経理とは|初心者のための基礎知識

公開日:2018年11月07日
最終更新日:2022年05月20日

この記事のポイント

  • 「経理」は、会社の数字を把握する「経営管理」の略。
  • 経理の仕事は大きく日次、月次、年次に分かれる。
  • 会計ソフトを活用し税理士と連携することで、経理業務は作業効率が格段にアップする。

 

経理の仕事は、日々発生する経費精算から、月次決算書の作成や取引先への請求書の送付、給与計算や、年間の決算作業、年末調整、申告納税と、実に多岐にわたります。
このような経理業務は「クラウド会計ソフト freee会計」を活用すれば、記帳、転記、決算書の作成についてほぼ自動化することができます。さらに顧問税理士と契約を締結することで月次決算や年次決算にもスムーズに対応することができます。
ただし、自社の会社のお金の流れを把握して、適切な節税対策を行い会社に多くのお金を残すためにも、経理業務の基礎的な知識や業務の大まかな流れについては理解しておくことは大切です。

ここでは、これから経理を始める方のために、経理業務の基礎知識や業務の流れ、税理士を活用するポイントなどについてご紹介します。

経理を始めるための基礎知識

ひと口に「経理」といってもその業務内容は実に多岐にわたりますが、根幹は「会社のお金の出入りを管理することです。
日々の取引を記録して月ごとに帳簿をまとめ、期末には決算業務を行います。
具体的には、仕入れや売上の管理、現預金の管理、請求書、領収書の管理、給与計算、税金計算などがあります。

(1)経理の役割は「経営管理」

経理とは「経営管理」の略です。そして経理の仕事内容をひと言であらわすのであれば、「会社の活動を数字であらわすこと」といえるでしょう。
会社はお金を稼ぐための営業活動を行い、そこから利益を生み出す組織です。経理はその活動を「取引」として集めて、「簿記」という方法で記録して計算し整理します。そして収益、費用を集計して、利益や財政状態を報告するための「決算書」を作成します。

つまり、経理業務は「税務署に税金を払うために行う業務」だけではなく、会社の経営状態を正確に把握するという役割も担っているということになります。
会社の経営状態を資料化し、分析・集計した資料を作成することで、経営者は自社の現在の問題点を把握することができますし、経営戦略を練ることができるようになるのです。

(2)日次・月次・年次で経理業務を理解する

経理業務の中心となるのが、会社のお金の出入りを管理する経理事務の作業です。日々入出金管理を行い、月ごとに帳簿をまとめ、年末には決算業務を行います。

・毎日行う経理業務
毎日行う経理業務としては、入出金管理、取引内容の記録(記帳)、納品書の発行、外部への経費の支払いなどがあります。

▶ 日次で行う経理事務とは|自計化を目指すための基礎知識①

・月ごとに行う経理業務
月に1度、経営者が経営状態を把握するために月次決算書を作成します。
また、給与計算と支給、社会保険料の徴収、支払い、取引先への請求書の送付などの業務も行います。

▶ 月次経理業務とは|自計化を目指すための基礎知識②

・年に1度行う経理業務
年に1度、決算作業、納税作業、予算計画の策定などを行います。
この年次決算は、経理業務のなかでも最も大変で、かつ重要な仕事です。
会計期間内の売上や利益を計算して会社の経営状態を明確にし、法人税等の計算もしなければなりません。

▶ 決算・申告業務(年次決算)とは|自計化を目指すための基礎知識③

(3)経理の必須スキル「簿記」とは

会社では、さまざまなお金の出入りがあります。
そして複式簿記においては、このお金の出入りを2つの側面から捉えます。
1つ目は、「現金を使う、預金を使う」などのお金の動きです。
そして、2つ目が「売上代金が入金された」「経費を使った」などの、お金が動いた理由です。

たとえば、「100円のボールペンを現金で買った」という取引があった場合には、この取引を「①ボールペンという資産が増えた」「②100円の現金が減った」という2つの側面からとらえます。

簿記とは、このような取引を、一定のルールに従って記録・集計・整理して、最終的に決算書を作成するまでの作業のことをいいます。
それぞれの取引には、その取引内容別に勘定科目をつけて仕訳をします。

