公開日:2022年02月03日
最終更新日:2022年03月30日
評価損とは、たとえば会社の持っている商品などが値下がりした場合の損失のことです。評価損は原則として計上することができませんが、特別な事実が発生した場合には、例外的に評価損を計上することができます。
取得原価と時価との差額を「評価差額」といいます。
会社の持っている資産の価格が購入時に比べ値上がっている場合には「評価益がある」といい、会社の持っている資産が値下がりしたした時には「評価損がある」といいます。
評価益や評価損は、原則として計上することは認められません。これは「資産が値下がりしたとしても、ただ持っているだけなら、値下がりした損失はまだ実現していない」という考え方に基づいているからです。
ただし、特別な事実が発生した場合には損金経理(※)をすることによって例外的に評価損を計上することができます。
※損金経理とは
企業会計上、確定決算において費用または損失として会計処理をすることです。法人税法等は、「企業の意思は、確定決算によって明確になる」という考え方に基づいています。そこで、一定の支出、損失については損金経理を行うことを条件として損金の額に算入することが認められます。
「資産が値下がりしたとしても、ただ持っているだけなら、値下がりした損失は実現していない」という考え方から、商品などの棚卸資産についても原則として評価損を計上することはできません。
ただし、以下のような特別な事実が発生した場合には、例外的に損金経理によって評価損を計上し、特別損失に計上します。
①災害で商品がひどく傷ついたり痛んだりしたこと ②売れ残った季節商品であり、過去の経験から通常の方法では売れなくなったこと ③画期的な新製品が開発されたため、通常の方法では売れなくなったこと ④破損、型くずれ、品質変化などで、通常の方法では売れなくなったこと ⑤会社更生法などの法律によって評価換えが必要となったこと |
したがって、物価変動や過剰生産などの理由によって値下がりした場合では、評価損を計上することはできません。
時価が著しく低下し、かつ取得原価まで回復すると認められない場合には、時価で評価しなければなりません(強制評価減)。
この時、棚卸資産の製造に関連して不可避的に発生すると認められるときには、「製造原価」として処理をします。
また、原材料等のように再調達原価の方が把握しやすく、正味売却価額が再調達原価にあわせて変動すると想定される場合には、継続して適用することを条件として、再調達原価(最終仕入原価を含む)によって処理することができます。
なお、評価損はその事実判断について税務調査で指摘される場合があります。「どの程度の流行遅れで評価損を計上できるか」について、客観的な基準が存在しないからです。
したがって、税務調査等の対象となったときに備えて「通常の方法では、販売できない」ということを積極的に主張できるよう、その根拠資料を準備しておくようにしましょう。
具体的には、価額を下げてセールを行わなければ販売できなかったことを、他社の広告などと比較して証明できるような準備が必要です。
棚卸資産の評価損を計上する場合には、以下のように損金経理をすることが必要です。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
商品評価損 | ××,××× | 商品 | ××,××× |
低価法とは、期末時点で取得原価と時価を比較して、いずれか低い方の価額で資産計上しようとする方法です。
会計上は、従来は商品の取得価額を貸借対照表額とする「原価法」と、商品の取得原価と時価(再調達価額)のいずれか低い方を貸借対照表価額とする「低価法」がありましたが、収益性が低下した場合には、正味売却価額まで切り下げを行わなければならなくなりました。
中小会計指針では、原価法を原則として①災害によって著しく損傷したとき、②著しく陳腐化したとき、③上記に準じる特別な事実が生じたときに、帳簿価額は切り下げなければなりません。
ただし、税務上は従来どおり低価法を採用したときに低価法を活用することができます。
参照:国税庁「低価法」
たとえば、棚卸資産(在庫)の時価が取得時より下がっているのであれば、早期に値下がりした損失である商品評価損を計上することができます。
低価法を採用すれば、棚卸資産を取得価額で評価する原価法より当該事業年度の取得金額を縮小することができるので、法人税額を軽減させることができるわけです。
とくに季節商品など陳腐化が激しい商品を扱っている場合には、低価法を積極的に利用し節税対策を実施したいものです。
ただし、翌期の処理方法としては、再び実際の取得価額に振り戻し、前期の評価損の取戻益を計上する「洗替え(あらいがえ)低価法」が採用される点について、注意が必要です。
