ひとり法人 自宅家賃 経費計上について
タイトルにある通り自宅の家賃が経費計上可能かどうかを教えてください。
・1人法人です
・個人名義で契約をしています。
・家賃は個人口座からの引落です。
①個人名義でも個人事業主のように家事按分をすれば経費計上できるのでしょうか?
②個人名義で経費計上する場合は会社と名義主(社長)の間で契約書等を結ばないといけないのでしょうか?
③経費計上するには法人名義でないといけないのでしょうか?
④法人名義に変更ができたとしても自宅兼事務所として家事按分の対象となるのでしょうか?
⑤もしくは社宅という扱いになり家事按分ではなく役員報酬から計算した額を引く必要があるのでしょうか?
① 個人名義でも家事按分すれば経費計上できるか?
→ 原則できません(法人では)。
家事按分という考え方は、個人事業主にしか適用されません。
法人は「法人」と「社長個人」が別人格ですので、
個人の名義で借りた部屋の一部を法人が使っても、勝手に按分して経費にすることはできません。
ただし、以下のような例外的な方法で対応は可能です。
• 会社が社長に対して「事務所使用料」を支払う(いわゆる“地代家賃方式”)
• この場合、会社→社長個人への支払いとして経費にでき、社長側は不動産所得または雑所得として申告
このやり方をとる場合、使用料の設定根拠(家賃のうち業務使用分の割合など)を明確にする必要があります。
② 個人名義で経費計上する場合は契約書が必要か?
→ 必要です。
契約書がないと、会社と社長の間に賃貸借関係が存在しないため、
税務上「社長の個人的支出を会社が負担している」とみなされ、
役員への給与(=損金不算入)とされるリスクがあります。
契約書は「事務所使用契約書」や「賃貸借契約書(簡易版でもOK)」の形で、
• 物件住所
• 使用範囲(例:LDKのうち1部屋8畳分)
• 賃料(月額○円、全体家賃の30%など)
• 支払方法
を明記しておきます。
③ 経費計上するには法人名義でないといけないか?
→ もっとも確実でシンプルなのは法人名義です。
法人名義で契約していれば、家賃は会社の経費として直接計上できます。
ただし、住居としても使っている場合はそのまま全額経費にはできず、
「社宅扱い」や「按分処理」が必要になります。
④ 法人名義に変更しても、家事按分の対象になるか?
→ なる場合があります。
法人名義であっても、実態が「社長の自宅兼事務所」であれば、
業務使用部分のみが会社経費となります。
つまり「按分」は必要です。
たとえば、
• 全体40㎡のうち、10㎡を仕事部屋として使用
→ 家賃の25%を会社経費にできる、という形です。
⑤ 社宅扱いにした場合の処理
→ 社宅制度を使うと、「家事按分」ではなく“本人負担+会社負担”の形で処理します。
この場合、法人が家賃全額を支払い、
社長が「役員社宅使用料」として一部(賃料の50%程度など)を会社へ支払います。
その本人負担額の計算方法は、国税庁の「役員に対する社宅の貸与」の通達に基づき、
• 賃貸物件の場合:
「家賃の50%程度」を本人負担にすれば概ね妥当
• 持ち家を社宅として貸与する場合:
固定資産税や減価償却費に基づく計算式で算出
社宅扱いにすることで、会社が全額を立替しつつ、
税務上は適正な役員給与とされ、否認リスクが低くなります。
- 回答日:2025/10/06
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