補助金とは・助成金とは|種類と活用方法

公開日:2018年08月01日
最終更新日:2022年03月15日

この記事のポイント

  • 補助金・助成金とは、原則として返済不要の交付金のこと。
  • 補助金と補助金は、それぞれを提供する省庁が異なる。
  • 補助金・助成金は、受給が決まっても、すぐに交付されるものではない。

 

補助金・助成金とは、省庁や自治体などが募集しているもので、原則として返済不要の交付金です。

申請条件を満たしたうえで応募し、審査などを通過するとその事業に要した費用の全部または一部について給付されます。
補助金・助成金は、申請期間や使用用途に制限が設けられており、申請手続きや書類の作成が必要となります。しかし何といっても、補助金・助成金は、返済不要であるという大きなメリットがある制度です。まとまった資金を受給できれば、事業の成長を加速させることも可能なのです。

ここでは補助金・助成金を受給するための基礎知識や主な手続きなどについてご紹介します。

補助金・助成金の基礎知識

政府は、国民が経済的に豊かな生活を送ることができるように、さまざまな政策を実施しています。その政策の1つが、補助金・助成金の給付です。

事業者が補助金・助成金の受給を受けることで、事業者が事業の設備や従業員に対して投資を行い、その効果として事業が発展すれば、結果的に労働者(消費者)の賃金が増えるということを目的としています。

つまり、補助金と補助金は、それぞれ「○○という事業を実施するために交付する」「○○という設備投資を実施するために交付する」という具体的な目的があります。
そして、この目的を達成するための条件を満たさないと受給することはできません。
政策方針によって、これらの条件は毎年変わることもあるので、注意が必要です。

(1)補助金と助成金の違い

補助金と補助金の違いですが、まずそれぞれを提供する省庁が違います。
補助金は主に経済産業省が提供していて、技術開発、商店街活性化などさまざまな政策を目的として交付されます。
一方、助成金は主に厚生労働省が提供していて、雇用増加・安定、能力開発などを目的として交付されます。

補助金 助成金
管轄省庁 経済産業省および自治体が中心 厚生労働省が中心(ただし、経済産業省や自治体が実施しているものもある)
支援の目的 技術開発、商店街活性化、CO2削減など 雇用増加・安定、能力開発など
難易度 倍率が高い(条件を満たしても審査や面接で落とされるケースが多い) 条件を満たせば高い確率で受給できる
金額 数100万円〜数億円(5,000万円程度が中心) 数10万円〜100万円程度
募集期間 1年に1度 通年

(2)補助金・助成金は原則返済不要

補助金・助成金は、原則として返済義務はありません。
金融機関から融資を受ける際には、当然返済の必要がありますし、売上や利益など事業規模に応じて融資額や利率が異なりますが、補助金・助成金は事業規模に関係なく、また返済も不要で給付を受けることができるという点が大きなメリットです。

(3)補助金・助成金は原則後払い

補助金・助成金は、受給できることが決まっても、すぐに交付されるものではありません。対象の事業を実施したり制度を導入したりして、その実績報告を行った後で交付されます。

補助金・助成金が実際に入金されるまでの期間はさまざまですが、短くても3カ月、長い場合には1年以上かかることもあります。

補助金の基礎知識

補助金は、事業に必要な設備投資やホームページの作成費用、販路拡大のための費用など、事業の活性化を図るために不足している資金を「補助すること」を目的としています。
そのため、審査には事業計画書が必須であり、審査・面接を経て「この事業は確かに社会の役に立つ」と判断されて初めて補助金事業として認められ、事業が実施された後に、事業にかかった費用の一部が補助されます。

(1)主な補助金の種類

前述したとおり、補助金は政策ごとに目的・趣旨が異なり、種類もさまざまです。
したがって、補助金を受給するためには、自社の事業と制度の目的・趣旨が合致する補助金を見つける必要があります。
補助金は、募集要件が毎年異なり、募集期間も短いものが多いので、ここでは比較的毎年募集されているものについてご紹介します。

・ものづくり補助金
ものづくりの新事業を創出するために、革新的な設備投資やサービス開発、試作品の開発を行う中小企業を支援することを目的とした補助金です。
一般型の場合は100万円~1,000万円、補助率は2/3であることが多いようです。
参照:経済産業省 中小企業庁「ものづくり(サービス含む)中小企業支援」
・IT導入補助金
サービス業を中心とした中小企業、小規模事業者が、新たに生産性向上に貢献するITツール・ソフトウェア(パッケージソフトの本体費用、クラウドサービスの導入・初期費用等など)を導入する際に、受けることができる補助金です。
上限450万円、下限30万円、補助率は1/2です。

