公開日:2019年12月10日
最終更新日:2024年05月25日
キャッシュ・フローとは、簡単にいうと「お金の流れ」を意味します。
そして、キャッシュ・フロー計算書とは、会社がどのようにお金を得てどのように使ったのかをまとめた表です。
キャッシュ・フロー計算書は、上場企業だけが作成を義務づけられていますが、中小企業でも事業を維持するうえでは、キャッシュ・フローを把握することは非常に重要です。
フリー・キャッシュ・フローの豆知識
フリー・キャッシュ・フローとは、一般的には、「営業活動によるキャッシュ・フロー」から、企業経営に必要な投資額または事業活動に不可避な支出額を控除した金額で、略して「FCF」と呼ばれます。
フリー・キャッシュ・フローは、債権者や株主などに対して自由に分配できるキャッシュ・フローですから、フリー・キャッシュ・フローを資本コストで割り引いた金額は、企業価値を表すため、事業評価を行う際にフリー・キャッシュ・フローは重視されます。
ただし、フリー・キャッシュ・フローを計算する際に差し引かれる投資額の範囲は一律に決められているわけではありません。したがって、企業価値などの業績評価を行うためにフリー・キャッシュ・フローを計算する際には、その評価目的や評価方法を十分に考慮する必要があります。
適切な計算方法を選択するためには、税理士にその目的や評価方法を共有したうえで、アドバイスを受けることをおすすめします。
なお、中小企業にはキャッシュ・フロー計算書の作成は義務づけられてはいませんが、税理士に依頼すれば、作成してもらえることもあります。
自社のキャッシュ・フローを把握し問題点に迅速に対応するためにも、税理士にキャッシュ・フロー計算書の作成や分析を依頼してみてはいかがでしょうか。
フリー・キャッシュ・フローとは、会社が稼ぎ出したお金のうち事業を維持するために必要な設備投資等の支出を差し引き、最終的に会社の手元に残ったお金のことをいいます。
フリー・キャッシュ・フローは、略して「FCF」と呼ばれます。
「キャッシュ・フロー」とはお金の流れのことで、「キャッシュ・フロー計算書」とは、会社がどのようにお金を得てどのように使ったのかをまとめた表です。
キャッシュ・フロー計算書は、上場企業にはルールによって作成が義務づけられていますが、中小企業には作成は義務づけられていません。
しかし、キャッシュ・フロー計算書は、損益計算書では分からない企業のキャッシュ・フローに関する情報を入手し、キャッシュの動きそのものを把握することができるので、作成義務はなくても中小企業にこそ、大変有益な書類ということができます。
キャッシュ・フロー計算書は、営業・投資・財務の3つの企業の活動別に分けて表示されます。そのうえで、期中の増減額を示し、最後に期末時点でどのくらいのキャッシュがあるかを明らかにしていきます。
①営業活動によるキャッシュ・フロー 本業における資金の動きが記載されます。 ②投資活動によるキャッシュ・フロー ③財務活動によるキャッシュ・フロー |
損益計算書では、赤字か黒字かは分かりますが、キャッシュの状況までは分かりません。また、貸借対照表でも売掛金の状況は分かりますが、キャッシュの状況は分かりません。
つまり売り上げは計上されていても、取引先から実際に入金されたかどうかは分からないのです。そしてそれをあらわすのがキャッシュ・フロー計算書というわけです。
フリー・キャッシュ・フローの計算方法はいくつか考えられますが、最も簡単なのは、「営業活動によるキャッシュ・フロー」から「現事業維持のための設備投資等」を差し引く方法です。
「フリー・キャッシュ・フロー」= 「営業活動によるキャッシュ・フロー」-「現事業維持のための設備投資等」 |
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会社を成長させるためには、新たな設備を導入したりすでに持っている設備を継続して維持したりといったことが必要となります。特に、モノをつくる会社では、設備投資にそれなりの資金が必要です。
ただし、本業で稼いだ営業キャッシュ・フローをまるまる自由に使えるわけではありません。
そこで、このように会社を経営するうえで必要な設備投資の支出を差し引いたお金が、最終的に会社の手元に残ったお金が自由に使えるお金であり、「フリー・キャッシュ・フロー」ということになります。
本業で稼ぎ出した営業キャッシュ・フローから事業の維持に必要な設備投資等の支出を差し引いたのが、フリー・キャッシュ・フローです。
