ふるさと納税の確定申告

公開日:2018年10月30日
最終更新日:2023年03月06日

この記事のポイント

  • ふるさと納税とは、自治体に寄附すると2,000円を差し引いた金額の全額が還付される制度。
  • 2,000円の自己負担で返礼品をもらいたい場合は、上限金額の範囲内で寄附をすることが大切。
  • 最近は「返礼品不要」の寄附を行う人も、増加している。

 

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、自ら希望する都道府県や市区町村に寄附できる制度です。
名前には「ふるさと」とありますが、自身の故郷ではないところに寄附できることが特徴です。
ふるさと納税は、2015年にワンストップ特例制度が導入されたことで、より使いやすくなり制度を活用する人は年々増加傾向にあります。

(1)ふるさと納税はなぜおトクか

ふるさと納税とは、地方自治体に寄附をすると、所得税と住民税が還付ないし減額される制度です。
自治体に直接お金を払った(納税した)ようなイメージになるので、「ふるさと納税」と言われていますが、実際には「寄附金控除」のことです。
また、ふるさと納税はその名称のイメージから「出身地の自治体以外には、寄附できない」と誤解している人もいますが、出身地や居住地に関わらず、好きな自治体(都道府県や市区町村)を選んで寄附をすることができます。

ふるさと納税は、自治体から寄附してくれたお礼として「地域の特産品」などが届くことからサラリーマンなど誰でもできる節税対策として人気です。
見方によっては、2,000円を払って特産品を買っているようなものということもできます。

ふるさと納税の流れは大まかに、「寄附をする」→「その際に特産品をもらう」→「税金を納める(その際に、納める税金の負担が軽減される)」という流れで進められます。
先に寄附という出費が発生しますが、特産品というお礼の品が送ってもらえますし、なおかつ納税額の一部が軽減されるというメリットがあるのが、人気の理由です。

(2)ふるさと納税の返礼割合が3割以下に

ふるさと納税の健全な発展のため、総務省が地場産品ではない高価な返礼品で寄附を集める自治体を制度の対象とするなど、ふるさと納税の返礼割合について見直しが行われました。

2019年(令和元年)6月1日以後に支出された寄附金より、寄附金の募集を適正に実施し、返礼品の寄附に対する返礼割合は3割以下として、返礼品を地場産品とすることを条件に総務大臣が指定することになりました。

(3)ふるさと納税の特例控除の限度額の計算方法

ふるさと納税の控除額は、以下の計算式で計算します。

①所得税からの控除

(寄附金-2,000円)×所得税率

②個人住民税からの税額控除

(寄附金-2,000円)×10%

③特例分控除

(寄附金-2,000円)×(100%-10%-所得税率)

上記①②③の合計額が控除されます。
特例控除の部分の割合は、所得税の適用税率が高いほど少なく計算されますので、所得税の税率が高いほど、自身の所得に対する特例控除の部分の割合が低くなり、寄附金額の割合が多くなることになります。

ふるさと納税は、年収や家族構成などによって控除額に違いがあり、上限を超えた分については控除されません。
たとえば、給与収入600万円のケースで見てみると、独身の場合の上限金額は7万7,000円ですが、配偶者が専業主婦で高校生の子どもが1人いる人の場合は上限金額が6万円となります。
上限金額の目安は、下記総務省のホームページで確認することができます。

参照:総務省「全額(※)控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安 (※) 2,000円を除く」

(4)ふるさと納税のワンストップ特例

ワンストップ特例とは2015年に導入された制度で、以下の条件に該当する人は、確定申告が不要となります。

①確定申告をする必要のない給与所得者等(サラリーマンなど)であること
※医療費控除などで確定申告を行う人は、対象とはなりません。

②1年間の寄附先が5カ所以下であること

③「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を寄附した自治体に提出すること

個人事業主やフリーランスなどの場合は、確定申告をする必要があるので、このワンストップ特例制度は利用できません。還付を受けるためには、確定申告の際に寄附金控除の計算を行う必要があります。

(5)コロナ対策寄附はふるさと納税扱いに

最近は、地震や災害に遭った自治体に「返礼品不要」の寄附を行う人も増加しています。特に最近増えているのが、「新型コロナウイルス医療対策支援」として、ふるさと納税制度を利用して寄附を募る制度です。
大阪府、山口県などで取り入れられていますので、医療従事者を応援したいときは、このような制度を利用するものよいでしょう。