参照:経済産業省 ミラサポPlus「IT導入補助金」

(2)補助金を受給するまでの流れ

一般的な補助金の交付は、以下の通りです。

①申請書類を準備し、期日までに事務局に提出します。

②書類審査が行われます。

③書類審査が通過すると、面接による審査が行われます。
(※補助金にとっては、面接がない場合もあります。)

④採択が決定された場合には、採択通知が郵送されてきます。

⑤事業の実績報告書を元に補助金額が決定し、事業を遂行します。

⑥事業について報告をします。

⑦事業報告について確認が行われ、補助金が交付されます。

補助金は、募集期間も短いものが多く一般的には1カ月前後で募集期間が終了してしまいますし、もっと募集期間が短い場合もあります。
補助金の受給を考えている人は、あらかじめ税理士に相談して、補助金の情報をタイムリーに入手できるように依頼しておくことをおすすめします。

▶ 補助金について相談できる税理士をさがす

助成金とは

助成金も補助金と同様、返済不要の交付金です。
管轄は主に厚生労働省がで、雇用の安定と労働環境の改善を目的とするものがほとんどですが、経済産業省、地方自治体が実施している助成金もあります。経済産業省が実施する助成金もありますが、こちらは、新しい技術やサービスなどを開発するための研究費や、ビジネスモデルを実現するための広告宣伝費などを補助することを目的としています。
経済産業省の助成金は、厚生労働省の助成金より多額ですが、書類審査と面接に合格する必要があります。

補助金は、書類審査や面接が必要ですが、助成金の場合には、受給条件に該当している事業主が申請をすれば、高い確率で受給することができます。

(1)主な助成金の種類

厚生労働省が実施している助成金は、従業員の新規雇用や能力開発、障害者や高齢者の雇用の促進などを目的としています。

・トライアル雇用奨励金
職業経験や技能などの面で、安定的な就職が困難な求職者を、ハローワークなどの紹介で一定期間試行雇用した場合に助成されます。
支給額は、対象者1人につき月額40,000円です。

参照:厚生労働省「トライアル雇用助成金」

・キャリアアップ助成金(正社員化コース)
雇用機会が特に不足している地域で、事業所の設置や創業した時に、その地域に居住する求職者等を正社員として雇用した場合に助成されます。

参照:厚生労働省「キャリアアップ助成金」

・障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース
障害者を試用雇用することで、適性や能力を見極め、継続雇用へのきっかけとなることを目的とした助成金です。
支給額は、対象者1人につき月額40,000円です。

参照:厚生労働省「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」

・特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
不安定雇用を繰り返す人を正規雇用して、安定的な就業環境を提供することを目的とした助成金です。
助成金は、6カ月ごとに2期に分割して支給されます。

参照:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」

そのほか、雇用関係の助成金としては、主に以下のような助成金があります(2018年8月)。

厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」

・特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
・特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)
・特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)
・特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)
・特定求職者雇用開発助成金(障害者初回雇用コース)
・特定求職者雇用開発助成金(長期不安定雇用者雇用開発コース)
・特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)
・トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
・トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース)
・トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)
・地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
・地域雇用開発助成金(沖縄若年者雇用促進コース)

参照:厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」

(2)補助金を受給するまでの流れ

助成金は、補助金より受給するのは容易ですが、そうはいっても「必要書類に記入して提出すればよい」というほど簡単なものではありません。
書類を準備することはできても、要件を満たすための準備は時間がかかります。そして、この受給要件を満たす準備の方が、書類作成より大変なのです。

さらに、助成金を申請するためには、法令に基づいた労務管理を行っていることが大前提です。具体的には、全従業員の法定産帳簿があり、出勤簿を管理していて、就業規則の作成・届出を行っていることなどが求められます。

したがって、助成金の受給を検討している時には、どのような助成金があるのか、またどのようなタイミングで申請すればよいのかなどについて、早めに税理士や社会保険労務士に相談してアドバイスをもらうようにしましょう。
個々の事務所によって異なりますが、受給可能な助成金の診断から申請手続まで任せることができる場合もあります。

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まとめ

以上、補助金・助成金の基礎知識や内容についてご紹介しました。
補助金・助成金は、申請条件を満たし審査を追加すれば、原則返済不要のお金です。銀行から受ける融資のように返済する必要なく、事業に活用することができます。
ただし、事業を行う上では、資金調達の全てを補助金・助成金で賄うことは現実的ではありません。
下記の記事では補助金、助成金だけでなく、さまざまな資金調達についてまとめていますので、あわせてご覧ください。

▶ 資金調達の15の方法|借入・受給・出資・その他

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税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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