個人事業主・フリーランスの確定申告に必要な書類、手続き

公開日:2018年10月30日
最終更新日:2022年03月10日

この記事のポイント

  • 確定申告とは、個人がその年の所得を計算して申告し納税するための一連の手続きのこと。
  • 個人事業主は、原則として確定申告が必要となる。
  • 個人事業主の確定申告は「青色申告」がおすすめ。

 

個人事業主やフリーランスで利益が出ている場合には、原則として確定申告を行う必要があります。
確定申告とは、所得税を納めるために必要な手続きで、年に1回行います。

個人の確定申告の計算対象となる期間は、毎年1月1日から12月31日までの1年間で、その1年間に得た「所得」を計算して、それをもとに所得税の額を計算して税金を納めます。

個人事業主・フリーランスの確定申告

何らかの商売をしていて利益があり、所得税を納める必要がある人は原則として確定申告をすることになります。1年間の所得が赤字だったとしても、還付金を受け取ったり「純損失の繰越控除」などの適用を受けたりしたい時には、確定申告を行う必要があります。

個人事業主が負担する税金には、所得税・住民税・事業税・消費税などがありますが、確定申告で個人事業主が税務署に申告する主な税金は、所得税、消費税、復興特別所得税の3つです。この他に個人事業主が納める税金には、個人住民税、個人事業税などがありますが、これらの税金は所得税の確定申告をすれば、都道府県や市区町村で納税額を計算し、納付書が送られてきますので、別途手続きをする必要はありません。
後日、地方自治体から、個人事業主のもとに納税額と納付方法の通知が郵送で送付されてきます。

(1)確定申告はなぜ必要か

確定申告は、所得税を納めるために必要な手続きです。
サラリーマンの場合には、毎月給料から所得税が源泉徴収され、年末に年末調整を行うことで、所得税の納税手続きが完了します。
つまり、会社が代わりに納税を行ってくれているのです。

しかし、個人事業主やフリーランスの場合には、所得税を納めるために必要な手続きはすべて自分で行う必要があります。そのために必要なのが、確定申告です。

確定申告は、所得税や住民税といった税金を納めるために必要な手続きですが、払い過ぎている税金があれば返してもらえる(還付)などのメリットもあります。

「確定申告してから還付金を受け取るまでのスケジュール」を読む

(2)確定申告は「青色申告」がおすすめ

確定申告には、大きく分けて「白色申告」と「青色申告」があり、個人事業主はどちらで申告するかを選択することができますが、白色申告、青色申告のどちらを選ぶかで税額に違いが出ます。
青色申告では、最大65万円を所得から差し引けるなど、多くのメリットを受けることができ、税金を減らすことができます(※令和2年よりe-Tax による申告(電子申告)又は電子帳簿保存を行う場合)

参照:国税庁「青色申告特別控除額が変わります!」

青色申告と白色申告の大きな違いは、事業にかかわるお金の出入りを記録する「帳簿」をつける義務があるかどうかでしたが、平成26年から白色申告も記帳が義務づけられたので、白色申告のメリットはほぼなくなりました。

青色申告の帳簿づけは、「複式簿記」であるため、「簿記の勉強が必要なのでは」「計算が面倒なのでは」と心配になるかもしれませんが、「クラウド会計ソフト freee会計」を活用すれば簿記の知識がなくても、すぐに帳簿づけを行うことができますし、貸借対照表・損益計算書などの計算書も簡単に作成することができます。
「freee会計」なら、難解な複式簿記の知識もなく、ほぼ自動で経理作業を行うことができます。
青色申告のメリットは、最大65万円を所得から差し引ける他にも、多くのメリットがあり、その数は50以上とも言われます。したがって、確定申告は青色申告で行うのがおすすめです。

(3)電子申告で10万円の追加控除

前述した「青色申告特別控除額」は、書面で確定申告をする場合に、65万円から55万円に減額されることになりました。
ただし、e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存を行うことで、追加で10万円分控除を受けることができるのです。
参照:国税庁「青色申告特別控除額が変わります!」
e-Taxとは、インターネットを利用して電子的に国税の申告を行うことができるシステムです。また、電子帳簿保存法とは、従来紙での保存が義務づけられていた帳簿や書類を電子で保存することをいいます。
ただし、電子帳簿保存の承認申請書は作成に手間がかかるため、e-Taxによる電子申告を行い、65万円の控除を受けることをおすすめします。

(4)知っておきたい!所得税の改正ポイント

昨今、働き方が多様化されたことを後押しするなどの観点から、個人の所得税の見直しが進んでいます。
たとえば、すべての人が対象となる基礎控除が10万円引き上げられ、48万円となりました。ただし、合計所得が2,400万円を超える人は控除額が段階的に引き下げられ、増税となります。

また、扶養控除と配偶者(特別)控除の対象所得が変更されました。
令和2年分から、配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額は48万円超133万円以下(従来は、38万円超123万円以下)となり、控除額については納税者本人(たとえば夫)の所得区分によって異なることになりました。
その他、所得税関連の改正ポイントについては、以下の記事で詳しくご紹介していますので、あわせて確認してください。

