずるもの、およびそれ以外のその他資本剰余金で構成されます。

①資本準備金
資本準備金は、資本剰余金の1つです。
株式発行の際に株主から払い込みを受けた金額のうち、資本金に組み入れられなかった金額であり、払込金額の2分の1を超えない金額までは資本準備金として計上することができます。
資本準備金は、株主総会決議でその額を減少させ、資本金またはその他資本剰余金に振り替えたり、資本金またはその他資本剰余金を減少させたりして資本準備金を増加させることもできます。

②その他資本剰余金
その他資本剰余金は、主に資本金減少差益、資本準備金減少差益および自己株式処分差益によって構成されます。

項目 内容
資本金減少差益 資本金の額を減少させる場合において、減少した資本金の額のうち資本準備金に計上しなかった金額
資本準備金減少差益 資本準備金を減少させる場合において、資本金へ組み入れなかった金額
自己株式処分差損益 自己株式の処分対価から、自己株式の帳簿価額を控除した金額。負の値である自己株式処分差損は、払込資本としての性格を重視し、その他資本剰余金から減額する処理を行う
合併および会社分割等によるその他資本剰余金 合併および会社分割等の組織再編の際の払込資本のうち、資本金または資本準備金とされなかった部分
持分変動差額(連結のみ) 子会社株式の追加取得または一部売却によって生じる持分変動差額

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(3)株主資本の「利益剰余金」とは

利益剰余金とは、会社が設立されてから現在までの儲けから、税金や配当などで支出されず企業内に残っている利益のことをいいます。

株式発行などによる資本取引と事業運営などによる損益取引は、投資者保護の観点から明確に区別しなければならないことから、資本金・資本剰余金とは区別されて明示されています。

利益剰余金の種類
利益剰余金は、利益準備金とその他利益剰余金から構成されています。

①利益準備金
利益準備金は、会社債権者保護のために社内に留保されるものであり、繰越利益剰余金などから配当を行なう場合には、減少した剰余金の額の10分の1を資本準備金または利益準備金として、準備金合計額が資本金の4分の1に達するまで積み立てを行う必要があります。
利益準備金は、株主総会の普通決議によって取り崩すことができますが、会社の債権者保護の観点からその現象については、債権者が異議を述べる機会を与えなければならないとされています。

②その他利益剰余金
利益剰余金のうち、利益準備金以外のものです。
その他利益剰余金は、任意積立金と繰越利益剰余金からなります。
任意積立金とは、法的に義務づけられたものではなく、任意に利益を内部留保したものという意味の積立金で、株主総会決議などで目的別に積み立てられたものをいいます。
一方、繰越利益剰余金とは、株主総会で利益分の対象となる金額であり、前期繰越利益に当期純利益や任意積立金取崩額などが加味されたものです。

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(4)株主資本の「自己株式」とは

株主資本の自己株式は、会社が買い取った自社株式の金額です。
自己株式は金庫株とも呼ばれます。

自己株式は、自己株式の取得取引が株主との間の資本取引であり、会社所有者に対する会社財産の払い戻しの性格があることから、取得原価をもって純資産の部の株主資本から控除して、表示されます。

つまり、株式の発行数を減らすのと同じ意味があることから、資本のマイナス項目として表示されます。

株主資本利益率(ROE)とは

株主資本をつかった経営指標としては、株主資本利益率があります。
これは、株主資本に対する利益の比率で、企業の収益性を見る経営指標として、収益性分析の際に用いられます。

自己株式の取得は株主資本や総資本を小さくする働きがあり、ROE(株主資本利益率)を改善する効果があります。
一方、以前に取得した自己株式を売却すると、株主資本や総資本を大きくする結果となりますので、株価下落の要因にもなりえます。

(1)株主資本利益率(ROE)の計算式

ROEとは、「Return on Equity」の略で直訳すると、株主資本に対する利益という意味になります。つまり、資本のうち株主が拠出した資本がどれだけ効率的に使われているかを判断するための指標です。

ROE = 当期純利益 / 株主資本 × 100

ROEは、高いほど株主資本を有効に使用して利益を獲得したことを示すことになり、株主利益の増大に貢献しているということができます。

(2)株主資本(自己資本)利益率の目安は10%

ROEは10%以上が目安で、15%以上なら、かなり優秀ということができます。

分子は1年間を通じて獲得される当期純利益を用いるので、原則として分母も1年間の平均的な株主資本を用いる必要があります。したがって、自己株式を取得することで株主資本が小さくなり、ROEが改善されることになります。

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まとめ

以上、株主資本の意味や内容についてご紹介しました。
株主資本は、資本のうち株主に帰属する部分であり、貸借対照表の「純資産の部」の資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式(控除項目)などのことをいいます。
なお、純資産の部の変動内容は、「株主資本等変動計算書」に説明されています。
株主資本等変動計算書では、利益や配当による利益剰余金の増減などの他、有価証券の含み損益の変動による有価証券評価差額金の増減などが表示されています。

貸借対照表の株主資本について詳しく検討したい場合には、株主資本等変動計算書もあわせて確認し、不明点や法律上の手続きについて知りたい場合には、税理士のサポートを求めましょう。

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