税務申告とは?いつ行う?必要書類は?

公開日:2024年01月30日
最終更新日:2024年01月30日

この記事のポイント

  • 会社は毎年必ず法人税の確定申告を行なわなければならない。
  • 申告書の提出期限は、決算日の翌日から2カ月以内。
  • 同日までに、法人税額を納付しなければならない

 

会社は毎年必ず法人税の確定申告(税務申告)を行なわなければなりません。
確定申告書は、原則として決算期末の翌日から2カ月以内に、税務署長に提出しなければなりません。
青色申告の承認を受けた会社には、欠損金の10年間繰越しや税額控除、特別償却などの特例があります。青色申告をしたいときは、承認申請書を税務署長に提出する必要があります。

 

税務申告の豆知識

税務申告とは、法人税の確定申告です。税務申告は、原則として各事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に行わなければなりません。
災害等による期限の延長や、会計監査人の監査等により決算確定が遅れた場合の提出期限延長などが認められることがあります。
中間申告は、事業年度開始の日から6カ月を経過した日から2カ月以内に行わなければなりません。ただし、中間申告による納付税額が10万円以下のときは、中間申告は必要ありません。

税務申告とは

税務申告とは、法人が所得金額と法人税額を計算し、法人税の申告書を作成して提出することです。法人税の申告書は、法律に定められた様式で提出しなければならず、提出期限や納付期限など、厳しく規定されています。

(1)法人税の申告書とは

法人税の申告書とは、法人税額の計算は、所得金額に税率を乗じて計算するための申告書です。
法人税とは、法人の所得に対して課せられる租税で、損益計算書の税引前当期純利益の下に、住民税および事業税と合わせて「法人税、住民税及び事業税」として計上されます。
法人税の未納付額は、「未払法人税等」に項目で貸借対照表の流動負債に計上されます。

所得金額の計算は、会社の決算書に記載された利益金額をもとに、収益と益金の違い、費用と損金の違いを調整して行います。

法人税申告書は、決算書に別表等の必要な書類を付加して、税務署に提出します。

・決算書
・申告書別表
・勘定科目内訳明細書
・事業概況説明書

法人税申告書は、別表1から別表20までとなっていますが、これらのすべてを扱うわけではありません。
かならず作成するのは、別表1、2、4、5(1)、5(2)です。

法人税申告書別表1
法人税申告書別表1では、別表4で計算した所得金額から法人税額の計算を行います。期末資本金が1億円以下の中小法人は、年間所得800万円までに対して軽減税率が適用されます。
そこで、別表1の2枚目の「次葉」には、800万円とそれを超える部分の金額に分けて記入します。
所得税額控除や外国税額控除がある場合は、別表6で計算した金額を「控除税額の計算」欄に転記します。
忘れてはならないのが、「決算確定の日」です。この欄には、株主総会で決算書の承認を受けた年月日を記入します。

法人税申告書別表2
法人税申告書別表2では、同族会社や特定同族会社に該当するかどうかを判定するために作成します。小規模な会社の場合には、社長やその親族が株主となっている同族会社が多いものですが、株主が経営者である場合には、利益の処分方法が恣意的になりやすいといえます。そこで、法人税法では、一定の同族会社が限度額を超えて留保したお金については、特別に課税するという規定があります。

法人税申告書別表4
法人税申告書別表4では、所得金額の計算を行います。この別表4は、損益計算書に記載した当期純利益または当期純損失をベースにして計算します。

法人税法上の所得は、税法独自の計算を加える必要があります。これを申告調整といいます。
具体的には、損益計算書には収益として計上されていない益金、費用として計上しているが損金に算入されない金額を加算していきます。
反対に、収益に計上されているが益金に算入されない金額や、費用として計上されていない損金を減算します。

当期純利益(または当期純損失) + 加算項目 - 減算項目 = 所得金額

法人税申告書別表5(1)
別表5(1)は、税法上の純資産の明細を表します。別表4で加減算した項目のうち、翌期以降に繰り返される項目を、費目ごとに増減して記載します。
「利益積立金の計算に関する明細書」には、利益積立金や繰越損益金の他、留保された損金不算入額も含まれます。
前期から繰り越されたものを「①期首現在利益積立金額」に記入し、当期の増減欄では、当期に解消された項目を「②減」、発生した項目を「③増」に記入します。
そして、④の「差引翌期首現在利益積立金額」を計算します。
未納法人税等には、前期分の納付と当期分の発生について記入します。
「資本金等の計算に関する明細書」欄には、資本金や資本準備金を記入しますが、これらは貸借対照表や株主資本等変動計算書から転記します。

法人税申告書別表別表5(2)
別表5(2)では、未納法人税及び未納地方法人税など租税公課の納付状況等について記載します。
①から⑥までの欄に、それぞれ未納税額の期首残高、当期の増加と減少、期末の残高を記入するようになっています。

(2)法人税の確定申告とは

法人税申告書は、確定申告書と中間申告書があります。
確定申告書とは、株主総会の承認を受けた決算にもとづいて作成された申告書です。
会社は、この確定申告書を決算期末の翌月から2カ月以内に、所轄の税務署長に提出しなければなりません。
ただし、「申告期限の延長承認申請書」を税務署長に提出し、認められれば提出期限を1カ月またはそれ以上延長することができます。

