公開日:2021年10月06日
最終更新日:2024年03月22日
営業外費用とは、損益計算書に表示される費用です。
借入金の支払利息や、社債の発行に伴う利息、所有する株式が値下がりした時の有価証券評価損などが該当します。
この記事では、営業外費用の意味や特別損失との違い、営業外費用の内訳などについてご紹介します。
営業外費用の豆知識
営業外費用とは、損益計算書の費用区分のひとつで、本業以外の支出です。
たとえば、銀行にお金を借りていれば利息を支払いますが、この利息は本業以外の支出であるため営業外費用です。
逆に本業以外の収入は、営業外収益といいます。たとえば株や債券を持っていれば配当や利払いを受けられますが、この配当や利払いは本業以外の収入であるため、営業外収益です。
経常利益は、営業利益+営業外収益-営業外費用で計算しますから、経常利益を高めるためには、営業外収益を増やして営業外費用を減らす努力が必要です。借入金などの利息が多いと、どれだけ営業利益を確保しても経常利益を十分に残せなくなります。
反対に、自己資本の額が十分な会社はお金を集めるコストが減少するので、営業外費用を減らすことができますし、過去からの利益蓄積が多い会社は、支払利息より受取利息や配当金の方が多くなり営業利益以上の経常利益を計上するケースもあります。
営業外費用を減らし、営業外収益を増やすための具体的な施策については、税理士等に相談してみましょう。
営業外費用とは、本業以外によって発生した費用です。
たとえば、金融機関からの借入金利息や、金融機関で手形を割り引いた(売却した)場合の手数料などは本業の費用とはいえないため、営業外費用として区分しています。
損益計算書では、企業の営業活動によって発生した損益とは別に、企業の営業活動以外によって発生した損益を「営業外費用」「営業外収益」として区分しており、営業活動以外の収益を「営業外収益」、営業活動以外で生じた費用を「営業外費用」といいます。
営業外収益とは、受取利息、受取配当金、有価証券売却益などで、営業外費用とは、支払利息、社債利息、創立費や開業費償却、有価証券の売却損などが該当します。
借入金の多い会社は営業外費用が多くなることから、営業外費用の額で借金の負担を知ることができます。
営業外費用は、営業利益の次に表示される経常利益を算出する際の費用です。
経常利益は、営業利益に営業外収益を加算し、営業外費用を差し引いて求めます。
経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用 |
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損益計算書は、「収益」「費用」「利益」が記載されていて、一定期間中の収益から費用を差し引くことで、利益(または損失)を計算する書類です。
収益は「どれだけ稼ぐことができたのか」をあらわし、費用は「どれだけのコストがかかったのか」をあらわし、利益は「どれだけ儲けたのか」をあらわしています。
損益計算書には、3つの収益、4つの費用、5つの利益に区分されていて、会社がどのように利益(または損失)を出したのかが分かるようなシンプルなしくみになっているのです。
5つの利益のうち経常利益は営業活動によって得た営業利益に、財務活動等によって生じた損益を加味した利益であり、会社の総合的な力を表すもので、「ケイツネ」とも呼ばれ、会社の収益性を計る重要な指標として用いられます。
ここで、営業外費用がどのように損益計算書に表示されているのかを見てみましょう。
前述したとおり、損益計算書は、上から段階的に「収益-費用=利益」で5つの利益を計算しています。
このように発生原因別に費用を区分して、利益を5つにあらわすことで、それぞれの利益に意味を持たせているのです。
損益計算書
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売上高-売上原価=売上総利益…① →商品やサービスによって稼いだ利益 売上総利益-販売費及び一般管理費=営業利益…② 営業利益+営業外収益-営業外費用=経常利益…③ 経常利益+特別利益-特別損失=税引前当期純利益…④ 税引前当期純利益-法人税等=当期純利益…⑤ |
損益計算書がこのように段階的に計算する目的は、最終的な利益だけでなくその計算過程や内訳を示すことで、「どのような費用がかかったのか」「利益は本業で得たものか、それとも特別な原因による一時的な利益なのか」など、より有益な情報とするためです。このように5つの利益を計算することで、銀行や取引先などの利害関係者や、投資家などにとって役立つ情報となるわけです。
本業以外の費用としては、営業外費用の他に「特別損失」があります。
営業外費用が経常的に発生する費用(支払利息など)であるのに対して、特別損失は非日常的に出た費用です。
たとえば、固定資産の売却損や火災などの災害によって生じた火災損失や建物、機械装備などの固定資産の除却処分によって生じた損失などは、特別損失です。
