公開日:2019年12月06日
最終更新日:2022年08月25日
私たちが生きていくうえでは、実にさまざまな種類の税金を納める必要があります。
そして、この税金の内容や税率は税制改正によって、頻繁に変わります。
ここでは、令和3年(2021年)の税金ごとの税率や速算表などについてご紹介します。
それぞれの税金を節税する記事についてもご紹介していますので、あわせてご覧ください。
所得税とは、1年間の個人の所得に課される税金です。
所得の種類は、給与所得(サラリーマンなど)や不動産所得(不動産賃貸など)や事業所得(製造業、小売業など)など稼いだ方法によって10種類に分類されていて、それぞれに見合った適正な税額を出すための計算法が決められています。
参照:国税庁「所得税の税率」
所得税は、収入のすべてに課されるわけではなく、必要経費や所得控除などを差し引いた額で税額を計算します。さらにその税額からは、所得金額に応じて一定額が控除されます。
また、平成25年(2013年)から25年間は、復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)が課税されます。
所得税額の税額速算表
課税される所得金額(A) | 税率(B) | 控除額(C) | 税額(A)×(B)-(C) |
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1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 | (A)×5%-0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 | (A)×10%-97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 | (A)×20%-427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 | (A)×23%-636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 | (A)×33%-1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 | (A)×40%-2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 | (A)×45%-4,796,000円 |
所得税額は、上記速算表をもとに以下のように計算します。
① 収入-必要経費=所得 ② 所得-所得控除=課税所得金額 ③ 課税所得金額(A)×税率(B)-控除額(C)=基準所得税額 ④ 基準所得税額×2.1%=復興特別所得税額 ⑤ ③+④=所得税・復興特別所得税額 |
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上記の②の所得税から差し引かれる所得控除とは、医療費控除、寄付金控除、扶養控除など14種類あり、適用される所得控除の額や種類が多ければ多いほど、所得税を節税することができます。また、住宅ローン控除などの税額控除は、税額から直接控除額を差し引くことができるので、節税効果は絶大です。
所得税の節税方法については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
「損をしない!14種類ある所得控除の受けられる人と控除額」を読む
「税金が安くなる「税額控除」|所得控除との違いは?節税効果は?」を読む
また、所得税の節税方法について税理士に相談したい方は、freee税理士検索で税理士を検索することができます。
住民税とは、都道府県や市区町村が行っている行政サービスの費用を、住民に分担してもらおうという趣旨の税金で、前述した「所得税」が国税であるのに対して、住民税は「地方税」にあたります。
所得税は、前年の所得に対して税額が計算されますが、住民税は、前年の所得に対して次年の6月から次々年の5月にかけて納付することになります。
住民税の税率は、所得の額にかかわらず税率が一定ですが、所得税と異なり定額で課税される「均等割」と所得に応じて課税される「所得割」があります。
住民税=所得割+均等割 |
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住民税の所得割の部分の計算方法は、所得税の場合とほぼ同じです。
(前年の総所得金額等-所得控除額)×税率-税額控除額 |
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均等割は、道府県民税が1,500円、市区町村民税が3,500円です。
道府県民税1,500円+市区町村民税3,500円 |
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所得割:道府県民税が4%、市区町村民税が6% 均等割:道府県民税が1,000円、市区町村民税が3,000円 |
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なお、所得税と住民税は、ふるさと納税をすることで節税することができます。
2,000円を超える部分について、通常の所得税と住民税の寄付金控除に加えて、住民税の特例控除を受けることができます。
