決算書のチェック項目-読み方・使い方の基礎知識

公開日:2018年11月07日
最終更新日:2018年11月07日

目次

  1. 決算書とは
    • 法律上の義務
    • 決算書の基本構造
  2. 損益計算書とは
    • 利益の見方
    • 売上高
    • 売上総利益
    • 営業利益
    • 経常利益
    • 税引前当期純利益
    • 当期純利益
  3. 貸借対照表とは
    • 「資産の部」
    • 流動資産
    • 固定資産
    • 繰延資産
    • 「負債の部」と「純資産の部」
    • 自己資本比率
    • 資金繰り(流動資産と流動負債)
  4. キャッシュ・フロー計算書
    • 営業キャッシュ・フロー
    • 投資キャッシュ・フロー
    • 財務キャッシュ・フロー
  5. 決算書を経営に活かすには
    • 税理士へ相談

会社を経営するうえでは、決算書を読み分析することが非常に重要です。
しかし、専門的な用語や数字も多いことから、決算書を曖昧に理解するままで事業を行っているケースも非常に多くみられます。
ですが、決算書を読み使いこなせるようになれば、経営の羅針盤を手に入れるのと同じ効果が期待できます。

ここでは、決算書の意味、基本的な知識、事業に活かせる情報の読み方から、事業において有効に活用できる方法をご紹介します。

決算書とは

決算書とは、会社の財政状態や経営成績を示すものであり、自社の現状がどのような状態なのかを数値で把握するための書類のことをいいます。
決算書について、正しい読み方を身につけると、自社の現状をしっかり把握し、問題点や課題点がないか、経営の手法に間違いがないかを把握することができるようになります。

法律上の義務

決算書の作成は、さまざまな経営分析指標であるという以外にも、作成すべき理由があります。決算書の作成は法律上の義務であり、個人事業主でも法人でも確定申告の際に決算書を必ず税務局に提出しなければならないとされているのです。
それでは、なぜ法律で決算書の作成を義務づけているのでしょうか。
それは、会社の利害関係者(株主や銀行の債権者、取引先、従業員など)に、に会社の業績を伝える報告書が決算書だからです。
会社は、経営者が経営の結果を判断するためだけでなく、利害関係者に会社の業績を報告するために、決算書を作成しているのです。
つまり、決算書とは経営者のみならず利害関係者が「会社がきちんと利益を得ているか」「健全な状態で運営しているか」などを判断するために、重要な報告書といえるのです。

決算書の基本構造

決算書は「財務諸表」とも呼ばれ、いくつかの種類に分かれます。
「賃借対照表」は財務状況をあらわし、「損益計算書」は儲けをあらわし、「株主資本等変動計算書」は利益の行方をあらわし、「キャッシュ・フロー計算書」は、お金の流れをあらわします。
そして、これらの書類を総称したものが「決算書」と呼ばれます。
決算書のなかでも、会社の成績を知る上で重要なのは、「賃借対照表」「損益計算書」「キャッシュ・フロー計算書」の3つです。

○賃借対照表(B/S)
決算日時点での会社の財政状況をあらわします。

○損益計算書(P/L)
収益と費用の区分によって、一事業年度の経営成績をあらわします。

○キャッシュ・フロー計算書
一事業年度のお金の流れをあらわします。

損益計算書とは

損益計算書とは、会社の一定の会計期間における経営成績を表す書類です。
「一定の期間に会社が生み出した収益から、それを確保するために要した費用・損失を差し引いて、期間損益を表した決算書」で、会社が会計期間においてどれだけ「成果」をあげられたかを示します。
なお、ここでいう「一定の期間」は、通常は会社が事業年度として定めた1年間のことをいいます。
損益計算書は、売上高から始まり、最終的には当期利益を計算します。

利益の見方

損益計算書には様々な「利益」が出てきますが、それぞれの利益は企業の活動別の成果をあらわしています。
そのなかでも最も重要なのは、「営業利益」「経常利益」です。

売上高

売上高は、損益計算書の一番上に記載される項目で「売上収益」をあらわします。
注意すべきなのは、「売上収益」であって、売り上げて得られた利益を示しているわけではないというところです。
ただし、本業の状況の良し悪しを判断する項目のひとつとなる重要な項目です。

売上総利益

売上高から売上原価を差し引いた利益が「売上総利益」です。
売上原価とは、仕入や外注費など、売上をあげるために直接かかった原価のことで、会計上、計上される売上高に対応する原価を指します。
「売上高-売上原価=売上総利益」となるので、この売上原価が小さければ小さいほど、売上総利益(粗利)は大きいということになります。

営業利益

売上総利益から、販売費を差し引いた利益が「営業利益」です。
営業利益は、本業で稼いだ利益で、事業の収益力を表す項目です。
基本的には、売上総利益から販売費及び一般管理費を引いたものとして計上されます。
この営業利益でプラスが出ていれば、会社として本業で利益が出ていると言えることになります。