このように、臨時で発生する費用が特別損失であり、営業外費用とは区別して表示することで、「どのような費用がかかったのか」が分かるようになっています。
営業外費用には、支払利息や有価証券売却損などの費用が計上されます。
なお、営業外収益や営業外費用の項目は絶対的なものではなく相対的なものですし、企業の事業内容によっても異なります。なぜなら、その損益が企業の本業から生じた場合には営業損益となり、本業以外の活動から生じた場合には、営業外損益となるからです。
ここでは、営業外費用となる主な勘定科目とその仕訳例についてご紹介します。
支払利息とは、金融機関からの借入利息、他の会社からの借入金利息、社債利息などが該当します。
借入金が多い会社はこの支払利息が多く計上されることになるので、営業外費用が大きくなります。
金融機関からの借入金に対する、当期分の利息を計上します。
短期借入金のうち、当月返済予定の元本10万円と利息5000円を普通預金から支払った。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
短期借入金 | 100,000 | 普通預金 | 105,000 |
支払利息 | 5,000 |
有価証券評価損とは、値下がりした株を売却することによって出た損失(売却損)、地方債の売却損、社債の売却損、貸付信託受益証券の売却損、投資信託受益証券の売却損などが該当します。
「100万円で取得した有価証券を80万円で売却し、代金が普通預金に振り込まれた。」
【法人の場合】
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 800,000 | 有価証券 | 1,000,000 |
有価証券売却損 | 200,000 |
【個人の場合】
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 800,000 | 有価証券 | 1,000,000 |
事業主貸 | 200,000 |
有価証券評価損とは、所有する株式が値下がりしたため生じた損失のことです。満期保有目的の債券(1年以内に満期が到来するもの)の評価損についても、「有価証券評価損」という勘定科目で処理をします。
「決算にあたり、売買目的で保有している帳簿価額200万円の有価証券を時価評価した。時価は180万円であった。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
有価証券評価損 | 200,000 | 有価証券 | 200,000 |
創立費償却とは、会社設立に要した費用を繰延資産に計上した場合にその償却をした時に使用する勘定科目です。創立費は、原則として支出時に費用(営業外費用)として処理します。
会社設立に要した費用は、原則として支出する時に費用計上しますが、支出の都度処理をせずに、繰延資産として計上することも認められています。この場合には、会社成立時から5年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法により償却をしなければならず、創立費償却費用はこの時に使う勘定科目です。
なお、税法では任意償却が認められていて、会社を設立した年度に全額を償却することができます。
【創立費計上時】「会社設立にあたり、設立登記費用、事務所賃借料として30万円を現金で支払い、繰延資産として計上した。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
創立費 | 300,000 | 現金 | 300,000 |
【決算時】「創立費を5年で償却することとして、決算にあたり当期の12か月分、6万円を償却した。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
創立費償却 | 60,000 | 創立費 | 60,000 |
雑損失とは、本業とは関係のない取引から生じる費用で、他の勘定科目に該当せず、かつ金額的に重要性の少ない雑多な項目を処理する時の勘定科目です。
違約金の支払いや科料の支払い、盗難による損失、リース契約の違約金、弁償費用などが該当します。
「取引先から借りていた設備を壊してしまったため、修繕費として10万円を弁償した。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
雑損失 | 100,000 | 普通預金 | 100,000 |
以上、営業外費用についてご紹介しました。
営業外費用は損益計算書に表示される費用で、売上原価や販売費及び一般管理費などの費用とは区分して表示されます。
どのような勘定科目が営業外費用に計上されるか知ることで、損益計算書の数字をより理解することができます。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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