下記①②③の合計が、控除されます。
①所得税からの控除:(寄付金-,2000円) ②個人住民税からの税額控除:(寄付金-,2000円)×10% ③特例分控除:(寄付金-,2000円)××(100%-10%-所得税率) |
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ふるさと納税の方法については、以下の記事で詳しくご紹介していますのであわせてご覧ください。
また、住民税の節税方法について税理士に相談したい方は、「freee税理士検索」で検索することができます。
法人税とは、いわば法人の所得税のようなものです。
ただし、法人税の所得の計算方法やそこから税額を計算する方法は、所得税と異なります。
たとえば、法人税は所得税のように14種類の所得の種類があるわけではなく、すべてを合算して計算され、会社の事情に応じて控除される「所得控除」などもありません。
また、所得税は1月1日~12月31日の個人の所得に課されますが、法人税は会社が自分で決めた事業年度を単位として行い、この事業年度の所得をもとに計算します。
法人税は、所得の大きさにかかわらず一定の比例税率が用いられます。
税率は、中小企業の負担を軽くするために、資本金1億円以下の中小企業については所得金額のうち年800万円以下の部分については19%とすると定められています。さらにこの800万円以下の部分に対する税率にも「中小企業者等の法人税率の特例」があります。
中小企業等の法人税の軽減税率の特例は、適用期限が「令和3年3月31日までに開始される各事業年度」とされていましたが、令和3年の改正により2年間延長され、適用期限は令和4年度末までとなりました。
対象 | 租特税率 | ||
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大法人 (資本金1億円超の法人) |
所得区分なし | 23.2% | - |
中法人 (資本金1億円以下の法人) |
年800万円超の所得金額 | 23.2% | - |
年800万円以下の所得金額 | 19.0% | 15% |
参照:国税庁「法人税の税率」
法人税は、各種税額控除を活用したり事業に関連する交通費や交際費を経費にしたり、消費税の免税期間を長くしたりするなど、さまざまな節税対策があります。
以下の記事で詳しくご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。
「中小企業の節税対策|知っておくと得をする対策まとめ」を読む
節税対策は、個々の会社の状況に応じて適切な節税対策の方法が異なります。
間違った節税対策を行うと、事業の維持に影響を及ぼすこともありますので、法人の節税対策に詳しい税理士にアドバイスを求めるようにしましょう。
人が亡くなった時にその人が所有していた財産・債務を誰かが受け継ぐことになります。そして、受け継いだ人は財産を取得した時にその財産に課されるのが「相続税」です。
墓地や仏壇、生命保険の一部や国などに寄付した額に対しては相続税がかからないものもありますが、金銭に見積もることができるものはほとんどが相続財産です。
参照:国税庁「相続税続税」
相続税が改正されたことで、平成27年(2015年)以降の相続については、基礎控除が引き下げられ、最高税率が引き上げられることになりました。
それまでは、基礎控除額(相続税がかからない額)は、5,000万円+(1000万円×法定相続人の数)だったのが、この改正により平成27年からは3,000万円+(600万円×法定相続人の数)となりました。
つまり、これまでは相続税を払う必要のなかった人が相続税の課税対象となったということです。
さらに、最高税率についても格差の固定化を防ぐという観点から、引き上げられることになりました。
相続税の計算方法は主に以下の流れで行われます。
①課税標準額の計算 財産の合計・債務の控除など ②課税標準基礎金額の計算 ③相続税の総額の計算 ④各人の相続税額の計算 ⑤各人の納付税額の計算 |
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区分 | 税率 | 控除額 |
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1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
なお、相続税は、生前に暦年贈与をしたり生命保険を活用したりといった相続税対策を行うことで、節税することができます。
相続税の方法、暦年贈与については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
「相続対策の3つのポイント|争続対策・相続税対策・納税資金」を読む
「相続時清算課税制度(暦年贈与の特例)がお得なケースとは」を読む
また、相続税の節税方法について税理士に相談したい方は、「freee税理士検索」で税理士を検索することができます。
贈与税とは、贈与を受けた人が支払う税金です。
たとえば、相続財産を減らせばその分相続税が減ることになりますが、それなら生前にできるかぎり相続財産を減らせば相続税を支払わずに済むと思うのが人情です。そこで、配偶者や子ども、孫に贈与をして相続財産が減ったところにそのまま相続税をかけるだけでは、贈与をしなかった人と比べると税負担が軽くなってしまい、不公平が生じます。