先ほどの「100円のボールペンを現金で買った」を仕訳する際には、以下のように仕訳をします。

借方 貸方
事務用品費 100 現金 100

左側の項目を「借方」、右側の項目を「貸方」と呼び、どちら側にどんな項目を記載するのかといったルールを「仕訳」といいます。そして、この項目を「勘定科目」といいます。
借方・貸方は、聞きなれない用語ですが、まずは「かりかた」の「り」が左を向いているので、「借方は左側」、「かしかた」の「し」は右側を向いているので、「貸方は右側」と覚えておけば十分です。
 

(4)簿記の目的「決算書」とは

日々帳簿に記録した取引は、最終的に決算書にとりまとめられます。
勘定科目は、「収益」「費用」「資産」「負債」「純資産」の5つのグループに分けられます。簿記の最終目的である決算書の損益計算書と貸借対照表は、この5つのグループからなっています。
「収益」「費用」は損益計算書を構成し、「資産」「負債」「純資産」は貸借対照表を構成します。

損益計算書
「収益」「費用」で構成される損益計算書は、企業の一会計期間における経営成績を表す書類です。
 

 
「収益」とは、商品を売った時の売上代金や預金につく利子などで、利益を生み出すもととなるものです。そして「費用」は、交通費、家賃、給料など収益を稼ぐために費やしたものです。

▶ 損益計算書(P/L)とは|構造・ルール・見方・ポイントまとめ
▶ 損益計算書の勘定科目一覧

貸借対照表
「資産」「負債」「純資産」で構成される貸借対照表は、企業の一定時点(主に決算日)における財政状態を表す書類です。
 

 
「資産」とは会社のプラスの財産で、現金や預金、土地、建物などのことです。「負債」とは会社のマイナスの財産で、借入金、後日支払う買掛金などが該当します。そして「純資産」とは、資産と負債の差額で会社の正味の財産です。

▶ 貸借対照表(B/S)とは|構造・ルール・見方・ポイントまとめ
▶ 貸借対照表の勘定科目一覧

(5)知っておきたい会社が払う主な税金

会社を運営するうえでは、売上を伸ばすことが必要ですし、経費を減らすことも必要ですが、同時に納税額がいくらなのか、どのような税金を納めなければならないのかといった視点も必要となります。
会社が払う税金は、法人税、法人住民税、事業税、消費税と実に多くの税金を払う必要があります。

・法人税
法人税とは、株式会社や合同会社などの法人が、事業年度中に稼ぎ出した利益に対して課税される国税です。個人の所得に課される税金は所得税ですが、法人の所得に課される税金は、この法人税ということになります。
法人税は、納税義務者である法人が自ら計算を行い、申告・納税を行います。

・地方法人税
地方法人特別税とは、法人住民税の一部が引き下げられた代わりに創設された国税です。
大都市と地方の格差を是正することが目的で創設されたもので、税率は令和元年の消費税再増税時に法人住民税法人税割を5.9%引き下げたため、これに伴い5.9%引き上げて同年10月1日以降に開始する事業年度からは10.3%となっています。

・法人住民税
法人住民税とは、会社が納める住民税のことです。
個人の住民税と同様に、法人の住民税にも道府県民税と市区町村民税があります。
税率は地方公共団体によって一定の範囲で税額・税率が変わります。

・法人事業税
法人事業税とは、都道府県に事務所・事業所、または国内に恒久的な施設を所有して事業を行う法人に課される税金です。
課税所得×税率で計算しますが、資本金1億円以下がどうかで課税方法が異なります。
法人事業税も、確定申告書を作成し提出する必要があります。

・消費税
消費税とは、課税売上高が1,000万円以上の事業者に課せられる税金です。
消費税は国税部分と地方税部分があります。
消費税10%の場合:国税7.8%、地方税2.2%(2019年10月より)

