公開日:2018年08月01日
最終更新日:2022年04月26日
ふるさと納税とは、都道府県や市区町村に対して寄付をすると、寄付金のうち2,000円を超える部分について、一定の上限まで原則として所得税・住民税から全額が控除されるという制度です。
ふるさと納税については、「寄付すればした分だけ税金が控除(差し引かれる)され、返礼品がもらえる」と勘違いしている人も多いのですが、控除には上限額があります。
また、令和元年6月1日以降の寄付については、ふるさと納税の対象とならない都道府県や市区町村がありますので注意が必要です。
ふるさと納税とは、全国各地の都道府県や市区町村から寄付先を選んで、寄付を行うことによって、その自治体ならではの特産品などを「お礼の品」として送ってもらえる制度です。
また、お礼の品がもらえるだけでなく、所得税および住民税から、「2,000円を超える金額の一定の上限額」まで、原則として所得税・住民税が控除される制度ということで人気が高まっています。
またふるさと納税は、寄付したお金の使途を指定できるという点も魅力のひとつです。
通常なら、自分が納付した税金の使い道について、納税者自身が決めることはできません。しかしふるさと納税では、寄付金の使いみちについて、医療、福祉、教育支援など各自治体が提示する選択肢から選ぶことが可能(一部自治体は選択不可)です。
ふるさと納税の特徴のひとつが、各地の特産品を返礼品として受けることができるという点です。
たとえば寄附金3万円で、うなぎ2尾、和牛切り落とし、フルーツといった返礼品を選んだとします。この3万円は寄付しますが、あとで2万8,000円(3万円-2,000円)が戻ってきます。
したがって、実質負担2,000円でこれらの返礼品を受けとることができるというわけです。
「ふるさと納税」という言葉のイメージから、自分の故郷に寄付するとイメージする人もいますが、寄付先は必ずしも生まれ故郷である必要はありません。
欲しい返礼品がある自治体や支援したい自治体など、好きな自治体を選ぶことができます。
自分が住んでいる自治体にも寄付することはできますが、住民票登録のある自治体からは返礼品を受け取ることはできなくなりました。返礼品を受け取りたい場合には、住んでいる自治体以外に寄付をします。
ふるさと納税は、一定額の寄付をすると税負担が軽減されます。
寄付した翌年に確定申告をおこなうと、原則として所得税および住民税から控除され、「寄付した金額ー2,000円」の税金が戻ってきます(後述のワンストップ特例制度は確定申告不要)。
ふるさと納税の控除を受けるためには、原則としてふるさと納税を行った翌年3月15日までに住所地を管轄する税務署に確定申告を行なう必要があります。
ただし、サラリーマンなどの給与所得者の場合には、年間の寄付先が5カ所以内であれば、納税先団体に申請すれば確定申告をしなくても、税金の控除を受けることができるようになりました。この制度を「ワンストップ特例制度」といい、寄付先の自治体に申請書を提出するだけで、確定申告不要で税控除を受けることができます。
ふるさと納税の健全な発展のため、寄付金の募集を適正に実施し、返礼品の寄付に対する返礼割合を3割以下とし、さらに返礼品を地場産品とすることを条件に総務大臣が指定することとなりました。
これは、令和元年(2019年)6月1日以降に支出された寄附金より適用されています。
ふるさと納税は、原則として所得税と住民税から「2,000円を超える一定の上限」まで、控除される制度です。したがって、所得税や住民税を納めていない人はこのメリットを受けることはできません。寄付を行うことはできますが、すべて自己負担となります。
その場合には、ご家族のなかで所得税・住民税を納めている人に、ふるさと納税を行うようにおすすめしてみるのもよいでしょう。
ふるさと納税を行う際には、まずふるさと納税の基本的な仕組みを理解しましょう。
ふるさと納税は、大まかに以下の流れで行います。
①寄付金額の上限を確認する ②返礼品を申し込む ③寄附金控除の確定申告を行う(ワンストップ特例をのぞく) |
① 控除上限額を確認する 前述したとおり、ふるさと納税を行う際には、実質負担額2,000円を超える分については、税金が控除されることになりますが、寄付したら寄付した分だけいくらでも控除されるというわけではなく、控除される金額には上限があります。 ② 選んだ自治体に寄付をする ③ 返礼品と寄付金受領証明書が届く ワンストップ特例制度を利用する時には、この時同封されているワンストップ特例申請書に必要事項を記入して返送します。同じ自治体に複数回寄付を行った場合には、その都度申請書を提出する必要があります。 なお、ワンストップ特例申請書については、寄付金受領証明書に同封されておらずメールで送られることもありますので、自治体に確認するようにしましょう。 ④ 寄付した翌年3月15日までに確定申告をする ⑤ 所得税が控除・還付、もしくは住民税が減額される ワンストップ特例制度の場合は、確定申告不要です。 ⑥ 住民税減額通知が届く ⑦ 減額された住民税を納付する |
前述したとおり、ふるさと納税を行う際には、2,000円の負担額がかかります。
この2,000円を「1度の寄付ごとに2,000円かかる」と勘違いする人がいますが、この実質負担額2,000円は、年間の寄付の合計額に対しての負担額です。
