海外在住から、帰国して住民票を入れた場合の海外所得への課税について
外国人の夫と海外に在住しています。親の介護のために日本に頻繁に帰国する可能性があるのですが、住民票を入れた場合、海外所得に課税されると聞きました。①日本滞在が年間180日未満でも住民票があると海外所得に課税されますか。②課税される海外所得の対象には、海外の年金や保険金の支払いも含まれますか。④保険金や年金は、払い込まれる全額が対象になりますか?キャピタルゲイン部分だけですか?海外で給与所得に対して納税をしていて、その残りで保険の掛け金を支払ってきています。キャピタルゲイン部分に課税されるのであればわかるのですが、全額に課税されるのは道理に合わないと感じています。⑤海外で納税していて、その国が二重課税控除の協定相手国でも日本で課税されますか。⑥また、課税とは少し違いますが、12月31日時点での海外資産が5000万円以上の場合、国外財産調書を提出と聞きました。調書の対象には、海外の年金や保険も含まれますか。
1. 住民票と海外所得への課税
原則: 日本の所得税法では、居住者に対して国内外の全ての所得に対して課税します。居住者とは、日本国内に住所を有するか、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人を指します(所得税法第2条1項3号)。
住所の定義: 住所は、生活の本拠がある場所を指します。生活の本拠がどこにあるかは、客観的な事実に基づいて判断されます。
180日未満の滞在: 日本の滞在期間が年間180日未満であっても、生活の本拠が日本にあると判断される場合(例えば、家族が日本に住んでいる、日本の銀行口座を頻繁に利用しているなど)、居住者とみなされ、海外所得も課税対象となる可能性があります。
住民票: 住民票があることは、居住者であることの重要な要素の一つですが、それだけで判断されるわけではありません。総合的に判断されます。
2. 課税対象となる海外所得
原則: 居住者と判断された場合、海外源泉所得も日本の所得税の課税対象となります。
対象となる所得:
海外の年金:原則として課税対象です(所得税法第35条)。
海外の保険金:保険の種類や支払い事由によって課税対象となるかどうかが異なります。満期保険金や解約返戻金は、一時所得として課税対象となる可能性があります(所得税法第34条)。死亡保険金は相続税の対象となる可能性があります。
3. 保険金や年金の課税対象額
年金: 年金として受け取る金額から、年金の原資となる払い込み金額(保険料など)を差し引いた金額が課税対象となります。
保険金:
一時所得となる場合:満期保険金や解約返戻金は、受け取った金額から払い込んだ保険料を差し引いた金額が一時所得となり、さらに一時所得の金額の1/2が課税対象となります(所得税法第34条)。
死亡保険金:死亡保険金は相続税の対象となり、相続税法に基づいて計算されます。
4. 二重課税の調整
外国税額控除: 海外で所得税を納めている場合、外国税額控除という制度を利用することで、日本での二重課税を調整することができます(所得税法第95条)。
租税条約: 日本と相手国との間に租税条約がある場合、租税条約の内容が優先されます。租税条約には、二重課税を排除するための規定が設けられている場合があります。
5. 12月31日時点での海外資産と国外財産調書
国外財産調書: その年の12月31日において、国外財産の価額の合計額が5,000万円を超える居住者は、翌年の3月15日までに国外財産調書を税務署に提出する必要があります(所得税法第229条)。
対象となる財産:
海外の預金、有価証券、不動産などが対象となります。
海外の年金や保険も、解約返戻金相当額や年金の評価額が5,000万円を超える場合は、国外財産調書の対象となります。
- 回答日:2025/04/28
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