法人の税金をできるかぎり節約する方法

公開日:2018年11月06日
最終更新日:2019年05月22日

目次

  1. 会社の節税対策の基本
    • 青色申告の承認を受ける
    • 適用できる特例はフル活用する
    • 税額から控除できることも
  2. 会社の節税アイデア
    • 役員報酬を高くする
    • 社長からの借入金に利息を支払う
    • 減価償却資産の工夫
    • 社長の自宅は社宅とする
  3. 節税と脱税の違い
    • 売上除外
    • 架空仕入の計上
    • 従業員数の水増し
    • 架空の外注費計上
    • 源泉徴収をしない
  4. 税理士に相談するメリット
    • 制度改正に対応してもらえる
    • 節税アドバイスをもらえる

事業が軌道に乗ってくれば、利益に対して課税される税金も増加します。税金を少なくするためにはさまざまな方法を検討する必要がありますが、なかには支出を伴う方法もあり、会社にキャッシュが残らなくなってしまうケースもあります。
節税できたとしても、会社を成長させるために何の貢献もしないようでは、意味がありません。
またなかには節税ではなく、脱税になるケースがありますので、その点も注意が必要です。

ここでは、中小企業を成長させ、かつ比較的簡単に行うことができる節税アイデアをご紹介します。

会社の節税対策の基本

中小企業の節税対策には、さまざまな方法がありますが、良い節税対策は「お金を残すこと」に尽きます。
たとえば、100万円の節税に成功すれば、その残った100万円を販売促進費などに投資することができます。それによって、売上高は伸びれば、さらにお金を増やすことができます。つまり、「節税でお金を残す→投資をしたさらにお金を増やす→節税でお金を残す」といった好循環にすることこそが、お金を残す良い節税のコツなのです。

ここでは、このような「良い節税対策」を行うための方法をご紹介します。

青色申告の承認を受ける

節税の基本は、まず青色申告の承認を受けることです。
青色申告は法人税の申告方法の一つで、会計帳簿を記帳して保存することが義務づけられますが、欠損金の繰越控除や繰戻還付など、多くの税務上の特典が受けられます。

たとえば、青色申告で確定申告をした年度の赤字を、翌年から10年間、所得金額から控除できる制度です。たとえば、設立した年度に、赤字が200万円が出た場合、その200万円は翌年以降の所得金額から控除することができます。

国税庁がまとめた平成28年分「会社標本調査」によると99%以上の法人が青色申告を行っています。まだ青色申告を行っていない場合は、税務署に申し出て青色申告の承認を受けましょう。

参照:国税庁「平成28年分会社標本調査」

青色申告の承認を受けるためには、「青色申告の承認申請書」を事前に税務署へ申請し、承認を受ける必要があります。なお、申請後に税務署から何も連絡がない場合は承認されたものとして取り扱われます。
なお、税務調査で帳簿を提示しなかったり2期連続で期限内に申告書を提出しなかったりなどの不正があれば、青色申告は取り消されるため注意しましょう。

参照:国税庁「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」

適用できる特例はフル活用する

法人税では中小企業に対するさまざまな特例が設けられています。
そして、これらの特例で適用できるものをフルに活用すれば、法人税を節税することができます。

○設備投資に係る固定資産税の特例
市区町村の判断によって、生産性向上につながる新規設備投資の固定資産税が3年間最大ゼロになります。

○従業員の給与の法人税控除
従業員の給与を前年度より増加させた場合、最大で増加額の25%を法人税から控除できます。

○IT機器等の少額減価償却資産
30万円未満の減価償却資産を取得した際、合計300万円まで全額損金算入できます。

○交際費課税の特例延長
年間800万円までの交際費は、損金に算入することができます。
参照:中小企業庁ホームページ 財務サポート「税制」

税額から控除できることも

中小企業が一定の設備投資をした場合は、取得金額の全額あるいは一定割合の特別償却ができるほか、取得金額の一定割合を法人税の税額から控除することができます。

対象となる設備投資や特例を受けるための要件は細かく定められているため、中小企業庁の広報冊子を参照したうえで、税理士などの専門家に確認してください。

参照:中小企業庁ホームページ 財務サポート「税制」

会社の節税アイデア

法人税を節税するためには、経費を増やして利益を圧縮する必要があります。しかし、無駄な経費を増やしてしまって、会社に利益が残らないのでは本末転倒です。効果的な節税対策としては、会社の支出のうち経費にしていないものを計上したり、社長個人に対する支払いを増やしたりといった方法が考えられます。ここでは、中小企業で適用できる節税アイデアをいくつかご紹介します。

