海外在住役員の経費精算について
質問よろしくお願いいたします。
海外在住、役員の現地での経費精算について教えてください。
現地で使った金額(ドル)で提出してもらい、後日、海外送金で同額をお支払いするという流れになっています。月によっては日本往来の飛行機代など発生し、100万ほどになる事もあると思いますが、法的及び税務的な問題はありませんか?役員報酬以外の送金での取り決めは特にしておりません。よろしくお願いいたします。
1. 税務上の問題点
役員報酬との区分: 経費精算として認められるためには、実費弁償であることが大前提です。役員報酬と経費の区分が曖昧な場合、税務署から役員報酬と認定され、源泉所得税の課税対象となる可能性があります。
経費精算の範囲を明確に定める必要があります。一般的に、業務遂行上必要と認められる交通費、宿泊費、通信費などが該当します。
個人的な支出や、社会通念上不相当に高額な支出は、経費として認められません。
海外源泉所得税: 海外在住の役員への給与(役員報酬)は、原則として日本で源泉徴収が必要です。しかし、租税条約により、源泉徴収が免除または軽減される場合があります。
経費精算が役員報酬とみなされた場合、海外源泉所得税が発生する可能性があります。
移転価格税制: 親会社(日本法人)と海外子会社(または海外在住役員)との間で行われる取引(今回は経費精算)が、独立企業間価格(第三者間で取引される価格)で行われているかどうかを検討する必要があります。
経費精算が独立企業間価格から逸脱している場合、税務署から課税を受ける可能性があります。
消費税: 日本国内における課税仕入れに該当するかどうかを検討する必要があります。
海外での経費が、国内での事業に関連する場合、消費税の仕入税額控除の対象となる可能性があります。ただし、インボイスの保存要件を満たす必要があります。
2. 法務上の問題点
会社法: 会社法上、役員に対する報酬は、株主総会で決定する必要があります(会社法第361条)。
経費精算が実質的に役員報酬とみなされる場合、株主総会での決議が必要となる可能性があります。
外為法: 海外送金が100万円を超える場合、銀行を経由して税務署に報告される可能性があります。
特に問題はありませんが、税務署から資金使途について確認される可能性があります。
経費精算に関する社内規程を明確化し、不正な使用を防止する必要があります。
3. 実務上の留意点
経費精算規程の整備: 経費精算の範囲、精算方法、証拠書類の提出などについて、明確な社内規程を定める必要があります。
証拠書類の保存: 経費精算の証拠となる領収書、請求書、航空券などを適切に保存する必要があります。
為替レートの適用: 外貨で支払われた経費を円換算する場合、合理的な為替レート(例えば、精算日または送金日の為替レート)を適用する必要があります。
- 回答日:2025/04/28
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