公開日:2019年11月12日
最終更新日:2024年05月14日
データは、「つながること」で価値を生みます。
たとえば、製品の在庫がどれだけあるのか、在庫がない場合にはいつまでに生産できるか、事前に発注するためには何が必要かなどの情報が、1つの巨大なデータベースに管理されていれば、必要なものを必要なだけ生産し、適正な在庫を持ち、会社のお金を効率的に運用していくことができるようになります。
このような会社の統合基幹業務システムをめざす考え方を「ERP」といいます。
ERPの豆知識
ERPとは、コンピューターシステム上で情報を集中管理し、業務効率の向上を目指すという考え方です。ERPの対象となる業務は、会計業務、在庫管理業務、販売業務などで、ERPを導入することで企業経営の効率化に役立ちます。
ERPは大企業を中心に導入が進んでいますが、中小企業においては「コストがかかる」などの理由から、まだまだ普及していないのが実情です。
しかし、ERPは、人手の足りない中小企業にこそ導入すべきと言えるのです。「ヒト」「モノ」「カネ」といった経営資源を全社レベルで管理・活用すれば、大幅に経営の効率化が実現できるからです。
会社の業務というものは、購買、在庫、生産、販売、人事、会計がすべてつながっています。
購買部門では、モノを製造するために必要な原料を仕入、その仕入れた原料は在庫として保管されます。さらに生産部門では、原料を倉庫から取り出して製品を製造し、この製品は倉庫に保管されます。
販売部門は、顧客からの注文に応じて製品を倉庫から出荷して納品し、代金を請求します。会計部門では、仕入先から代金が支払われているかなどの入金管理や、事業の状況などの分析を行います。
そして人事部門では、従業員の勤怠管理や給与計算などを行います。
これらの部門を一元管理することで、業務の効率化が実現するだけでなく、さまざまな経営課題がクリアになるというメリットがあります。たとえば、在庫数量や販売実績数量をリアルタイムで把握できれば、そのデータをもとに対象製品を製造すればよいので、ムダな在庫を減らすことができます。将来の売上高を把握できれば、早期の資金繰りも可能になります。
freee統合型ERPは、ヒト(freee人事)モノ(freee販売)カネ(freee会計)を統合体験として使うことができるクラウド型ERPです。導入前の相談から、習熟コンテンツ、貴社状況に応じた運用フローの設計までしっかりとサポートいたしますので、まずはお気軽にお問合せください。
ERPとは、「Enterprise Resources Planning」の略で、簡単に言うと会社の基幹業務システムのことをいい、調達、生産、販売など複数業務横断型のパッケージをいいます。
従来日本にはERPという概念がありませんでした。そのため、個別開発した基幹業務システムを使用するケースがほとんどでした。しかし個別のシステムは再構築に限界があり、トータルで管理することの必要性に迫られたことから大手企業を中心にERPパッケージの導入が進んだのです。
ERPの導入は、業務処理を効率化するきっかけにすることができますが、一方、ほとんどの場合で、これまでの取引慣行や業務プロセスを見直す必要があります。これは、旧来の取引慣行や業務プロセスがデジタルと親和性の低い業務であったり、導入したERPの業務プロセスと整合していない業務であったりするためです。
そのため、ERPを導入するか否かは情報システム部門や業務部門で決めるのではなく、経営トップの意思決定機関が決定するべきとされています。
生産や販売拠点を海外にシフトしたり、国内市場に参入してくる海外企業と競争を繰り広げたりするなか、よりよい商品・サービスを、より早くより安価に提供することがこれまで以上に求められています。
そして、この激しい競争に勝ち残るためには、コスト削減をはじめとする経営の効率化はもちろん、グローバル展開に対応できる業務システムや管理のしくみを整備していかなければなりません。
そのためには、ヒト、モノ、カネ、情報といった資源を企業全体で可視化し、最適に活用することが重要です。
そして、それらを実現し経営を効率化するための手法としてERPを導入する企業が増えています。
ITRの調査によれば、ERP市場の2019年度の売上金額は1,128億円、前年度比12.4%増となりました。ITRによれば、これはベンダー全般的に既存ユーザーのリニューアルやシステム拡張が堅調に進んだことが背景にあると指摘しています。
参照:IT戦略とIT業界の行き先をとらえる市場調査とコンサルティングのITR「ERP市場2021」
従来は、会計業務、販売業務を別々のシステム、別々のサーバで運用していました。
会計システム上に「勘定科目別総勘定元帳」「売掛金の取引先補助簿」「買掛金の仕入れ先補助簿」を持っている場合に、後から販売システムを別に開発すると、「取引先マスター」を別に用意して、両方のシステムに会計システム上の取引マスターを登録して運用しなければならなくなります。
さらに、もし会計システムと販売システムのどちらかに変更が生じた際には、両方の内容を変更しなければなりませんでした。
システムごとに、マスタやデータがバラバラに存在しているケースでは、両方のマスターの同期を行うしくみを構築しなければならず、システムの運用管理が煩雑になってしまうという問題がありました。
そこで、会計システムと販売システムをERPで一元管理した方が良いという考えが生まれたのです。
このようにERPは、生産はもとより販売、購買、物流、会計、人事、給与など、企業のあらゆる資源を最適化し業務を統合的に管理し、経営の効率化を図ることを目的としています。
したがって、ERPをあえて訳すなら「統合基幹業務システム」ということになるでしょう。
ERPの「経営資源を最適化し、業務を統合的に管理し、経営を効率化する」という目的に基づき、ERPパッケージでは会計、人事・給与、購買、在庫管理、生産、販売、物流などの各業務を連携させるしくみが提供されています。