役員報酬を高くする

役員報酬を高くすることで、利益を圧縮して節税することができます。
毎月同額の役員給与を支給している場合には、不当に高額でない限りは税務上費用処理が認められます。

ただし、役員報酬が利益調整に使われないようにするために、経費の計上には一定のルールがあります。
まず、役員報酬は自由に変更することができず、事業年度開始3カ月以内に改定する必要があります。つまり、例えば3月決算の会社の場合には、4月~6月に役員給与を改定決定すれば、それは税務上も認められることになります。
役員報酬は、毎月の給与にあたる部分のほか、賞与として事前に税務署に届け出た部分のみ税務上の経費にすることができます。つまり、役員賞与を高くして節税するためには、事前に支給額を決めて届出をする「事前確定届出給与」に該当する必要があります。

上記以外に報酬の改定が認められるケースとしては、経営状況が著しく悪化したケースで減額(増額はダメ)改定が認められることがあります。

社長からの借入金に利息を支払う

会社が社長個人から資金を借りた場合は、利息を支払わないことが多いようですが、この時利息を支払うことで利益を圧縮できます。ただし、会社を利益を圧縮できても、今度は、社長個人が受け取った利息には所得税が課税される場合があります。支払利息で節税を図る場合は、会社と社長個人の税務メリットについて、十分検討する必要があります。

減価償却資産の工夫

資産の価値の減少を見込んで計上する減価償却費はお金の支出がない経費であり、節税に役立てることができます。ただし、通常の減価償却では償却方法がおおむね決められています。中小企業の設備投資に関する優遇税制を活用するとよいでしょう。

青色申告書を提出する、資本金又は出資金の額が1億円以下の法人等(※)又は常時
使用する従業員の数が1,000人以下の個人は、市区町村の判断によって、生産性向上につながる新規設備投資の固定資産税が3年間最大ゼロになります。

また、資本金3,000万円以下の法人、個人事業主の場合、30%の特別償却か、7%の税額控除が選択適用できます。経営力向上計画の認定を受けると、法人税・所得税の即時償却または税額控除が選択でき、固定資産税を3年間、2分の1に軽減することもできます。
中小企業の設備投資に関する優遇税制とは、資本金3,000万円以下の法人、個人事業主の場合、30%の特別償却か、7%の税額控除が選択適用できるというものです。
また、経営力向上計画の認定を受けると、法人税・所得税の即時償却または税額控除が選択できますし、固定資産税を3年間、2分の1に軽減することもできます。

各税制には、それぞれ対象となる接辞や指定事業など、必要となる要件がありますので、税理士等の専門家に相談するとよいでしょう。

参照:中小企業庁「中小企業投資促進税制」

社長の自宅は社宅とする

役員や従業員の住む自宅の家賃は経費にはできません。しかし、賃貸契約を借上社宅として会社名義で契約することで、節税することができます。

ただし、この場合には、①小規模の住宅であること、および②全額を経費処理していると、従業員が給与課税されるという点に注意が必要です。

①小規模の住宅であること
小規模な住宅とは、法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下(区分所有の建物は共用部分の床面積を按分し、専用部分の床面積に加えたところで判定します。)である住宅をいいます。

②全額を経費処理していると、従業員が給与課税される
本来であれば、家賃全額を会社が持つのではなくて、一部の金額を役員や従業員から徴収する必要があります。社長の家賃負担がないか極端に安い場合は、賃料との差額が役員への給与とみなされて課税されてしまいます。

【貸与する社宅が小規模な住宅である場合の従業員の負担額の計算式】
(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

