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個人事業主 代表者変更の手続きについて

    現在使用している屋号はそのままで、第三者へ事業継承をする場合、
    どのような手続きが必要でしょうか?

    後藤隆一税理士・公認会計士事務所

    後藤隆一税理士・公認会計士事務所

    • 認定アドバイザー評価ランク1
    • 愛知県

    税理士(登録番号: 136817), 公認会計士(登録番号: 29085)

    個人事業主の事業を第三者へ承継し、屋号をそのまま使用する場合の手続きは、法人間のような代表者変更という概念ではなく、実質的には「現在の事業主の廃業」と「新しい事業主の開業」、そして「事業用資産の譲渡」という形になります。

    以下に主な手続きのステップと注意点をまとめました。

    1. 事業譲渡契約の締結

    譲渡人(現在の事業主)と譲受人(新しい事業主)の間で事業譲渡契約を締結します。
    ・譲渡する資産(商品、設備、不動産、営業権(のれん)など)の範囲と評価額
    ・引き継ぐ負債の範囲(もしあれば)
    ・譲渡日
    ・屋号の継続使用に関する合意
    ・従業員がいる場合の雇用継続について
    ・その他、競業避止義務など

    2. 許認可の確認と再取得

    事業を行うにあたって許認可が必要な業種(例:飲食店営業許可、建設業許可など)の場合、原則として譲受人が新たに許認可を取得する必要があります。
    許認可によっては、名義変更が可能な場合もありますが、管轄の行政庁に事前に確認が必要です。
    屋号を継続使用する場合でも、許認可の名義は新しい事業主になります。

    3. 税務署への手続き
    譲渡人(現在の事業主)が行う手続き
    個人事業の廃業届出書: 事業を廃止した日から1ヶ月以内に管轄の税務署へ提出します。
    所得税の青色申告の取りやめ届出書: 青色申告をしていた場合、廃業する年の翌年3月15日までに提出します。
    給与支払事務所等の廃止届出書: 従業員に給与を支払っていた場合に提出します。
    消費税の事業廃止届出書: 消費税の課税事業者であった場合に提出します。
    事業譲渡に関する確定申告: 事業所得の申告に加え、事業用資産の譲渡益があれば譲渡所得として申告が必要です。
    譲受人(新しい事業主)が行う手続き
    個人事業の開業・廃業等届出書: 事業を開始した日から1ヶ月以内に管轄の税務署へ提出します。この際、屋号はそのまま使用する屋号を記載します。
    所得税の青色申告承認申請書: 青色申告を希望する場合、開業日から2ヶ月以内(またはその年の3月15日まで)に提出します。
    給与支払事務所等の開設届出書: 従業員を雇用し給与を支払う場合に提出します。
    消費税の課税事業者選択届出書: 必要に応じて提出します。免税事業者であっても、インボイス発行事業者になるためには登録申請が必要です。
    4. 都道府県税事務所・市町村役場への手続き

    譲渡人(現在の事業主)が行う手続き
    事業廃止申告書(名称は自治体により異なる場合があります)
    譲受人(新しい事業主)が行う手続き
    事業開始申告書(名称は自治体により異なる場合があります)
    5. 社会保険・労働保険の手続き(従業員を雇用している場合)

    譲渡人(現在の事業主)が行う手続き
    労働保険(労災保険・雇用保険)の適用事業所廃止の手続き
    社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用事業所全喪届の手続き
    譲受人(新しい事業主)が行う手続き
    新たに労働保険の加入手続き
    新たに社会保険の加入手続き(常時5人以上の従業員を使用する場合など、加入義務がある場合)
    従業員の雇用を継続する場合、譲受人は従業員と改めて雇用契約を結ぶことになります。
    6. その他の手続き

    金融機関:
    譲渡人は事業用口座を解約または名義変更(個人の場合は通常解約し、譲受人が新規開設)。
    譲受人は屋号付きの事業用口座を新規開設。
    取引先への通知: 事業承継があった旨、代表者変更、振込先口座の変更などを通知します。
    賃貸借契約の名義変更: 事業所や店舗を賃借している場合、賃貸借契約の名義変更が必要です。家主の承諾が必要となる場合があります。
    リース契約等の名義変更: 事業で使用している機器などのリース契約も名義変更手続きが必要です。
    電話番号、ウェブサイト、メールアドレスなど: 必要に応じて名義変更や契約変更の手続きを行います。屋号を継続する場合でも、契約者名義は新しい事業主に変更する必要があります。
    屋号をそのまま使用する際の注意点

    法的な権利: 個人事業の屋号は、法人名(商号)のように法務局への登記が義務付けられておらず、独占的な権利は限定的です。しかし、不正競争防止法により、一定の条件下では保護される場合があります。
    譲渡契約での明記: 屋号の継続使用については、事業譲渡契約書に明記しておくことが重要です。
    混乱の防止: 取引先や顧客に誤解を与えないよう、代表者が変更になった旨を明確に周知することが大切です。

    • 回答日:2025/05/29
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    スタートアップ支援 Gemstone税理士法人

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    • 認定アドバイザー評価ランク5
    • 東京都

    税理士(登録番号: 3600), 公認会計士(登録番号: 16735)

    個人事業主は法人と異なり「代表者変更」はできません。第三者への事業継承には、元の事業主が廃業届を提出し、承継者が新たに開業届を提出する必要があります。屋号の継続使用は可能ですが、税務署や取引先に混乱が生じないよう、名義変更や契約の引継ぎに関する調整も重要です。また、必要に応じて許認可の再取得も検討しましょう。

    • 回答日:2025/05/29
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