つまり、2,000円を超える分については、税金が控除されることになりますが、寄付すれば寄付した分すべてが控除されるわけではなく、控除される金額には上限があります。
寄附金控除の上限額は、その年の所得金額の40%と決められていて、控除額は以下の計算式で計算します。
①所得税からの控除:(寄附金-2000円)×所得税率 ②個人住民税からの税額控除:(寄附金-2000円)×10% ③特例分控除(寄附金-2000円)×(100%-10%-所得税率) 上記①②③の合計額が控除されます。 |
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控除上限額は、家族構成や年収で変わってきます。
配偶者が専業主婦か、共働きかといった事情や、家族構成、年収によって変わってきます。
控除の上限額は、総務省のふるさと納税ポータルサイトで計算することができますので、まずは試算をしてみましょう。
サラリーマンなどの給与所得者の、控除されるふるさと納税額の目安は以下の通りです。例えば、夫が年収600万円のサラリーマンの場合で、妻が専業主婦の家族の場合に6万円の寄付をすると、-2,000円の「58,000円」が、税金控除の対象となります。
下記表は、住宅ローン控除や医療費控除等、他の控除を受けていない給与所得者のケースであり、あくまで目安です。
具体的な計算はお住まい(ふるさと納税翌年1月1日時点)の市区町村にお問い合わせて確認をしてください。
共働き※1:ふるさと納税を行う方本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケース
夫婦※2:ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケース
※3「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」
ふるさと納税を行う方本人の給与収入 | ふるさと納税を行う方の家族構成 | ||||||
独身又は共働き※1 | 夫婦※2 | 共働き+子1人(高校生※3) | 共働き+子1人(大学生※3) | 夫婦+子1人(高校生) | 共働き+子2人(大学生と高校生) | 夫婦+子2人(大学生と高校生) | |
300万円 | 28,000 | 19,000 | 19,000 | 15,000 | 11,000 | 7,000 | – |
325万円 | 31,000 | 23,000 | 23,000 | 18,000 | 14,000 | 10,000 | 3,000 |
350万円 | 34,000 | 26,000 | 26,000 | 22,000 | 18,000 | 13,000 | 5,000 |
375万円 | 38,000 | 29,000 | 29,000 | 25,000 | 21,000 | 17,000 | 8,000 |
400万円 | 42,000 | 33,000 | 33,000 | 29,000 | 25,000 | 21,000 | 12,000 |
425万円 | 45,000 | 37,000 | 37,000 | 33,000 | 29,000 | 24,000 | 16,000 |
450万円 | 52,000 | 41,000 | 41,000 | 37,000 | 33,000 | 28,000 | 20,000 |
475万円 | 56,000 | 45,000 | 45,000 | 40,000 | 36,000 | 32,000 | 24,000 |
500万円 | 61,000 | 49,000 | 49,000 | 44,000 | 40,000 | 36,000 | 28,000 |
525万円 | 65,000 | 56,000 | 56,000 | 49,000 | 44,000 | 40,000 | 31,000 |
550万円 | 69,000 | 60,000 | 60,000 | 57,000 | 48,000 | 44,000 | 35,000 |
575万円 | 73,000 | 64,000 | 64,000 | 61,000 | 56,000 | 48,000 | 39,000 |
600万円 | 77,000 | 69,000 | 69,000 | 66,000 | 60,000 | 57,000 | 43,000 |
625万円 | 81,000 | 73,000 | 73,000 | 70,000 | 64,000 | 61,000 | 48,000 |
650万円 | 97,000 | 77,000 | 77,000 | 74,000 | 68,000 | 65,000 | 53,000 |
675万円 | 102,000 | 81,000 | 81,000 | 78,000 | 73,000 | 70,000 | 62,000 |
700万円 | 108,000 | 86,000 | 86,000 | 83,000 | 78,000 | 75,000 | 66,000 |
725万円 | 113,000 | 104,000 | 104,000 | 88,000 | 82,000 | 79,000 | 71,000 |
750万円 | 118,000 | 109,000 | 109,000 | 106,000 | 87,000 | 84,000 | 76,000 |