営業利益は本業でどれだけ稼げるかを示す項目なので、今後の事業計画を立てるうえでも大事な指標となります。

経常利益

営業利益から営業外損益を差し引いた利益が「経常利益」です。「ケイツネ」と呼ばれたりします。正常な企業活動による利益を示します。
前述した営業利益は事業の収益力を表しますし、経常利益は会社の本来の経営力を示します。
これらがマイナスである場合には、経営のどこかに問題点があるということになりますので、早急に改善施策を検討しなければなりません。

・営業外利益・営業外損失
通常の営業活動以外で稼いだ利益及び費用で、経常的に発生する損益が計上されます。
例えば、経常的に発生する有価証券売買損益や借入金の利息などが、これらに該当します。

税引前当期純利益

経常利益から、突発的に発生する特別利益・特別損失を差し引いた利益が、「税引前当期純利益」です。

・特別利益・特別損失
特別利益・特別損失とは、臨時的に発生した費用や、過年度の修正損益などです。
これらの損益は、経常利益と一緒に計上してしまうと、企業の収益力が過大に評価されかねないことになってしまいます。したがって、別途項目を分けて計上します。

当期純利益

税引前当期純利益から、法人税等の税金費用を差し引いた利益が「当期純利益」です。すべての収益からすべての費用を控除した純利益を示します。

なお、損益計算書を見る際の大前提として知っておきたいのが、「キャッシュ・フローと損益計算書の利益は別者」という点です。

つまり、損益計算書上、利益がたくさん出ていたとしても、実は会社に全くキャッシュが残っていない…という状態もありうるのです。
いわゆる、利益を出しているのに、現金が残っていない「勘定あって銭知らず」のケースです。
経営者は、「損益計算書で利益が出ているから」と損益計算書の数字を頼りにし過ぎず、お金の流れ(=キャッシュ・フロー)をしっかりと理解することが大切です。

また、繰り返しになりますが、これらの利益がキャッシュ・フローをあらわしているわけではない、という点には十分に注意が必要です。いくら利益があっても、会社における資金(キャッシュ)の流れ(フロー)が滞れば、資金はショート(不足)してしまいます。
資金がショートすれば、損益計算書のうえでどんなに利益を計上していても、支払いが滞るようになり、最終的には倒産してしまいます。

「賃借対照表(B/S)とは|構造・ルール・見方・ポイントまとめ」を読む

貸借対照表とは

貸借対照表とは、一時点における会社の財政状態を表します。
一時点において、会社がどこから財産を得て、どのように事業に使っているかを示す諸表となります。
会社は、利益を得るためにさまざまな営業活動を行っていますが、この営業活動を行っていくうえでは、さまざまな資産を取得し利用するなどしています。
そして、この営業活動を行うために会社が持っている資産と負債を把握するための計算書類が貸借対照表なのです。

貸借対照表では、「資産」が左に計上されて会社財産の運用を表現します。そして、「負債」と「純資産」は、貸借対照表の右に計上され、会社財産がどこから来ているのかを示しています。

「資産の部」

資産は、上から「流動資産」「固定資産」「繰延資産」と並んでいて、現金化しやすいものの順に並んでいます。

流動資産

流動資産とは、前渡し金や売掛金など「1年以内に現金化できる資産」を指します。流動資産を多く持っているということは、資金ショートを回避できる要素が大きいということになります。

固定資産

固定資産とは、建物や機械、長期貸付金など「現金化するのに、1年以上を要する資産」を指します。
なぜ、流動資産と固定資産を区別するかというと、会社が永続的に存続し続けるためには、資金が安定していることが必要なので、その判断を賃借対照表から容易に把握することが必要となるからです。
したがって、賃借対照表では、資産のなかでも短期間に受払が発生する資産や負債と、ある程度先に受払が発生する資産や負債のバランスを見ることができるため、「その会社が、将来まで資金的に安定しているか」が判断できるようになっています。

繰延資産

繰延資産の本質は、費用に近いもので、本来であれば支出をした時点ですべて経費として処理をせずに、将来の収益に貢献するという理由で資産に計上することにしたもので、開業費、創立日、開発費などが該当します。
換金性や市場性がないので、資産価値のない資産ともいえます。

「負債の部」と「純資産の部」

「負債の部」は将来の資金流出をあらわします。
1年以内に返済の期限が到来する借入金や、未払い法人税などが該当します。

「純資産の部」には、資本金があります。資本金とは、会社の元手のことで、返済義務のない自社のお金のことです。
また、純資産の部の「利益剰余金」は、過去の利益の蓄積となり、同様に「返済義務のないお金」です。

つまり、純資産の部は、自分で集めたお金であり、自己資本をあらわします。
一方、負債は、借入金など、他人から集めてきたお金であり、他人資本をあらわします。

自己資本比率

これまで述べてきたように、賃借対照表の右側は、負債と純資産の部で、負債は他人から調達したお金、純資産は自分で調達したお金をさしていました。

そして、この自己資本と他人資本の割合が、その会社の経営状態を把握するうえで、ひとつのチェックポイントになります。
会社を経営していくうえでは、他人から集めるより自分で集めたお金が多い方が、経営は安定します。そこで、この自己資本が大きいほどよい会社ということになります。
これを財務分析では自己資本比率といい、負債の金額を負債+自己資本で割り100で掛けて計算します。