ふるさと納税の確定申告

ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用しない人は、確定申告をする必要があります。
令和3年分の確定申告から、ふるさと納税のポータルサイトが発行する証明書1枚で確定申告の手続きができるようになりました。

(1)インターネットで申告する場合

ふるさと納税の確定申告は、手書きで確定申告書を作成することもできますが、国税庁の「確定申告書作成コーナー」を利用すれば、必要事項を入力するだけで自動計算してくれるのでミスがありません。
国税庁の「確定申告書作成コーナー」は、以下の必要項目を入力します。

①所得を選択する
自身の所得を入力します。所得は10種類あり、それぞれの所得によって計算式も異なります。
サラリーマンの場合は「給与所得」、個人事業主は一般的に「事業所得」となります。
自身の所得が分からない場合には、以下の記事をご覧ください。

▶ 所得の種類は10種類|稼いだ方法で計算方法は変わる!

給与所得の場合:
源泉徴収票を見ながら、支払金額や源泉徴収税額、社会保険料や生命保険料などを入力します。
給与を支払った会社名もここで入力します。

②寄附金の内容を入力
「所得控除の入力」画面まで進み、「寄附金控除」を選択します。

「寄附金控除」を選択:
ふるさと納税は「寄附金控除」なので、所得控除のなかから「寄附金控除」を選択します。

「寄附金の内容」を入力:
寄附年月日、寄附した金額、寄附先の所在地・名称を入力します。
「寄附金の種類」をクリックすると、種類が表示されます。
寄附先が複数ある場合には「続けて入力」をクリックします。

③寄附金の入力内容を確認
「次へ進む」をクリックすると、入力した詳細が表示されますので、ここで寄附先の入力内容を確認します。
控除項目に反映されていることまで確認します。

(2)手書きで確定申告書を作成する場合

手書きで確定申告書を作成する場合には、申告書第一表、第二表を使用します。サラリーマンなど給与所得者の場合は、手元に源泉徴収票を用意して、該当項目の金額を転記していきます。

収入金額 第二表
給与所得の場合は、源泉徴収票「支払金額」の金額を第二表「収入金額」に転記します。
「所得の種類」は「給与」と記載します。

第一表
給与所得の場合は、源泉徴収票「支払金額」の金額を第一表「収入金額等」の「給与」の欄に転記します。

所得金額 給与所得の場合は、源泉徴収票「給与所得控除後の金額」の金額を、第一表「所得金額等」の「給与」の欄に転記します。
所得控除 源泉徴収票「所得控除の額の合計額」の金額を、第一表の「13から24まで」の欄に転記します。
第二表にも所得控除の記入欄がありますが、年末調整で適用を受けた金額に異動がない場合には、記載は不要です。
源泉徴収税額 第二表
源泉徴収票「源泉徴収税額」を、第二表の「源泉徴収税額」に転記します。

第一表
源泉徴収票「源泉徴収税額」を、第一表の「源泉徴収税額」に転記します。

社会保険料 源泉徴収票の社会保険料等の金額を、第一表の「所得から差し引かれる金額」の「社会保険料控除」の欄に転記します。
寄附金控除 第二表の「寄附金控除」の欄に、寄付先と寄附金の金額を記入します。
寄附金控除 特定寄附金(総所得金額等の40%を限度)-2,000円で計算して記入します。

まとめ

以上、ふるさと納税の確定申告について説明しました。寄附金控除以外にも医療費控除、雑損控除は個人で確定申告しなければいけません。還付を受け忘れ損をしないために必ず申請するようにしましょう。

ふるさと納税の確定申告について相談する

freee税理士検索では数多くの事務所の中から、ふるさと納税の確定申告について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
 

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・ふるさと納税
「夫が2022年にふるさと納税をしました。わたしは夫の扶養に入っており、フリーランスで収入があるため、確定申告をするのですがその確定申告の作成の際に、ふるさと納税などの寄付はしましたか?の質問は◯なのでしょうか?夫名義でふるさと納税をしているので×でいいのでしょうか。
・ふるさと納税のワンストップ申請を忘れてしまった会社員です
「ふるさと納税を2022年に10000円寄附したのですが、ワンストップ申請を忘れてしまいました。会社員なのですが、どのように確定申告すれば良いですか?ちなみに3/31で現職を辞めます。
・医療費控除の還付申告を行った年のふるさと納税による減税について
「令和4年に視力回復手術で57万円支払いました。
同じく令和4年に8万円ふるさと納税を行い、ワンストップ特例制度の申請を行っています。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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