▶ 所得税の改正【最新版】|令和3年(2021年)改正点反映

(5)確定申告を青色申告で行うために必要な事前手続き

確定申告を青色申告で行うためには、事前に手続きが必要です。
これから個人事業主やフリーランスになるという人は、仕事を開始したら早めに以下の届出を行うようにしましょう。

個人事業の開業・廃業届出書
個人事業をスタートするには、税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。提出先は、自宅を事務所とする場合には、その住所を管轄している税務署です。
提出時には本人確認をされますので、マイナンバーや身元を確認できるものを持参するようにしましょう。
なお、個人事業主向けの「freee開業」を使用すれば、簡単に開業届を提出することができます

また、個人事業主から法人設立を考える時には、無料で使える「freee会社設立」で簡単に会社設立に必要な書類を作成することができます。

青色申告承認申請書
青色申告を行うためには、原則として開業から2カ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
期限内に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出していない人は、白色申告で行うことになります。
青色事業専従者給与に関する届出書
青色申告では、事業を手伝う家族に支払う給料を必要経費にすることができます。このような家族を「青色事業専従者」といいます。
そのためには、以下の必要な条件を満たしたうえで、事業に従事した日から2カ月以内に提出する必要があります。

・個人事業主と同居している(生計が同一の)15歳以上の家族や親族
・1年の半分、6カ月以上は事業に従事している
・ほかの会社に勤務していない
・確定申告をする人の配偶者控除や扶養控除の対象になっていない

給与支払事務所等の開設届出書
従業員として人を雇って給料を支払う場合には、その給料から所得税を徴収して税務署に納める義務が生じます。
従業員に代わって税金を納める個人事業主のことを「給与支払い事務所等」といい、従業員や専従者を雇ってから1カ月以内に「給与支払い事務所等の開設届出書」を提出する必要があります。
源泉所得税の納期の特例に関する申請書
従業員を雇用すると、従業員へ支払う給与から所得税を天引きし、授業員に代わって税金を納めることになるため、給与支払い事務所等の開設届出書を提出する際には、「源泉所得税の納期の特例に関する申請書」も一緒に提出しておくと便利です。
従業員の給料から天引きした所得税は、通常は毎月税務署に納付する必要がありますが、この申請書を提出しておけば、源泉所得税の納付を年2回にすることができますので、便利です。

個人事業主・フリーランスの確定申告の流れ

確定申告は、基本的に毎年2月16日から3月15日の間に、必要書類を税務署に提出します。提出開始日や最終日が土日と重なる年は、日程が変更されますので、毎年確認するようにしましょう。申告に遅れた場合には、65万円(または55万円)の控除の要件を満たしていても、10万円の控除しか受けられなくなってしまいます。また、無申告加算税や延滞税などのペナルティが科されることもあります。

(1)青色申告に必要な日々の帳簿づけ

確定申告の際には、1年間の収支をまとめて計算する必要があるので、日々、売上を記録し必要経費について記帳することが大切です。

必要経費とは、事業収入を得るために必要とした支出です。
青色申告は、必要経費をもれなく計上することで節税になります。
具体的には、必要経費としてお金を使った場合も取引のひとつとして、仕訳をして勘定科目を割り当てる必要があります。
「どの経費を、どの勘定科目に割り当てればいいのか」と悩む人も多いと思いますが、その支出が必要経費として認められるものであれば、自分でルールを決めて、そのルールに従って勘定科目に割り当てればOKです。

また、経費に計上するためには、原則として領収書が必要ですが、領収書がない電車賃は出金伝票を作成すれば経費に計上できます。また、取引先との飲食代や打ち合わせの飲食代も、接待交際費や会議費として計上することができます。

個人事業主の場合、何をどこまで経費としてよいものか迷うこともあると思いますが、たとえば自宅で仕事をする場合などは、実際に使っている面積や時間で按分して、家賃や光熱費を事業の経費とすることができます。
帳簿づけと聞くと面倒な作業をイメージすると思いますが、「freee会計」を導入すれば、それほど手間はかかりません。ネットバンキングやクレジットカードと連携させれば、明細が自動で反映されるので、経理作業の時間を大幅に削減することができます。
確定申告の際には、収入と支出にズレがないか確認して簡単な質問に回答するだけで、確定申告書類が自動で作成されます。

なお、以下の記事では必要経費の勘定科目とその内容を記載しましたので、何が経費となるのか、どの勘定科目を使うのかについて、参考にしてください。

▶ 必要経費の種類と勘定科目一覧-個人の確定申告

(2)確定申告に必要な書類を知っておこう

青色申告で必ず提出しなければならないのは、「青色申告決算書」と「確定申告書B」です。
従来は、控除を受ける場合の証明できる書類(レシートや領収書など)などの添付書類が必要でしたが、2020年の確定申告から、さまざまな書類の提出が不要となりました。
これまでもe-Taxによる電子申告の場合には、これらの書類の提出は不要でしたが、2020年からは紙による確定申告でも添付が必要なくなりました。
ただし、あくまで添付が不要となっただけで、確定申告書を作成する際にはこれらの書類を見ながら作成する必要がありますし、税務署から問い合わせがあることもあります。かならず保管しておくようにしましょう。

