稼働休止資産の経理処理について
製品の販売を一時停止(2〜3年)する必要があり、それに伴って現在使用中の機械装置も稼働休止することとなりました。
このような場合における稼働休止資産(機械装置)の減価償却費は、停止期間中に会計・税務上、費用・損金算入しなくても問題ないでしょうか
そもそも会計上の減価償却費の計上については具体的な規定はなく、企業会計原則では「資産の取得原価は、資産の種類に応じた費用配分の原則によって、各事業年度に配分しなければならない。有形固定資産は、当該資産の耐用期間にわたり、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分し、無形固定資産は、当該資産の有効期間にわたり、一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分しなければならない。以下省略」というような書き方になっていて、この解釈として1年以上使用することとなる固定資産は各期に配分する作業が必要になり、これを減価償却と呼んでいます。
つまり極端な話、会計上は減価償却費をいくら計上するか決まっておらず、償却しないこともできますが、税務上は税金の額に差が出てしまうため法人税法に規定されたルールに則って計算しますので税務調整を行うことなります。
このことから監査・保証実務委員会実務指針第81号で、会計上の減価償却費は法人税法上の減価償却費で計上しても不合理がない場合はこれを認めるとしています。
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://jicpa.or.jp/specialized_field/files/2-8-81-2-20120216.pdf
- 回答日:2025/05/16
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失礼いたしました。ご質問内容を勘違いしておりました。
遊休資産については、法人税法上は原則損金算入せず、一定の要件を満たすとき(必要な維持補修が行われており、いつでも稼動できる状態にあるもの)は償却可能ということですので、償却をしなくても問題ありません。
会計上は遊休資産であっても原則的には償却(営業外費用)する必要があり、減損の事実(収益性が低下していて、将来的な回収が見込めない場合など)がある場合は減損損失を計上しますが、中小企業の実務上は法人税法に準ずる場合が多いですので法人や利害関係者の規模によってというところでしょうか。
- 回答日:2025/05/15
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詳しく教えていただきありがとうございます。
会計上、原則償却が必要とのことですが、例外もあるのでしょうか。度々の質問で申し訳ございませんがよろしくお願いします。
投稿日:2025/05/16
>稼働休止資産(機械装置)の減価償却費は、停止期間中に会計・税務上、費用・損金算入しなくても問題ないでしょうか
→稼働休止資産(いわゆる遊休資産)についても、その休止期間中に必要な維持補修が行われており、いつでも稼動できる状態にあるものは、減価償却資産に該当するものとして償却することができます。
法人税法基本通達7-1-3
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5400-2_qa.htm
ご質問の状況の場合ですと2〜3年にわたり製造を停止するとのことですが、製造再開の可能性があり、上記に該当する場合は会計上、税務上においても費用計上、損金算入可能と考えます。
また遊休資産についての会計上の減損と税法上の評価損は異なりますのでご留意ください。
会計上の減損とは資産の収益性が低下している場合など、将来的な回収が見込めない場合に利害関係者に対して適正な簿価を開示するために計上するものです。
一方税法上の評価損は適正公平な課税の観点から、評価損を計上できる場合について規定されており、例えばその資産が1年以上にわたり遊休状態にあることなどにより、その固定資産の価額が帳簿価額を下回ることとなった場合等について評価損を損金算入できることとされています。
法人税法施行令六十八条三を参照ください。
https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000097#Mp-Pa_2-Ch_1-Se_1-Ss_2-Di_8-At_67
- 回答日:2025/05/15
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回答ありがとうございます。
費用計上、損金計上可能ということですが、会計・税務ともに償却しなくても問題ないということでしょうか。
よろしくお願いします。投稿日:2025/05/15
うかは、会計処理と税務処理で取り扱いが異なります。
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【1. 会計上の取り扱い】
会計上は、使用を中止しても事業の用に供される見込みがある限り、減価償却を継続するのが原則です(企業会計原則注解等より)。
ただし、以下のようなケースでは減価償却を中止することも検討されます:
• 長期(数年単位)にわたり、明確に稼働予定がなく、遊休状態が確定している
• 廃棄・売却などを予定しており、回収可能性が著しく低下している
• 会計方針として明確に「遊休資産の償却を行わない」旨を定めている
したがって、会計上は中止も可能だが、合理的な理由と方針の明示が必要です。
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【2. 税務上の取り扱い】
税務上(法人税法)では、以下の通りです:
• 減価償却資産が「事業の用に供されていない場合」には、償却費を損金算入できない(法人税法施行令第54条)
• したがって、稼働を停止し、明確に「事業の用に供していない」状態である場合、税務上は償却費を計上しないのが原則
→ つまり、税務上は稼働停止中の資産の償却費を損金にしないのが正しい処理です。
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【結論】
• 税務上:減価償却費は停止中は損金不算入(計上しない)。
• 会計上:状況に応じて継続償却または停止の判断が必要。償却を止める場合は、合理的な理由と方針が必要。
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【実務対応】
1. 稼働停止の期間や理由、今後の使用予定などを文書で明確に残す
2. 税務上は償却を停止し、会計上も償却停止とする場合は注記を検討
3. 将来再稼働した際には、再び償却を再開(その旨記録)
- 回答日:2025/05/16
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ご回答ありがとうございます。
会計上の取り扱いで「企業会計原則注解等より」とのことですが、具体的にはどの部分になるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。投稿日:2025/05/16