なお、会社が以下の①②に該当する場合には、申請によって申告期限の延長が認められます。

①会計監査人を置いている場合
②定款等の定めによって各事業年度終了の日の翌日から3カ月以内に、その決算について定時総会が招集されない常況にあると認められる場合

参照:国税庁「3カ月以内に定時株主総会が招集されない常況にある場合(招集月の確認資料)」

(3)中間申告とは

中間申告書とは、前期の法人税額が20万円を超えた場合に必要となる申告書です。
中間申告の期限は、期首から6カ月を過ぎた日から2カ月以内に税務署長に提出しなければなりません。
中間申告書には、予定申告書と仮決算による中間申告書の2つがあります。
予定申告書を提出する(前期の税額の半分を納める)か、仮決算による中間申告書(仮決算を行い税額を計算する)かは、会社の自由となっています。

(4)中間申告書①予定申告書

予定申告とは、前年度の実績によって、前期の税額の半分を中間分の税額として行う申告で、以下の計算式で行います。

中間分の税額 = (前期の法人税額)×(前期の月数)

この計算式で計算した税額が、10万円以下である場合には予定申告、すなわち中間申告をする必要はありません。

(5)中間申告書②仮決算による中間申告書

仮決算による中間申告とは、期首から6カ月間を1事業年度とみなして仮決算を行う中間申告です。
予定申告と異なり、この仮決算で中間申告の税額が10万円以下でも、もしくは所得がマイナスでも、必ず行わなければなりません。
また、仮決算による中間申告税額が予定申告の税額を超えるときは、仮決算による中間申告はできませんので注意が必要です。

(6)法人税はいつまでに納めるか

法人税は、申告書の提出期限までに納めなければなりません。
申告期限の延長が認められている場合には、利子税を支払わなければなりません。
利子税を支払いたくなければ、2カ月以内に見込納付をすることもできます。

法人税の申告書の提出方法は、電子申告(e-Tax)、持参、郵送で行うことができます。
前述しましたが、法人税の確定申告の申告期限・納付期限は、事業年度終了の日の翌日から2カ月以内です。
なお、資本金が1億円超などの一定の会社の場合には、電子申告が強制されています。

(7)節税効果大の青色申告を受けたい時は

法人税の確定申告には、青色申告と白色申告があります。
青色申告とは、欠損金の10年繰越、欠損金の繰戻還付、特別償却、税額控除など、さまざまな特典を受けられる制度です。
青色申告の承認を受けるためには、法定の帳簿書類を備付け、適切に記録して、一定期間保存しなければなりませんが、大きな節税効果につながります。
青色申告の承認申請は、青色申告をしようとする事業年度の開始の日の前日までに「青色申告の承認申請書」を税務署長に提出しなければなりません。

(8)修正申告と更正

税務申告をした後に、誤って税額を少なく申告したことが分かった場合には、修正申告書を提出します。修正申告書を提出した場合には、延滞税などの附帯税を納める必要があります。

また、税務申告をした後に、誤って税額を多く申告したことが分かった場合には、税務署に更正の請求をします。更正の請求ができるのは、申告書の提出期限から5年以内に限られ、それを過ぎると納税者から更正の請求はできなくなりますので注意が必要です。

まとめ

税務申告においては、勘定科目内訳明細書を作成しながら、実残高と決算残高が合っているか確認し、別表で税額計算を行い、株主総会の承認を受けて申告書を税務署に提出しなければなりません。
法人税申告書では、決算書の当期利益を使用して法人税の税額計算を行わなければならず、かなり複雑です。
法人税申告書は、決算期末の翌月から2カ月以内に、所轄の税務署長に提出しなければならず、法人税は申告書の提出期限までに納めなければなりませんので、顧問税理士がまだいない場合には、できるだけ早く税理士に相談することをおすすめします。
 

税務申告の豆知識

会社が解散や清算を行うときも、税務申告が必要になります。
清算手続きで、すべての債務を清算した結果残った財産を残余財産といい、債権者保護の観点から、残余財産の株主への分配は、最後に行います。分配された金額が払込資本を上回っている場合には、上回った額は配当とみなされ(みなし配当)、所得税の課税対象となります。
一般的に、中小企業では代表者が大部分の株式を保有しているケースが多く、このみなし配当の額も大きくなることがあります。
しかし、会社が解散するまでには少しでも業績を圧迫しないよう、役員報酬をカットしているでしょうし、解散した際には役員退職金を支払えないケースも考えられ、そのうえにみなし配当の所得税も差し引かれてしまうと、税負担が重く感じられるでしょう。
そこで、残余財産を株主資本に近い金額だけ残し役員退職金を支払うことで、個人の節税対策と生産法人の事務負担の軽減を図ることが期待できます。ただし過剰な役員退職金を支払うと、税務調査で指摘されることもありますので注意が必要です。

税務申告について相談

freee税理士検索では、数多くの事務所の中から、税務申告に必要な決算書の作成、税務申告手続き、経理システムの構築などについて相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。

税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
 

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監修:「クラウド会計ソフト freee会計」

 

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