消費税の計算方法は、原則的な計算方法と簡易的な計算方法がありますので、有利な計算方法を選択するようにしましょう。

▶ 会社が納める税金一覧と納税方法まとめ

会計ソフトを活用し税理士と連携するメリット

これまで述べてきたように、経理業務は行わなければならない作業が多々あり、多くの知識が必要となります。

このような経理業務を効率化できるのが、「クラウド会計ソフト freee会計」です。

たとえば、「freee会計」とクレジットカードや銀行のインターネットバンキングサービスと連携すれば、取引明細が自動仕訳され、経理業務にかかる時間を大幅に削減することができます。仕訳が間違っていないか不安がある時には、データを税理士に共有して確認してもらうことができます。

さらに、入力ミスや、資産計上すべきものが費用計上されたなどのミスがあった場合でも、クラウド上で税理士にすぐ確認してもらうことができるので、指導を受け修正してもらうことができます。

▶ クラウド会計ソフトって何?クラウドだからこそのメリットとは

(1)本業に専念できる

「freee会計」を活用して経理業務の工数を削減し税理士にデータ確認を依頼することで、経理担当の人件費を削減することができます。また、起業して間もないなどの事情で経営者自身が経理業務を担当していた場合には、本業に集中できる時間を確保できるというメリットもあります。
起業したばかりの時期には何とかこなしていた経理作業も、さらに会社が軌道に乗ってきて取引先が増えてくると、作業内容はますます複雑で作業量も大幅に増えてきます。
顧問税理士がいれば、経理作業に時間を取られて本業に専念できない状況を回避することができます。

(2)適切な節税対策ができる

同じ売上高でも、節税対策を行うか否かで納めるべき税額が変わってきます。
合法的な節税を行い、会社に多くの利益を残すことも経営者の大切な仕事です。

そして、適切な節税対策の基本は「税制に精通していること」の一言に尽きます。
税額控除など、せっかくある節税の制度を使わなかったために、結果的に税金を多く納めることになったとしても、税務署からわざわざ親切に「納め過ぎですよ」と教えてくれるわけではないのです。
したがって、税理士と連携して常に最新の税制情報は常に把握し、上手に活用していくことが大切です。

なかには、期間限定の税制優遇制度もありますので、税理士に相談してこれらの制度をフルに活用するようにしましょう。

(3)税務調査の対象になりにくい

決算書に税理士の署名押印があると、税務調査のターゲットになりにくいというメリットも期待できます。
税理士が確認していない決算書があると、「正確な経理処理ができているのか」と疑われてしまうことがありますが、税理士の署名押印があれば、「顧問税理士がいれば、正しい計算のもと作成された決算書である」という印象を与えることができるのです。

(4)資金調達のサポートも可能

会社を経営していくうえでは、資金繰りは大きな課題です。
顧問税理士がいれば、会社が運営できる資金はどれくらいか、足りない場合には、どのように資金調達すべきかなどの解決策を提示してくれます。
自社の状況に応じて活用できる補助金・助成金などの情報や、融資先の紹介まで依頼できる場合もあります。
金融機関から資金調達をする際には、原則として決算書や事業計画書の作成が必要となりますが、税理士にはこれらの書類作成のサポートも受けることができます。

(5)会社の課題が明確になる

事業を拡大するためには、常に事業の状況を把握していることが大切です。
月次決算書等を作成して分析することで会社の課題が明確になりますが、税理士からはこの月次決算を通して経営の評価、アドバイスを受けることができます。
「安定的に稼いでいるか」「経費の使い方に問題はないか」「資金繰りに問題はないか」などの課題が明確になれば、「自社が必要な施策はないか」が明確になります。

まとめ

以上、経理業務の基礎知識についてご紹介しました。
ここでは一般的な経理業務についてご紹介しましたが、会社の規模や事業内容によって、経理業務の内容は異なります。中小企業の場合には総務部が人事も経理も兼任するというケースもあります。まずは、経理の基本サイクルを頭に入れて、税理士のアドバイスやサポートを受けながら、経理業務の効率化を図っていくことが大切です。

経理業務について相談できる税理士をさがす

freee税理士検索では数多くの事務所の中から、経理業務の効率化や、「freee会計」の活用について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

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