最終仕入原価法について
商品Aを単価10円、20円、30円と3回に分けて各1つずつ仕入れたとします。
そしてこの仕入れた商品全てが売れ残ったとします。 この場合、仕訳上、帳簿には仕入れ時に勘定科目「仕入」として10円、20円、30円を仕分けし、仕入れ合計60円となっていると思います。
しかし、最終仕入原価法を採用した場合、同じ商品を最後に仕入れた単価で計算することになり、棚卸時に90円(30円×3回仕入れたことになる)となり、実際仕入れに使用した金額が60円であるのに棚卸時に90円と資産(商品)が+30円増えることになります。また、逆に30円→20円→10円の順に仕入れた場合、これが逆に実際仕入金額60円に対して棚卸時の売れ残り商品の資産評価額は30円となり、実際に仕入れた金額より-30円となります。
つまり、最終仕入原価法を使用した場合、
最後に仕入れた金額が実際の金額より高いと棚卸時に資産が増えてしまい逆に最後に仕入れた金額が低いと棚卸時に資産が減る計算になってしまいます。
このあたりがよくわからず解説していただきたく思います。
仕入単価ごとに計算すべきで無い理由も教えて頂けたら幸いです。
最終仕入原価法の概要
最終仕入原価法は、期末に最も近い時期に仕入れた単価を、期末棚卸資産の評価額を計算するために用いる方法です。ご指摘の通り、仕入れた時期によって評価額が変動するという特徴があります。
ご質問のケースにおける評価
ご質問のケースでは、商品Aを10円、20円、30円で各1つずつ仕入れ、すべて売れ残ったとのことです。
30円が最終仕入の場合: 期末棚卸資産の評価額は30円 x 3個 = 90円となります。
10円が最終仕入の場合: 期末棚卸資産の評価額は10円 x 3個 = 30円となります。
疑問点について
ご質問にあるように、最終仕入原価法では、最終仕入単価が実際よりも高い場合は評価額が上がり、低い場合は評価額が下がるという現象が起こります。これは、最終仕入原価法の本質的な特徴です。
仕入単価ごとに計算すべきでない理由
最終仕入原価法は、事務処理の簡便化を目的として認められている評価方法です。もし仕入単価ごとに計算すると、先入先出法や総平均法などの他の評価方法と手間が変わらなくなり、最終仕入原価法を採用するメリットが薄れてしまいます。
会計処理の全体像
最終仕入原価法を採用した場合、期末棚卸資産の評価額と実際の仕入金額との差額は、売上原価に反映されます。
最終仕入単価が高い場合: 売上原価が小さくなり、利益が大きくなります。
最終仕入単価が低い場合: 売上原価が大きくなり、利益が小さくなります。
最終仕入原価法は、あくまで期末棚卸資産の評価方法の一つであり、企業の会計処理全体の中で、損益計算に影響を与える要素として捉える必要があります。
最終仕入原価法の選択
最終仕入原価法は、税法上も認められている評価方法ですが、継続適用が原則です。一度採用した評価方法は、正当な理由がない限り変更できません。 どの評価方法を選択するかは、企業の状況や事務処理の効率などを考慮して慎重に判断する必要があります。
補足
最終仕入原価法は、物価変動が激しい場合には、損益が歪められる可能性があるというデメリットがあります。
- 回答日:2025/04/28
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