また、棚卸資産の評価方法については、納税地の所轄税務署長に確定申告書の提出期限までに届け出る必要があり、届出をしなかった場合には、法定評価法として最終仕入原価法によって算出した取得価額に基づく原価法が適用されます。
会社が持っている株式(有価証券)の時価が簿価より下がっても、原則として評価損を計上することはできません。
たとえば、簿価100万円の株式の時価が70万円に下がったとしても、原則として評価損30万円を計上することはできません。
ただし、以下のような場合には株式などの有価証券について評価損を計上することができます。
①上場している有価証券(企業支配株式(※)はのぞく)の時価が、著しく下がったこと(※)
※「企業支配株式」 ②上場していない有価証券と上場している企業支配株式について、株式を発行している会社の「資産状態が著しく悪くなった(※)」ために、時価が著しく下がったこと ※「資産状態が著しく悪くなった」 ③会社更生法などによって、評価換えが必要になったこと |
機械等の固定資産についても、原則として評価損を計上することはできませんが、以下のような特別な事実があった場合には、評価損を計上することができます。
①災害で固定資産がひどく傷んだ ②1年以上、遊休状態になっている ③本来の用途に使用できず、ほかの用途に使用されている ④固定資産の所在場所の状況がひどく変わってしまった ⑤やむを得ない事情によって、その取得の日から1年以上事業に使われていない ⑥会社更生法などにより、評価換えが必要となった |
つまり、旧式化した、償却不足があるなどといった理由だけでは、評価損を計上することはできません。
各要件を満たし評価損を計上できる場合には、その資産の簿価を時価まで引き下げることになります。
たとえば、簿価が200万円で時価が80万円であれば、「200万円-80万円=120万円」と計算し、以下のように仕訳をすることになります。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
評価損 | 1,200,000 | 資産 | 1,200,000 |
したがって、時価がいくらであるかは評価損を計上するうえで大きなポイントになるということです。
この時の時価とは、「買った相手がそのまま使うとしたら、いくらで売れるのか」という意味で「新しく買うとしたらいくらか」という意味ではありません。
なお、上場している株式については、「その年度末における取引所の株価(終値)」が時価となりますが、上場していない株式については「その年度末における1株あたりの純資産価額などを参考に計算した金額」となります。
なお、有価証券の評価方法については法律改正によって、時価法が導入されました。
①一定の売買目的の有価証券→時価法 ②上記①以外の有価証券→原価法 ※「①一定の売買目的の有価証券」 ※「時価法」とは |
評価損を計上できる場合には、その資産の簿価を時価まで引き下げて仕訳処理を行います。
ここでは、よくある評価損の仕訳をご紹介します。
「決算にあたって、売買目的で保有していた帳簿価額200万円の有価証券を時価法によって評価した。時価は180万円であった。」
200万円-180万円=20万円を有価証券評価損として計上します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
有価証券評価損 | 200,000 | 有価証券 | 200,000 |
「新商品の発売によって、旧商品300万円が著しく陳腐化した。販売見込み額は100万円と見込まれる。」
中小会計指針では、原則は原価法であり、①災害により著しく損傷した時、②著しく陳腐化した時、③上記に準ずる特別な事実が生じた時には、帳簿価額を切り下げなければならないとしていますが、税法上は低価法を選定した場合には、低価法を採用できます。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
商品評価損 | 2,000,000 | 商品 | 2,000,000 |
評価損は、原則として認められませんが、破損などして通常の方法では売れない商品や時価が簿価の半分以下になって、回復の見込みがない上場株式などについては、評価損を計上できます。
評価損を計上できる金額は、時価と簿価との差額ですが、時価の算定は「買った相手がそのまま使うとしたら、いくらで売れるのか」という意味であり、算定が難しいケースもあります。
したがって、評価損の計上を検討する際には早めに税理士に相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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