そこで、このような不公平をなくすために設けられたのが「贈与税」です。
ただし、贈与税は親が子どもを教育するための生活費や教育費、祝い金などの贈与には課されません。
贈与税は、相続税の不公平を是正する「補完税」という性格を持っていることから、相続税と比較して基礎控除額も少なく、税率の累進性も高くなっています。
贈与税には年間110万円までの基礎控除が認められるので、この基礎控除額を差し引いて課税価格を計算します。
そして課税価格に税率を掛け、課税価格に応じて控除額を差し引き、贈与税の納付税額を計算します。
(課税価格×税率)-控除額=贈与税の納付税額 |
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税率や控除額は、下記のとおりです。
区分 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | - |
200万円超400万円以下(200万円超300万円以下) | 15% | 10万円 |
400万円超600万円以下(300万円超400万円以下) | 20% | 30万円(25万円) |
600万円超1,000万円以下(400万円超800万円以下) | 30% | 90万円(65万円) |
1,000万円超1,500万円以下(600万円超1,000万円以下) | 40% | 190万円(125万円) |
1,500万円超3,000万円以下(1,000万円超1,500万円以下) | 45% | 265万円(175万円) |
3,000万円超4,500万円以下(1,500万円超3,000万円以下) | 50% | 415万円(250万円) |
4,500万円超 | 55% | 640万円(400万円) |
※()内の金額は、上記の20歳以上の者以外の場合の金額。なお、令和4年(2022年)4月からは、18歳以上に引き下げられる予定。
参照:国税庁「贈与税」
消費税とは、①国内において②事業者が事業として③対価を得て行う④資産の譲渡や貸付、役務の提供の4要件が揃った時に課される税金です。
消費税は、令和元年(2019年)10月1日に、8%から10%に引き上げられました。
この時同時に導入されたのが、「消費税の軽減税率」です。
「消費税の軽減税率」とは、食料品や新聞に限って標準より税率を低くする制度です。
消費税が上がると、高所得者より低所得者に税負担がかかることから、生活に不可欠な食料品などの税率を低くする目的で導入されました。
対象品目は、酒類、外食をのぞく飲食料品や新聞の定期購読量で、軽減税率は8%です。
ただし、軽減税率が導入されると、小売り事業者にとっては、10%と8%と2つの税率を使い分けることになりますので、POSシステムの更新やレジの入替などの負担が生じます。
そこで、当面は「区分記載請求書等保存方式」が認められ、10%対象と8%対象ごとに合計した額を記載すればよいということになっています。
参照:国税庁「区分記載請求書等保存方式(帳簿及び請求書等の記載事項並びにこれらの保存)」
なお、「クラウド会計ソフト freee会計」はクラウド会計ソフトなので、自動的に消費税増税・軽減税率に対応致します。消費税率10%・軽減税率8%の税区分の追加し、軽減税率の自動判定を行い、区分記載請求書等保存方式の対応まで行います。
freee会計の消費税増税(10%)・軽減税率への対応方針について
不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得した時にかかる地方税です。
登記申請後、都道府県税事務所などから納税通知書が送られてきて、それに従って納付します。
不動産取得税は、売買だけでなく、不動産の贈与を受けた場合なども課されますが、相続や法人の合併のような形式的な移転の場合には非課税となっています。
不動産取得税の税額は、土地および住宅の場合には、課税標準額×3%(令和3年3月31日までの特例)で、事務所や店舗などは課税標準額×4%となっています。
(不動産の価格-控除額)×税率=不動産取得税額 |
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不動産取得税については、新築住宅の軽減特例や、長期優良住宅の軽減特例などが設けられています。
ただし、一定の住宅(居住用の家屋で、別荘はのぞく)や敷地の取得については固定資産評価額の1/2とする特例制度がとられています。
要件を満たしているか、どのような手続きが必要となるかについて税理士に相談することをおすすめします。
以上、各税金別の税率や速算表、節税方法などについてご紹介しました。
税金の種類は、ここでご紹介した以外にもさまざまな種類がありますが、どの税金についても適切な節税対策を行ったり、各種特例を活用したりすることで、大幅に納税額を減らすことが可能です。
とくに、ここでご紹介したような所得税や住民税、法人税、相続税、贈与税などは、節税対策を行うか否かで、何百万、何千万と納税額が変わることもあります。
早めに税理士に相談し、対策を行なうようにしましょう。
freee税理士検索では数多くの事務所の中から個人や法人の節税対策について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。