775万円 | 124,000 | 114,000 | 114,000 | 111,000 | 105,000 | 89,000 | 80,000 |
800万円 | 129,000 | 120,000 | 120,000 | 116,000 | 110,000 | 107,000 | 85,000 |
825万円 | 135,000 | 125,000 | 125,000 | 122,000 | 116,000 | 112,000 | 90,000 |
850万円 | 140,000 | 131,000 | 131,000 | 127,000 | 121,000 | 118,000 | 108,000 |
875万円 | 146,000 | 137,000 | 136,000 | 132,000 | 126,000 | 123,000 | 114,000 |
900万円 | 152,000 | 143,000 | 141,000 | 138,000 | 132,000 | 128,000 | 119,000 |
925万円 | 159,000 | 150,000 | 148,000 | 144,000 | 138,000 | 135,000 | 125,000 |
950万円 | 166,000 | 157,000 | 154,000 | 150,000 | 144,000 | 141,000 | 131,000 |
975万円 | 173,000 | 164,000 | 160,000 | 157,000 | 151,000 | 147,000 | 138,000 |
1000万円 | 180,000 | 171,000 | 166,000 | 163,000 | 157,000 | 153,000 | 144,000 |
1100万円 | 218,000 | 202,000 | 194,000 | 191,000 | 185,000 | 181,000 | 172,000 |
1200万円 | 247,000 | 247,000 | 232,000 | 229,000 | 229,000 | 219,000 | 206,000 |
1300万円 | 326,000 | 326,000 | 261,000 | 258,000 | 261,000 | 248,000 | 248,000 |
1400万円 | 360,000 | 360,000 | 343,000 | 339,000 | 343,000 | 277,000 | 277,000 |
1500万円 | 395,000 | 395,000 | 377,000 | 373,000 | 377,000 | 361,000 | 361,000 |
1600万円 | 429,000 | 429,000 | 412,000 | 408,000 | 412,000 | 396,000 | 396,000 |
1700万円 | 463,000 | 463,000 | 446,000 | 442,000 | 446,000 | 430,000 | 430,000 |
1800万円 | 498,000 | 498,000 | 481,000 | 477,000 | 481,000 | 465,000 | 465,000 |
1900万円 | 533,000 | 533,000 | 516,000 | 512,000 | 516,000 | 500,000 | 500,000 |
2000万円 | 569,000 | 569,000 | 552,000 | 548,000 | 552,000 | 536,000 | 536,000 |
2100万円 | 604,000 | 604,000 | 587,000 | 583,000 | 587,000 | 571,000 | 571,000 |
2200万円 | 640,000 | 640,000 | 623,000 | 619,000 | 623,000 | 607,000 | 607,000 |
2300万円 | 773,000 | 773,000 | 754,000 | 749,000 | 754,000 | 642,000 | 642,000 |
2400万円 | 814,000 | 814,000 | 795,000 | 790,000 | 795,000 | 776,000 | 776,000 |
2500万円 | 855,000 | 855,000 | 835,000 | 830,000 | 835,000 | 817,000 | 817,000 |
以上、ふるさと納税についてご紹介いたしました。
ふるさと納税は、サラリーマンでも節税できる方法です。
控除を受けるためには、原則として確定申告が必要ですが、確定申告が不要な給与所得者等については、ふるさと納税先が5団体以内であれば、納税先団体に申請すれば確定申告不要で控除を受けることができます(ワンストップ特例)。
下記の記事では、ふるさと納税以外でもサラリーマンが実践できる節税術をご紹介しています。あわせてご覧ください。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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