公開日:2019年07月05日
最終更新日:2023年02月17日
近年、副業に注目が集まっています。
厚生労働省が副業・兼業を解禁する方向性を示したことで、サラリーマンの副業は今後ますます増えることが予想されています。
すでに、株取引や不動産経営をしたり、ネットショップを開いたり、夜や週末にUberやコンビニでバイトしたりして、副収入を得ている人も多いのではないでしょうか。
しかしなかには副業による収入が会社にバレてしまい、気まずい思いをしている人も多いようです。
この記事では、副業を会社に知られない方法、サラリーマンの間で増えている副業、副業の確定申告の方法などをご紹介します。
副業による所得が20万円を超えている人は、原則として確定申告をする必要があります。
そして会社に副業がバレてしまうケースの多くは、この確定申告によります。しかし、だからと言って所得が20万円を超えるのに確定申告をしないわけにはいきません。それに、確定申告書の記入方法に注意すれば、副業が会社にバレることはありません。
副業について確定申告をすると、会社で支払われる給与と合算されて翌年の住民税に反映されるので、会社に副業を知られる可能性があります。
もし、副業の収入を会社に知られたくない場合には、確定申告書の「住民税に関する事項」の欄で、「自分で交付」に○をつけましょう。
こうすることで、副業による収入(雑所得)に関する住民税の通知が自宅に届くことになるので、その分は自分で納付することになり副業を会社に知られずに済みます。
確定申告書第二表
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副業を会社に知られたくなければ、不要に会社のメンバーに副業の話をしないようにしましょう。
副業にやりがいを感じていたり、思い通りの収入があったりすると、人に話したくなるものですが、やはり「人の口に戸は立てられぬ」です。
わざわざ会社に「告げ口」するケースも残念ながらありますし、飲み会などの席で話題になることもあります。
「人に知られたくないことは、人には話さない」は、鉄則としましょう。
匿名によるSNSでも、何気ない投稿から個人が特定されるケースは多々あります。「今日は、会社の社食で、○○を食べた」「会社の同僚と、○○というお店に行った」といった、何気ない投稿で個人が特定されるケースもあります。
本名が連想できるようなアカウントは避け、個人情報や居住エリア、会社の業種が分かるような投稿は、避けましょう。
企業名や部署名、取引先の情報も、もちろんNGです。
副業を行っているサラリーマンのなかには、「会社に副業がバレたくない」と思っている人もいますが、最近は副業OKの会社も増えています。
このようにサラリーマンの副業が増えている要因のひとつが、厚生労働省による後押しです。
厚生労働省では、「働き方改革実行計画」を踏まえ、副業・兼業の普及促進を図っています。「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、副業を行うメリットとして、以下の4点を挙げています。
①離職しなくても別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得てキャリアを形成することができる。 ②本業の所得を活かして自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる。 ③所得が増加する。 ④将来の起業・転職に向けた準備・試行ができる。 |
また、企業側にも労働者の希望に応じて、副業・兼業を認めるよう検討することが求められています。
裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。副業・兼業を禁止、一律許可制にしている企業は、副業・兼業が自社での業務に支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが求められる。 |
参照:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和2年9月改定)」
日本政策金融公庫総合研究所が行ったデータによると、副業起業やフリーランスの増加など、起業家の働き方は多様化しており、勤務や家事のすき間時間に小規模の事業を行う「パートタイム起業家(事業に充てる時間が1週間に35時間未満)」も増えており、このような「パートタイム起業家」は29歳以下で最も多く39.4%となっています。
このような「パートタイム起業家」の職業は41.8%が「勤務者(正社員)」となっており、副業による起業家が増えている実情が分かります。
参照:日本政策金融公庫総合研究所「2020年度起業と起業意識に関する調査」
今後はますますサラリーマンの副業は増えていくと言われていますが、副業の種類は隙間時間にできるアンケートモニターやネットオークション、株式運用など、多岐にわたっています。
そこでここでは、すでに副業を始めているというサラリーマンのなかでも人気の高いものをご紹介します。
不動産経営
マンションやアパートなどを購入し、その家賃収入を得る「不動産経営」は、サラリーマンが副業として行うケースが増えています。
アパートを建てると固定資産税や相続税が節税になることから、副業というよりは節税対策として行うケースも多いようです。