自己資本比率(%)=自己資本÷(自己資本+他人資本)×100

資金繰り(流動資産と流動負債)

賃借対照表は、左側の1番上には「流動資産」、右側の1番上には「流動負債」が計上されます。
流動資産とは、現金になりやすい資産(または現金そのもの)をさし、流動負債は、すぐに支払いをしなければならない負債を表しています。

したがって、すぐに支払わなければならない負債をすぐに現金化できる資産が上回っているのが理想的な状態ということになります。
つまり、流動資産が流動負債を上回っていれば、何か急な支払いが必要になっても、換金できる流動資産を使って流動負債を支払うことができることになります。

「損益計算書(P/L)とは|構造・ルール・見方・ポイントまとめ」を読む

キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フロー計算書とは、一事業期間におけるキャッシュの変動を見て、原因別に分析するための諸表のことをいいます。
キャッシュ・フロー計算書は、上場企業では、作成・公表することが義務づけられていて、会計監査を受ける必要がありますが、中小企業では作成が義務づけられているわけではありません。

しかし、会社を経営していくうえでは、さまざまなキャッシュの動きが出てきて、しかも、そのキャッシュの動きと利益が必ずしも一致しないケースが多くあります。

キャッシュの流れを追うことで、資金ショートが事前に予測することができるようになるので、いわゆる「黒字倒産」を回避することができるようになります。

これまで繰り返し述べてきたように、キャッシュが尽きれば、会社は倒産してしまいます。
つまり、損益も大事ですが、それ以上にキャッシュの流れに着目した経営を行うことが大事です。
キャッシュ・フロー計算書は、中小企業では作成が義務づけられていませんが、むしろ中小企業にこそ必要な計算書といえるのはないでしょうか。余力があればぜひ作成して経営分析に活かしたい計算書です。

営業キャッシュ・フロー

営業キャッシュ・フローは、会社の通常の営業で収入・支出したキャッシュの金額とその流れを計算します。

直接法、間接法二通りの表示方法がありますが、間接法であれば、損益計算書、貸借対照表の情報から作成できるので、効率的です。

損益計算書の「税引前当期純利益」の数字が、キャッシュ・フローの一番初めの数字になり、そこから計算を始めて、キャッシュに関する増減項目を加減して計算することになります。
営業キャッシュ・フローは、会社を経営する以上、絶対にプラスにすべきものです。
もし、営業キャッシュ・フローが経常的にマイナスになっている場合には、その原因を分析し早急に改善するか、事業そのものの存続を見直す必要があると言わざるを得ないことになります。

投資キャッシュ・フロー

投資キャッシュ・フローとは、会社の投資によるキャッシュの流れをあらわしています。直接営業にかかわる内容ではありませんが、投資を行い、営業を補助する取引を行った場合に計上されるので、資金運用を見るうえで重要です。
よく出てくる取引としては、固定資産の購入などがあります。
会社が成長するためには、ある程度の投資は必要なので、投資状況はマイナスでもよいことになります。投資状況がプラスになっている原因としては、資産の売却や貸付金の回収が行われたケースなどが考えられます。

財務キャッシュ・フロー

財務キャッシュ・フローとは、会社の財務活動の結果としてのキャッシュの流れをあらわしています。借入取引や資本取引など、会社の資金調達にかかわるキャッシュ・フローが該当します。
例えば、新規の運転資金や投資のために現金を借りた場合にはプラスになり、株主に配当した場合にはマイナスで表されます。

3つの区分のキャッシュフローについては、下記の記事でまとめています。併せてご覧ください。

銀行を安心させる「キャッシュフロー計算書」を読む

決算書を経営に活かすには

決算書を経営に生かすには、まずは月次決算書をできる限り早く作成し、手元に置くことが大事です。
経営環境は目まぐるしく変わります。意思決定の遅れは致命的な問題になる可能性があります。それを防ぐためにも、決算書はリアルタイムで把握できる状態に準備しておくことがベストです。

税理士へ相談

経営者の業務は多岐にわたります。
本業はもちろん、コンプライアンス経営にも注力する必要があります。
そして、それに加えて財務面の分析を行ないながら適切な意思決定を行う責務を担うのは、非常に難しい時もあるでしょう。

だからこそ、そういう時こそ、信頼できる会計や税務の専門家に依頼をし、自社の経営を財務的な側面から管理してもらうことは非常に大事といえます。

税理士は、税務・会計のスペシャリストとして、税務・会計業務全般のサポートはもちろんのこと、経営者の皆様のパートナーとして、経営を支えるための戦略的な提案を行い、ご提案し、経営判断をサポートしてくれます。

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