フリー・キャッシュ・フローは、稼いだお金のうち自由に使うことができる部分であり、企業価値の源泉ともいえるものなので、フリー・キャッシュ・フローがプラスなら、本業の稼ぎで投資を賄えていてうまく経営されているといえますし、多ければ多いほどよいということになります。
フリー・キャッシュ・フローが多ければ多いほど配当金の支払いや自己株式の取得、新規事業のための投資などの施策を行うことができることになります。
①株主への分配 まずは、株主への分配です。 事業継続のために必要な資金を社内に確保して、なお余剰が出た場合には、株主に分配することが考えられます。株主はリターンを期待していますので、まさに株主への分配の原資になるといえるでしょう。 ②新規事業への投資 ③借入金の返済 |
フリー・キャッシュ・フローがマイナスだったり少なかったりすると、配当の支払い借入金の返済、新規事業のための投資などを行う余力がないことを意味します。
ただし、事業を拡大するうえで設備投資を行う場合に一時的にフリー・キャッシュ・フローがマイナスになることもあることもあります。
このような事情があれば、将来的にはフリー・キャッシュ・フローがプラスになる可能性もありますので、フリー・キャッシュ・フローがどの程度の期間マイナスなのかを判断し、その原因を探り、対策を講じることが大切です。
まず営業キャッシュ・フローは、プラスであることが理想的です。
逆に営業キャッシュ・フローがマイナスで財務活動によるキャッシュ・フローがプラスの場合は、要注意です。これは、本業でのマイナス部分を借入金で賄っているということだからです。
いわゆる黒字倒産のリスクがある会社は、この営業キャッシュ・フローのマイナスが続くケースが実に多いのです。
たとえば、売上の回収が遅れている場合には、営業キャッシュ・フローの中の「売上債権の増減額」という項目は大きくマイナスになっていることがあります。これは、売上の代金が回収できていないことを示します。
また、「棚卸資産の増減額」という項目がマイナスになっている場合には、モノが売れず社内に残っていることを意味します。
このような場合には営業キャッシュ・フローのなかの項目をチェックし、売上代金の回収を計画的に行ったり、在庫を売ってお金に換えたりすることで、フリー・キャッシュ・フローに余裕ができ、資金繰りの悪化を防ぐことができます。
また、キャッシュ・フローを生み出す運転資本にも注目する必要があります。具体的には、販売した代金の未回収分である売上債権は少なく(つまり回収を早く行う)、製造中の仕掛品などは少なくするなどの一方で、購入した代金の未払い分である仕入債務は、仕入先に負担を掛けない程度で可能な限り遅く支払うことが望ましいといえます。
これらの施策を日々の事業運営のなかで行うことが、キャッシュ・フローを速めに生み出すもととなります。
日々の事業のなかで、どの程度の期間キャッシュが必要となっているのかを見る指標としてCCC(=Cash Conversion Cycle/キャッシュ・コンバージョン・サイクル)があります。
CCC = 売上債権回転期間 + 棚卸資産回転期間 - 仕入債務回転期間 |
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このCCCはできるだけ短い方が望ましいと言えます。なぜなら、売上債権の回収を早くして、棚卸資産の保有期間を短くし、仕入債務の支払いを遅くすると、CCCは短くなるからです。
▶ 売上債権回転期間とは|計算方法は?長い理由・短い理由は?
▶ 棚卸資産回転率とは|計算式・業種別平均値を分かりやすく解説!
以上、フリー・キャッシュ・フローの意味や計算方法、プラスの意味、マイナスの意味などについてご紹介しました。フリー・キャッシュ・フローは、多ければ多いほど、配当の支払いや新規事業への投資、借入金の返済などを行うことができ、株主と会社にとって、プラスになります。そして、フリー・キャッシュ・フローが少なかったりマイナスだったりすると、こうしたことを実施する余力のない会社ということになります。
自社のフリー・キャッシュ・フローを把握し、問題点がある場合には、早めに対策を行うことで、黒字倒産などの事態を回避することができます。
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税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」
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