ライター・デザイナー
場所や時間を気にせずに働くことができるライター・デザイナーも、副業として人気です。特定のジャンルに特化すると、それに関連した仕事の依頼が増えて、副業として安定した収入も見込めるようです。工夫次第で、取引先からの依頼に大きな付加価値をつけることでさらに評価され、なかには「本業より稼げる」という人もいるようです。
ネットショップ
最近、サラリーマンの副業として増えてきたのが、ネット上のサイバーモールなどを通じて商品を販売するネットショップです。
営業時間が限られる実店舗と違い24時間世界中からアクセスできるため、実店舗より稼げるケースも珍しくありません。
隙間時間に働ける自転車ドライバー
「ライターやデザイナーなどの特技がない」「ネットはちょっと苦手で…」という人に人気の副業が、隙間時間を利用する自転車ドライバーです。
代表的なのが「Uber Eats」で、特別な技術など必要なく好きなタイミングに好きな時間だけ働くことができるという理由で、副業として選ぶサラリーマンが増えています。
レストランなどの料理を、自宅や会社まで届けるデリバリーサ-ビスでおなじみの「Uber Eats」は、2016年に日本でサービスを開始した当初は、稼働エリアが東京の一部だけで加入店舗はわずかでしたが、コロナ禍の巣ごもり需要も相まってドライバーのニーズも増え、ドライバーの登録数も年々増加しています。
副業をしている人で、20万円を超える所得がある人は確定申告が必要です。
「所得」とは、「収入-必要経費」ですから、収入から必要経費を差し引いた額が20万円を超えた時には確定申告が必要ということになります。
コンビニやレストランなどでアルバイトをする場合に支払われるお金「給与所得」となります。一方、原稿料や講演料、アフィリエイトなどで支払われるお金は「雑所得」となります。
給与所得の場合には、確定申告をすることで払い過ぎた税金を取り戻せる可能性があります。
雑所得の場合には必要経費が認められるので、やはり確定申告をすることで税金の負担を軽くできる可能性があります。
原稿料、講演料、ビットコインの売却益などの副業による収入がある時には、「雑所得」として確定申告をします。ただし、1カ所からの給料、アルバイト収入(給与所得)があり、給与所得と退職所得以外の所得の合計金額が20万円以下である場合には、確定申告は不要です。
副業で支払われたお金が「給与所得」の場合
給与で支払われた場合には、所得税が源泉徴収されているケースがほとんどです。
支払を受けた会社が発行する支払調書の「支払金額」の横に「源泉徴収税額」が記載されていますが、この源泉徴収された税金は、必要経費を控除する前の支払額をもとに計算されたものなので、申告すれば税金が還付される可能性があります。
副業で支払われたお金が「雑所得」の場合
「雑所得」には、必要経費が認められます。つまり、その収入を得るためにかかった経費を差し引くことができるのです。
原稿料などであれば、その原稿を書くために購入した書籍代や、打ち合わせ費用、交通費などが必要経費になりますから、確定申告をすることで所得を減らすことができ、税金を安くできます。
この経費を収入から差し引いたことで収入が20万円以下になった場合には、確定申告をしなくてもかまいません。しかし、副業による収入がすでに源泉徴収されている場合には、20万円以下でも確定申告をした方が得するケースもあります。
サラリーマンの副業の確定申告では、確定申告書一表、二表を使います。
給与所得の源泉徴収票の「支払金額」を、確定申告書第二表と第一表に記入します。 B C D E |
前述しましたが、「確定申告書第二表」の「住民税に関する事項」の「自分で納付」に〇をすれば、この分の収入にかかる住民税は自分で納付することになりますので、会社に副業がバレることはありません。
この欄に〇をつけないと、会社に届く住民税に関する納付書に記載されている住民税額が上がってしまい、「給与所得が大きくアップしていないのに、住民税の額がアップしたのは、副業をしているのではないか」と会社に思われてしまう可能性があるので、注意しましょう。
確定申告書第二表
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以上、サラリーマンの副業事情や、会社に副業がばれない方法などついてご紹介しました。毎月数万円の収入を得る副業は数多くありますし、自分が好きなことを仕事にしたいという人は、得意分野で収入を得るという方法もあります。
自分に合った副業を探したら、税金を安くして資産形成するためにも、正しく確定申告をしましょう。
確定申告の際には、報酬の支払先からもらった報酬、料金、契約金および賞金の支払調書などと、必要経費の領収書を用意しましょう。
1年分の必要経費を合計し、収入から差し引いて所得金額を求めます。
※この必要経費が差し引かれた分、所得が低くなりますので所得が20万円以下でも税金が還付される可能性は高いため、忘れずに確定申告を行うようにしましょう。
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また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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