なお上記以外に、社長が所有している自宅を会社に譲渡して社宅にする方法もありますが、譲渡するときに所得税がかかります。会社が納める税金一覧や節税に関する記事は下記で説明しています。

「会社が納める税金一覧と納税方法まとめ」を読む

「法人の節税対策-決算前にすべき節税対策ガイド」を読む

「節税効果大!減価償却する資産、償却する方法とは」を読む

「少額減価償却資産で一括償却して節税する」を読む

「中小企業の節税対策|知っておくと得をする対策まとめ」を読む

「消費税課税事業者の節税対策」を読む

節税と脱税の違い

経費を増やして利益を圧縮する行為でも、ルールを逸脱したものは節税ではなく脱税になります。ここでは、脱税にあたるケースをいくつかご紹介します。脱税をすれば、確かに税金を一時的に減らすことはできるでしょう。しかし、後から追徴課税を受けて結局は大きく損することになります。「脱税は百害あって一利なし」であることを、忘れないようにしましょう。

売上除外

脱税の方法として、最も多いのが、売上を計上しない、または次の期にずらすことで利益を少なくする行為である「売上除外」です。

利益を減らすために売上を操作しても、必ずどこかで取引の矛盾が発生します。税務署が行う税務調査では、現金預金や商品の流れを追跡するほか、取引先にも聞き取りをして売上除外を見つけ出します。

架空仕入の計上

架空仕入の計上も脱税行為です。実体のない仕入を計上するほか、次の期に計上するべき仕入を当期に計上することで利益を圧縮します。
税務調査では、売上除外と同じように現金預金や商品の流れを追跡する他、取引先への聞き取り調査も実施します。支払条件の変更などイレギュラーな取引があれば不正が疑われやすくなります。

従業員数の水増し

従業員数を水増しして人件費を増やすことも、不正な行為です。架空の社員を雇用したように見せかける他、退職した社員を継続して雇用しているように見せかけることも、脱税の方法としてよく使われる手法です。

税務調査では、出勤簿やタイムカードのほか、履歴書の有無を確認したり他の従業員に聞き取ったりして、従業員数の水増しを突き止めます。特定の人だけ給与を現金払いにしている場合も不正が疑われます。

架空の外注費計上

外注費のようなサービスに対する支払いは商品の仕入のように物が動くわけではないので、比較的架空計上しやすい費目です。
税務調査では「反面調査」といって、取引先の売上高を確認して外注費が正しいかどうかを調べます。架空の外注費は取引先では売上の増加につながり税金が増えるため、計上されることはあまりありません。そこで矛盾が発生して架空計上が発覚します。

源泉徴収をしない

会社は従業員の給与から所得税と住民税を源泉徴収する他、税理士や弁護士などに支払う報酬からも所得税を源泉徴収しなければなりません。税務調査で源泉徴収漏れが見つかると、相手先から源泉徴収税額を回収するか、回収できなければ会社が負担することになります。

源泉徴収が必要な報酬・料金については、国税庁ホームページに詳しく記載されています。源泉徴収漏れのないように注意しましょう。

参照:国税庁タックスアンサー No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは

税理士に相談するメリット

中小企業で節税対策を考えるときは、税の専門家である税理士に相談することをおすすめします。制度改正への対応や節税のための有効なアドバイスが受けられるため、会計を自社で行っている会社でも、税理士に相談するメリットは大きいといえるでしょう。

制度改正に対応してもらえる

税金に関する制度は時々改正が行われます。時限措置だった特例の期限が延長されることも珍しくありません。社長が自らこれらの制度改正をもれなく把握するのは大変でしょう。このような時に税理士に相談していれば、、頻繁に行われる制度改正にもタイムリーに対応してもらえます。

節税アドバイスをもらえる

中小企業の節税対策にはさまざまなものがありますが、すべてが自社に有効であるとは限りません。また、中小企業に関する優遇税制は種類が多く、上手に活用できていないこともあります。信頼できる税理士に相談すれば、自社の事情に最も有効な節税アドバイスがもらえるでしょう。

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