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期末の役員報酬の未払計上

    3月期末の法人です。定期同額給与を利用し、役員報酬を払っています。
    資金繰りの影響で3月の役員報酬を払うことが難しい想定です。

    ①役員が役員借入金として資金を法人に貸付、そこから役員報酬を支払う。資金に余裕が出てきた際に役員へ返済する
    ②役員報酬を未払いのまま、役員借入金(or未払金)として勘定をし、資金に余裕ができた際に役員報酬を支払う

    どちらも可能な方法なのでしょうか。
    ①の返済・②の支払は早くとも期をまたいだ4月になる予定です。


    丁寧・安心・誠実がモットー、池袋から25分、埼玉県ふじみ野市の”ふじみよし会計事務所”が、心をこめてご回答いたします。

    ---

    ■ **定期同額給与の未払いに関する取扱いについて**

    法人が資金繰りの都合で3月の役員報酬を支払えない場合、①と②のどちらの方法も考えられますが、適切な処理を行わないと税務リスクが生じる可能性があります。

    ---

    ### **① 役員が法人に貸付を行い、その資金で役員報酬を支払う方法**

    **処理の流れ**
    1. 役員が法人に資金を貸し付ける(借入金計上)
     借方:普通預金/○○○○○○
     貸方:役員借入金/○○○○○○

    2. その資金を使い、役員報酬を支払う(通常の役員報酬支払い処理)
     借方:役員報酬/○○○○○○
     貸方:普通預金/○○○○○○

    3. 資金に余裕ができたら、法人が役員借入金を返済する
     借方:役員借入金/○○○○○○
     貸方:普通預金/○○○○○○

    **この方法のポイント**
    ✓ **役員報酬を期内に適切に計上・支払うことができるため、定期同額給与の要件を満たす**
    ✓ 資金繰りを回す手段として合理的
    ✓ 役員貸付金の処理が適切であれば税務リスクは低い

    **注意点**
    ✓ 役員借入金に対する利息を適正に設定する必要がある(法人税法上、無利息貸付は問題になる可能性あり)
    ✓ 法人が赤字の場合、貸付金を返済する際に資金繰りがさらに厳しくなる可能性がある

    ---

    ### **② 役員報酬を未払いとして計上し、資金に余裕ができた際に支払う方法**

    **処理の流れ**
    1. 3月末時点で役員報酬の未払い処理を行う
     借方:役員報酬/○○○○○○
     貸方:未払金(または役員借入金)/○○○○○○

    2. 4月以降に資金に余裕ができたら支払う
     借方:未払金(または役員借入金)/○○○○○○
     貸方:普通預金/○○○○○○

    **この方法のポイント**
    ✓ **未払計上すれば、法人の決算書に正しく計上できる**
    ✓ **法人税法上、役員報酬の「実際の支給時期」に関する制限がないため、理論上は可能**

    **注意点**
    ✓ **定期同額給与の原則として「支払がない場合には損金算入できない」ため、税務リスクがある**
     → **特に、役員報酬が一度でも未払いになり、翌期に支払うことで定期同額給与の「同額性」が崩れる可能性がある**
    ✓ 税務調査で「支払いの実態がない」と判断されると、役員報酬として損金不算入になるリスク

    ---

    ■ **結論(どちらが適切か?)**

    結論として、 **①の方法が安全** です。

    理由として、 **役員報酬の「実際の支払い」が確実に行われるため、定期同額給与の要件を満たし、税務リスクを避けることができる** ためです。

    ②の方法は理論上は可能ですが、税務調査の際に「未払いが繰り越されることで、定期同額給与のルールを逸脱している」と指摘される可能性があるため、避けた方が無難です。

    特に、定期同額給与は「**支払いが行われたことが前提**」となるため、未払いで計上する方法は法人税法上のリスクを伴います。

    したがって、 **役員が法人に貸し付け、その資金で役員報酬を支払い、後日役員貸付金を返済する形を取るのが最も安全な選択肢** です。

    • 回答日:2025/01/29
    • この回答が役にたった:1
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    ①のご認識について、少し相違があるように思いますね。

    まず①②のいずれの場合も、次の仕訳を計上することになります。

    役員報酬 ✖✖/ 役員借入金 ✖✖

    そのうえで①について分解して説明します。

    ①役員が役員借入金として資金を法人に貸付、

    現預金 ✖✖ / 役員借入金 ✖✖

    そこから役員報酬を支払う。

    役員借入金 ✖✖ / 現金 ✖✖

    ※上記の2つの仕訳は結局相殺されることになります。

    資金に余裕が出てきた際に役員へ返済する

    役員借入金 ✖✖ / 現金 ✖✖

    よって、 ①も②と同じ処理になります。

    その他の経費についても同様の処理のご認識で問題ございません。

    ※その経費が発生したタイミングで「役員借入金(未払金)」を計上することになります。

    よろしくお願いいたします。

    • 回答日:2025/01/27
    • この回答が役にたった:1
    • ご丁寧にありがとうございます。

      ①役員が役員借入金として資金を法人に貸付、
      現預金 ✖✖ / 役員借入金 ✖✖
      そこから役員報酬を支払う。
      ※役員報酬 ✖✖ / 現金 ✖✖
      資金に余裕が出てきた際に役員へ返済する
      役員借入金 ✖✖ / 現金 ✖✖
      と処理すればよいのかと思っていました。
      こちらではよくないということですね。
      ありがとうございました。

      投稿日:2025/01/27

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    役員報酬の月額は、事業年度開始から3ヶ月以内でなければ変更することができません。つまり資金繰りが厳しくても、3月の役員報酬は法人側で計上することになります。

    ②の方法にてご対応いただければと思います。

    ※①の場合も、お金の動きは発生しますが、実質的に②と同様に法人側では、「役員借入金(or未払金)」として計上することになります。

    • 回答日:2025/01/27
    • この回答が役にたった:1
    • ご回答ありがとうございます。
      ①の場合だと、役員からの入金時に現預金/役員借入金として処理をし、現預金から役員報酬を支払うので、法人側で計上するという認識でよいでしょうか?

      また、これは役員報酬ではなく支払いを猶予してもらっているその他の経費も未払金として処理をして年度をまたいで支払いをしても問題ないのでしょうか。
      ex:消耗品 ××/未払金 ××
      翌期支払時に未払金 ××/現預金 ××

      加えての質問になり恐縮ですが、よろしくお願いします

      投稿日:2025/01/27

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