代表取締役1名法人における健康診断費用の経費化手続きと事後精算の可否
当社は代表取締役1名の法人です。毎年実施している健康診断費用を法人の経費として処理したく、以下の点についてご教示ください。
1. 経費化に必要な書類・手続き
- 健康診断実施機関から受領すべき書類(領収書、受診証明書など)は何か
2. 事後精算の可否(既に個人で支払済の場合)
- 既に代表者個人で支払った健康診断費用を法人に請求・精算する方法
- 法人会計上の仕訳例と注意点
その他留意事項等あればそれもご教示いただきたいです。宜しくお願い致します。
1. 健康診断費用の経費化について
法人が役員(代表取締役)の健康診断費用を負担した場合、一定の要件を満たすことで経費(福利厚生費)として処理できます。ただし、人間ドックなど健康維持・増進を目的とするものは、原則として給与として扱われます。
経費として認められる健康診断
労働安全衛生法に基づく定期健康診断
予防接種
特定の条件を満たす人間ドック・生活習慣病予防検診(下記参照)
給与として扱われる健康診断
上記以外の人間ドック・生活習慣病予防検診
個人的な希望によるオプション検査
2. 経費化に必要な書類・手続き
以下の書類を保管し、経費処理の根拠とします。
領収書: 健康診断実施機関が発行した領収書(宛名は法人名であること)
健康診断結果: 健康診断の結果
事業主が費用を負担したことを示す書類: 請求書や領収書に法人名が記載されていること、または、医療機関への支払いを法人口座から行っていること
3. 事後精算の可否(既に個人で支払済の場合)
代表者個人が立替払いした健康診断費用を、後日法人から精算することは可能です。この場合、以下の手続きを行います。
立替金の証明: 領収書(原本)に、代表者個人の氏名が記載されていることを確認します。
精算書: 代表者が法人宛に精算書を作成します。精算書には、日付、健康診断を受けた人の氏名、健康診断の内容、金額、立替払いした旨を記載します。
法人からの支払い: 法人口座から代表者個人口座へ、精算金額を振り込みます。
4. 法人会計上の仕訳例
(1) 経費となる健康診断の場合
健康診断実施時
借方 金額 貸方 金額
福利厚生費 ○○○円 現金預金 ○○○円
個人立替分を精算する場合
借方 金額 貸方 金額
福利厚生費 ○○○円 未払金 ○○○円
未払金 ○○○円 現金預金 ○○○円
(2) 給与となる健康診断の場合
健康診断実施時
借方 金額 貸方 金額
役員報酬 ○○○円 現金預金 ○○○円
個人立替分を精算する場合
借方 金額 貸方 金額
役員報酬 ○○○円 未払金 ○○○円
未払金 ○○○円 現金預金 ○○○円
5. 人間ドック・生活習慣病予防検診の経費算入要件
人間ドックや生活習慣病予防検診の費用は、下記の要件をすべて満たす場合に限り、福利厚生費として経費算入が認められます。
受診者全員が対象: 役員だけでなく、従業員全員(または一定年齢以上の従業員など)を対象としていること。
福利厚生としての実施: 会社が費用を負担し、福利厚生の一環として実施していること。
再検査費用の負担: 健康診断の結果、異常が見つかった従業員の再検査費用も会社が負担すること。
医療機関への直接支払い: 会社が医療機関へ直接費用を支払うこと。
- 回答日:2025/04/28
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