公開日:2021年08月22日
最終更新日:2024年03月19日
営業外収益とは、損益計算書の「営業利益」の下に表示される項目です。
営業外収益には、有価証券運用益や預金利息など、本業以外で得た収益が計上されます。
損益計算書の「営業利益」から、営業外収益、営業外費用をプラスマイナスしたものが「経常利益」です。
営業外収益の豆知識
営業外収益とは、損益計算書上の収益区分のひとつで、本業から生じる収益以外の収益です。営業外収益の額が大きくプラスになる会社は、財務力があるということですから、たとえば販管費の負担で営業赤字を出してしまうなどの理由で本業で利益が残せなくても、営業外収益がプラスになれば、経常利益は黒字になることもあるのです。
経常利益は、営業外収益を増大させ営業外費用を削減することで、高めることができます。具体的には余剰資金でできるだけ有利な運用を検討したり、余剰資金を業績良好な株式に投資したりして営業外収益の増大に努めます。そしてあわせて、低利な公的資金に借換えをしたり繰り上げ返済を検討したりして、営業外費用の削減に努めます。
損益計算書は、このようにどの段階の経営活動の結果として利益を計上したのか(あるいは、損失を出したのか)を見ることで、経営上の問題点や今後の課題を把握できるようになります。
営業利益や経常利益の分析については早めに顧問税理士に依頼し、対応策などについてアドバイスを受けることをおすすめします。
営業外収益とは、本業以外で得た収益で、損益計算書の「営業利益」の下に表示されます。
営業外収益には、受取利息、受取配当金、仕入割引、為替差益、雑収入が計上されます。
会社は資金に余裕があれば、定期預金に預けたり株式投資をしたりといった、資金運用を行って、収益を稼ぎます。定期預金にすれば利息がもらえますし、株式投資をして株価が上昇すれば儲けることができて収益を生みます。
このような資金運用の結果、得た収益が「営業外収益」です。
損益計算書には、5つの利益を計算するために、3つの収益と5つの費用が表示されます。
損益計算書の3つの収益 売上高(本業の儲け) 営業外収益(本業以外の収益) 特別利益(臨時の収益) |
損益計算書の5つの費用 売上原価(材料費など) 販売費及び一般管理費(家賃、給料、交際費など) 営業外費用(本業以外の損失やコスト) 特別損失(臨時の損失やコスト) 法人税等(法人税、法人住民税、法人事業税) |
そして、収益から費用を順番に差し引いて、5つの利益を段階的に計算しています。
収益 ― 費用 = 利益 |
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利益を計算するための収益-費用の計算式 | 利益 |
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売上高(収益)-売上原価(費用)=売上総利益 | …1つ目の利益 |
売上総利益-販売費及び一般管理費(費用)=営業利益 | …2つ目の利益 |
営業利益+営業外収益(収益)-営業外費用(費用)=経常利益 | …3つ目の利益 |
経常利益+特別利益(収益)-特別損失(費用)=税引前当期純利益 | …4つ目の利益 |
税引前当期純利益-法人税等(費用)=当期純利益 | …5つ目の利益 (最終的な利益) |
損益計算書はこのように、収益を3つに区分し費用を5つに区分して表示しています。そして5つの利益を段階的に計算しています。それではなぜ損益計算書は、収益や費用、利益を区分して表示しているのでしょうか。
それは、営業活動から得た売上高と、主な営業活動以外の活動から発生する収益(営業外収益)や臨時的な収益(特別利益)を別に表示して、さらに段階的に利益を計算して表示することで、損益計算書から「いくら稼いだのか」だけでなく、「何によって利益、あるいは損失を出しているのか」といった詳細な情報を得るために、区分しているのです。
損益計算書
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損益計算書には、売上高、営業外収益、特別利益という3つの収益が表示されるということは、先ほどご紹介したとおりです。
そこで、それぞれの収益の意味と、損益計算書上における計算方法を知っておきましょう。
売上高 その期間の売上をあらわす金額であり、会社の利益の源泉です。
売上総利益は粗利(あらり)とも呼ばれ、これが大きいほど以下の費用を回収して営業利益や経常利益を出す力が強くなります。 |
営業外収益 損益計算書には、営業利益の次に経常利益を計算する過程として、営業外収益と営業外費用があります。 営業利益に営業外収益をプラスして、さらに営業外費用をマイナスしたものが経常利益となります。
企業の営業活動によって発生した損益を営業損益といい、企業の営業活動以外によって発生した損益を営業外損益といいます。営業外損益は、受取利息や支払利息など、主に財務活動に関連する損益が該当します。 |
特別利益 損益計算書では、経常利益の次に税引前当期純利益を計算する過程として、特別損益があります。特別利益とは、毎年発生するような収益ではなく、数年に一度程度しか生じない臨時の収益です。たとえば、土地や建物を売却した時に発生した儲けや子会社の株式を売却した時の儲けが該当します。
経常利益に特別利益を加算し、特別損失(臨時的に発生した損失)を差し引いた利益が、税引前当期純利益で、税金を差し引く前の利益です。 |
営業外収益と売上高は、ともに損益計算書に表示される収益ですが、売上高が本来の営業活動で稼ぎ出した収益であるのに対して、営業外収益は、本業以外の収益です。
収益の種類 | 内容 |
---|---|
売上高 |
商品10万円を現金で販売した。 商品50万円を手形で販売した。 商品40万円を掛売上で販売した。 |
営業外収益 | 金融機関の預貯金の利息が、入金された。 株式の配当金の収入があった。 |
営業外収益が本業以外で生じた収益であるのに対して、特別利益とは、数年に一度程度しか生じない臨時の収益のことです。
収益の種類 | 内容 |
---|---|
営業外収益 | 金融機関の預貯金の利息が、入金された。 株式の配当金の収入があった。 |
特別利益 |
土地や建物を売却した。 他の会社を支配する目的で購入した株(子会社株式)を売却した。 |
営業外収益が「収益」であるのに対して、営業外費用は「費用」です。
たとえば、株の価値が下がってしまった場合や借入金の利息、社債を発行したことにともなう利息などが、営業外費用となります。