(3)期末と期首に必要な作業を行う

個人事業主の事業年度は、1月1日~12月31日と決まっていて、1月1日を「期首」、12月31日を「期末」といいます。

確定申告とは、この1月1日~12月31日までの1年間に得た所得に対して税額を計算し、申告・納税をする手続きのことです。
事業年度における確定申告のスケジュールは、以下のとおりです。

日々会計ソフトで帳簿づけをしたら、年末年始には帳簿を締め切って、1年の帳簿を集計します。また、棚卸作業を行い、減価償却費を固定資産台帳で確認します。

その後3月15日までに、青色申告書、確定申告書を作成して提出して納税します。

(4)個人事業主の所得は原則として事業所得

確定申告をする際には、まず事業を確認する必要があります。
所得は、利子所得、配当所得、給与所得など、全部で10種類に分けられています。
このうち、事業所得、不動産所得、山林所得の3種類のいずれかを得ている個人事業主は、青色申告をすることができます。なお、青色申告の特別控除(65万円または55万円)を受けることができるのは、事業所得がある人で、不動産所得が事業的規模と認められる人に限られます。

小売、サービス、農業などの所得も事業所得となります。ただし、アパート経営や駐車場などの不動産賃料収入については、事業所得ではなく不動産所得になります。

(5)所得控除と税額控除を確認する

所得控除と税額控除は、どちらも納税額を減らすことができる制度です。

所得控除
所得控除とは、個人的な事情を考慮して、所得税から一定額を差し引く制度です。
所得税額は、基本的に収入額に応じて納税額が決められます。そして、課税所得が大きい人ほど、多く支払うことになっています。けれども、個人によって事情は異なります。フリーランスで一人暮らしをしている人もいれば、子どもを育てている場合もあるでしょう。
そこで、所得税額を計算する際には、それぞれの納税者の個別の事情に配慮して、課税所得を少なくすることができます。
そこで、これらの個人的な事情を考慮して所得税の負担を減らしてくれるのが「所得控除」です。
この所得控除は全部で15種類あります。

どの控除を受けられるのかは、個々の事情によって異なりますので、下記の表を確認し、どの控除を受けることができるのかを確認し、受けられる控除はすべて受けるようにしましょう。

▶ 損をしない!15種類ある所得控除の受けられる人と控除額

税額控除を確認
一定の条件を満たしている場合には、所得税から直接差し引くことができる税額控除を受けることができます。税額控除は、控除分だけ税額が安くなるので、所得控除よりも大きな節税効果が期待できます。税額控除は、住宅ローン控除や株の配当を総合課税で申告する場合など、適用される範囲は限定されていますが、該当するものがあれば、忘れずに申告しましょう。

配当控除
株式の配当金などの「配当所得」がある人が受けることができる控除です。
配当所得×10%(原則)

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
マイホームの購入や増改築のために住宅ローンを利用した場合に受けられる税額控除です。

(6)収入と支出にズレがないか確認する

確定申告をする際には、1月1日~12月31日の収入金額をまとめる必要があります。未処理の取引があった場合には、記帳をしたうえで、預金残高について通帳の残高と「freee会計」の残高が合っているかなど、ズレがないかを確認します。もし金額のズレが見つかっていた場合には、ひとつひとつ訂正します。
よくあるミスとしては、「プライベートで利用した取引が間違って登録してしまった」、「勘定科目が間違っていた」、「同じ取引を重複して登録していた」などがあります。

また、勘定科目に仕訳した経費の内訳書については、「freee会計」を利用すれば、「日付」「摘要」「勘定科目」「金額」の数値を正確に入力するだけでほぼ自動で作成することができます。

(7)電子申告の事前準備

確定申告書は、ぜひ電子申告で行うことをおすすめします。
電子申告すれば、青色申告特別控除が10万円増額される大きなメリットがあるからです。
はじめて電子申告を行う場合には、利用者識別番号の取得などの初期設定が必要ですが、「freee会計」のガイドに従って設定すれば、準備作業は簡単に行うことができます。

「freee会計」では、必要な事前準備のサポートを行うための「電子申告開始ナビ」が公開されていますので、ぜひ活用してください。

まとめ

以上、個人事業主やフリーランスの確定申告についてご紹介しました。
個人事業主やフリーランスは、1年間の儲けを自分で計算して申告しなければなりません。
これを確定申告といい、青色申告と白色申告がありますが、青色申告の方が税制上のさまざまな特典を受けることができるので、節税効果があります。
青色申告を行うためには、日々の経理作業が不可欠ですが、「freee会計」を活用すれば、面倒な経理作業をほぼ自動化することが可能です。

また、不明点や疑問点があれば、クラウド上のデータを税理士とリアルタイムで共有することができるので、すぐに質問してアドバイスを受けることができます。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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