ERPパッケージがサポートする業務領域としては、主に以下の業務をあげることができます。
会計 | ・財務会計(一般会計、債権・債務、固定資産など) ・管理会計(予算管理、収支管理、原価管理、資金管理など) |
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販売管理 | ・顧客管理 ・価格管理 ・受注管理 ・売上・請求管理 など |
人事・給与 | ・採用 ・キャリア管理 ・勤務管理 ・給与計算 ・教育研修 など |
生産管理 | ・需要予測 ・生産スケジュール ・製造データ ・工程管理 ・品質管理 ・在庫管理 など |
購買管理 | ・仕入先管理 ・見積情報管理 ・申請・発注管理 ・支払管理 など |
ERPで一元管理するメリットは、元の情報がひとつなので、帳票間で数字が一致し、いろいろなデータで集計・加工をすることができるという点です。
データの登録や集計について、担当者がデータを加工・修正しない限り一致することになるので、担当者や経営者がリアルタイムで正しいデータを得ることができますし、そのデータに基づいて判断することが可能となります。
また、1つのデータベースで管理することができるので、運用管理がシンプルで効率化されます。ログ管理やモニタリングなどもシステムの数が少ない方が管理しやすいのは言うまでもありませんし、修正等がある場合でも対応工数が少なくて済みます。
ERPを導入するためには、現状の課題の洗い出し、実現したい全体像を固める必要があります。そこで、大企業がERPを実際に導入するまでには、数年かかるケースもあります。
また、導入後に自社の組織体制に変更があったり、分社化したりした場合には、その変更内容に対応するために時間がかかることもあります。
これらのERPのデメリット対応するためには、システムを導入する際にも導入後も、ERPに精通している専任の担当者を選任し、プロジェクト管理を行う必要があります。
ERPを導入するうえでは、専任のプロジェクト体制を立ち上げ、1年がかりのスケジュールで行うケースもあります(企業の規模にもよります)。
ERPパッケージ導入は、主に以下の流れで進みます。
導入するERPパッケージが対象業務領域において、どの程度適合するかを見極めることは大変重要です。導入予定の業務領域について分析を行い、内容や課題が明確になれば、設計以降で行うべき作業内容が具体的になります。
プロジェクト 計画・準備▶ |
要件定義・ 分析▶ |
設計・構築▶ | 移行・稼働▶ | 維持・改善 |
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ERP導入成功のキーポイントは、「関連部門のキーパーソンをいかに巻き込むか」にかかっています。
企業レベルでERPを導入すれば、業務の流れとデータを可視化して、業務全体をリアルタイムで把握することができますが、特定の部門や業務のニーズだけにフィットするようでは、満足度も成果も低くなりがちです。
このような事態を回避するためには、現場の協力体制を確立させて、経営全体の目標を理解しリーダーシップをとる強力なキーパーソンの存在が不可欠となります。
キーパーソンを巻き込むためには、まずは経営者の意思を明確にすること、そしてERP導入のメリットを丁寧に説明していくことが重要でしょう。
大企業も中小企業も、ERPを活用して目指すものは、データをリアルタイムで把握しそのデータに基づいて経営を行うことです。
加えて中小企業では初期投資コストや運用コストを極力抑える必要があります。そこで注目されているのが、クラウド化によるERPシステムの実現です。
「クラウドERP freee」は、システムごとにバラバラになっていたデータをAPIで連携することで、クラウドを活用した全社最適化を可能にします。
経費精算や支払い依頼から、仕訳まで「クラウド会計ソフト freee会計」で完結することができるのはもちろん、業務間で共通するデータを自動転記するので、ヒューマンエラーを削減することができます。また、プロジェクト別や部門別のデータもすぐに確認することができます。
さらに、稟議と証憑、仕訳がオンラインで紐づくことにより、予算超過の原因分析や監査対応などもスムーズに行うことができるようになるほか、IPO準備・上場企業様にもお使いいただけるよう内部統制に対応しています。
以上、ERPの意味やメリット・デメリット、導入方法などについてご紹介しました。
「freee統合型ERP」は、基幹業務処理に必要なプログラムがすべて用意されていて、自社の業務フローに合わせて必要なプログラムを選択し、自社用の業務処理メニューを構築することができます。
料金プラン詳細や、製品説明・使い方、導入支援などについては、オンラインでも電話でもお問い合わせいただくことが可能です。
ぜひ、お気軽にお問合せください。
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監修者
藤山 祥紀ふじやま よしのり
InnOpe合同会社 代表
幅広いスキルセットで、お客様のオペレーションの変革を全力でサポートします
InnOpe合同会社では、生産性の向上や経営状況の把握を目的としたデジタル化サポートを行っております。
クラウド会計やダッシュボードを利用することで、作業時間を大幅に削減することができるうえ、自社の損益・経営状況をタイムリーに把握することができ、事業の意思決定をスピーディに行うことができるというメリットがあります。
InnOpe合同会社では、システム構築コンサルティング経験を含めたITに関する知見、経営、バックオフィス業務、会計に関する知見を駆使し、企業活動全体を見通し、デジタル化サポートを行っております。