種類 | 内容 |
---|---|
営業外収益 |
受取利息 有価証券利息 受取配当金 有価証券売却益 有価証券評価益 |
営業外費用 |
支払利息 社債利息 有価証券売却損 有価証券評価損 |
これまで営業外収益の意味や該当するもの、売上高・特別利益との違いなどについてご紹介してきましたが、ここでは営業外収益に計上される勘定科目の意味と、仕訳例についてご紹介します。
受取利息とは、金融機関の預貯金の利息、貸付金の利息、保証金の利息などの利息です。
普通預金の利息 郵便貯金の利息 定期預金の利息 有価証券の利息 国債・社債の利息 貸付金の利息 保証金の利息 |
「預金利息900円に対する税金が控除され、普通預金に入金された。」(法人の場合の預金利息)
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 763 | 受取利息 | 900 |
仮払法人税 | 137 |
※個人事業主が利息を受け取った時には利子所得となるので、事業主貸で処理をします。
受取配当金とは、株式、出資、投資信託などに対する配当金の収入のことです。
株式配当金 出資配当金 収益分配金 保険契約者配当金 |
「上場株式の配当金1万円が国税15.315%を引かれて、普通預金に振り込まれた。」(法人の場合)
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 8,469 | 受取配当金 | 10,000 |
仮払法人税 | 1,531 |
※個人事業主が配当金を受け取った時には配当所得(税率20.315%)となるので、事業主貸で処理をします。
仕入割引とは、材料や商品の仕入代金の早期支払いに対する割引額です。
「買掛金10万円について、全額を1カ月前倒しに決済する旨を申し出たところ5,000円の割引を受け、本日9万5,000円を小切手で支払った。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
買掛金 | 100,000 | 当座預金 | 95,000 |
仕入割引 | 5,000 |
為替差益とは、外国通貨の所有または外貨建債権債務から生じる円貨との決済、円貨への換算に際して生じる為替相場の差額による利益です。
「外貨建の売掛金100万円(10,000ドルを1ドル100円で換算)が決済され、100万5,000円(1ドル100.5円で換算)が普通預金に振り込まれた。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 1,005,000 | 普通預金 | 1,000,000 |
為替差益 | 5,000 |
雑収入とは、自動販売機の取扱手数料など、他の勘定科目に当てはまらず、かつ、金額的に重要性の少ない雑多な項目を処理する時に使う勘定科目です。
還付加算金の受取り 助成金の受取り 補助金の受取り 保険金の受取り 損害賠償金の受取り 作業くずの売却収入 スクラップの売却収入 廃材処分の収入 リサイクルの収入 自動販売機の設置料 現金超過分 |
「駐車場に設置した自動販売機の売上3,000円が、普通預金に振り込まれた。」
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 3,000 | 雑収入 | 3,000 |
営業外収益は、損益計算書に表示される収益のうち、本業以外で得た収益で、受取利息、受取配当金、仕入割引、為替差益、雑収入などの勘定科目の収益が計上されます。
営業外収益に該当する収益を、売上や特別利益など、他の収益に計上してしまうと、正しい経営分析ができなくなってしまいますので、注意が必要です。
どのような収益を営業外収益に計上すればよいか分からない時には、税理士に相談し正しく処理を行うようにしましょう。
freee税理士検索では数多くの事務所の中から、営業外収益について相談できる税理士を検索することができます。
また、コーディネーターによる「税理士紹介サービス」もあるので併せてご利用ください。
税理士の報酬は事務所によって違いますので、「税理士の費用・報酬相場と顧問料まとめ」で、税理士選びの金額の参考にしていただければと思います。
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監修者
藤山 祥紀ふじやま よしのり
InnOpe合同会社 代表
幅広いスキルセットで、お客様のオペレーションの変革を全力でサポートします
損益計算書は、収益と費用を対応させて記載し、それらの差額としての期間損益を報告するための計算書で、いわば会社の経営成績をあらわすものです。収益から費用を差し引いたものが利益であり、この関係が損益計算書の基本となっています。
収益、費用、利益は、企業活動の種類によって「①営業活動」、「②営業外活動」、「③臨時的・特別な活動」の3つに分けて表示されています。
「①営業活動」の段階では、「売上高」から「売上原価」を差し引いて計算される「売上総利益」、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」を差し引いて計算される「営業利益」が表示されます。この「営業利益」に「②営業外活動」の収益である「営業外収益」をプラスし、営業外の費用である「営業外費用」をマイナスしたものが、企業の経常的な活動による利益である「経常利益」です。
さらに、「経常利益」に「③臨時的・特別な活動」によって発生する「特別利益」「特別損失」をプラスマイナスして「税引前当期純利益」を表示します。
このように、損益計算書は企業活動の種類によって得られた利益を段階的に表すことで、「最終的にいくら利益が出たのか」だけでなく、「何によって利益(あるいは損失)を出しているのか」を読みとることができるようになっているのです。
そして、この損益計算書は、前期と当期を比較したり、売上高と当期純利益を比較したりといった、さまざまな経営分析を行うことで、会社の課題を把握することができます。
InnOpe合同会社は、経理・会計業務についてのデジタル化で効率を上げ、問題解決を行うサポートを行っております。経理のデジタル化を進め経営を見える化することで、損益計算書や貸借対照表といった決算書を容易に作成することができるようになりますし、リアルタイムのデータを把握することで、適格な意思決定を行うことができるようになります。
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