個人事業主が既存事業を廃止し新規事業を開始するときの決算処理
【前提】
現在個人事業主としてコンサル事業を行い事業所得を得ています。年内に新規の事業を開始する予定なのですが、既存事業は売上が減少し今後事業として継続していくつもりがないため、これを機に廃業しようと思っています。
既存事業では、青色申告決算書において、生活用途と事業用途がごっちゃになっている預金口座を使用してしまっているため、今後はこの預金口座はこれを機に生活用途のみにし、新規事業には事業専用の口座を新たに用意しそれを使用したいと思っています。
そこで以下質問です
【質問】
①廃業届を提出し廃業に係る決算処理や申告を行うべきなのでしょうか?この場合、廃業処理をした後またすぐに新規事業の開業に係る青色申告の申請などの処理をすることになるのでしょうか?
②廃業届の提出とそれに係る手続きを行う必要がない場合、既存の預金口座の使用をやめることだけしたいのですが、
事業主貸 XX / 既存預金口座 XX
の仕訳を切ってオフバランスするシンプルな処理だけでよいのでしょうか?
1. 振込も現金の受け取りもない場合、専従者給与は「支払った」と認められないのでしょうか?
原則として、専従者給与は実際に支払われた場合にのみ必要経費として認められます。 振込記録や領収書など、実際に支払われたことを証明する客観的な証拠が必要です。 ご質問のケースでは、振込や現金の受け取りがないとのことですので、税務調査等で「支払った」と認められない可能性が高いです。
ただし、以下の2点を考慮する必要があります。
所得税の源泉徴収: 帳簿に所得税の源泉徴収の記載があるとのことですが、実際に税務署へ納付されているかどうかをご確認ください。 納付されている場合、専従者給与が支払われたという間接的な証拠になる可能性があります。
税務署への相談: 状況を税務署に相談し、具体的な証拠がなくても専従者給与として認められる可能性がないか確認することをおすすめします。
2. 専従者と副業の両立は可能だったのか?
青色事業専従者として認められるためには、以下の要件を満たす必要があります(所得税法第57条、所得税法施行令第165条)。
年齢が15歳以上であること
その事業に専ら従事していること
生計を一にしていること
このうち「専ら従事していること」という要件が問題になります。 専従者として認められるためには、原則として、他の仕事(副業)をしていないことが必要です。
ただし、以下の場合は例外的に専従者と副業の両立が認められる可能性があります。
副業が事業に従事する時間や労力からみて、事業に従事が著しく阻害されないと認められる場合: 例えば、副業が短時間労働である場合や、繁忙期以外に行う場合などが考えられます。
副業が家事や育児など、事業を手伝う上で支障とならない範囲で行われる場合:
ご質問のケースでは、2024年12月から2025年5月まで整体師として業務委託契約で副業をされていたとのことですので、その業務内容や時間によっては、「専ら従事している」とは認められず、専従者給与が否認される可能性がありました。義母様の「専従者給与は落とせなくなる」という発言は、この点を考慮したものと考えられます。
3. 今後、独立するための準備や申告していく場合の注意点
今後の注意点として、以下の点が挙げられます。
資金管理の明確化: ご夫婦で資金管理を行い、事業用と生活費を明確に区分してください。 事業用の口座を開設し、事業に関する収入と支出はすべてその口座を通して行うようにしましょう。
帳簿の作成と保存: 日々の取引を帳簿に記録し、領収書や請求書などの証拠書類とともに保存してください。 帳簿は、確定申告の際に必要となるだけでなく、経営状況を把握するためにも重要です。
税理士への相談: 独立後の税務・会計処理について、税理士に相談することをおすすめします。 税務に関する専門家のアドバイスを受けることで、税務リスクを回避し、適正な申告を行うことができます。
青色申告の承認申請: 所得税の確定申告は、白色申告と青色申告の2種類があります。 青色申告を選択することで、様々な税制上の優遇措置を受けることができます。 青色申告を行うためには、事前に税務署へ「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
開業届の提出: 新たに事業を開始した場合は、税務署へ「開業届」を提出する必要があります。
- 回答日:2025/05/13
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① 廃業届の提出と廃業に係る決算処理について
既存のコンサル事業を廃止し、新たに別の事業を開始する場合、原則として廃業届を提出し、廃業に伴う決算処理と申告を行う必要があります。
廃業届の提出: 所得税法上、事業を廃止した場合は、原則として廃業日から1か月以内に税務署に「廃業届」を提出する必要があります。
廃業に伴う決算: 廃業日までの期間について、通常の確定申告と同様に、事業所得を計算し確定申告を行う必要があります。青色申告の場合は、青色申告決算書を作成します。
新規事業の開業: 新規事業を開始する際は、新たに「開業届」を税務署に提出する必要があります。青色申告を希望する場合は、青色申告の承認申請書も提出する必要があります。
廃業届を提出しない場合
廃業届を提出しない場合、税務署は事業が継続しているとみなす可能性があります。これにより、実際には事業を行っていないにも関わらず、確定申告の義務が生じるなどの不都合が生じる可能性があります。
② 既存の預金口座の処理について
事業用と生活用が混在している預金口座の取り扱いについては、以下の点に注意が必要です。
事業主貸の仕訳: ご提案の通り、「事業主貸」の仕訳を切ってオフバランスすることは、会計処理上は妥当です。ただし、税務調査の際には、その金額の妥当性について説明を求められる可能性があります。
資金の移動: 既存の預金口座から新規事業用の口座へ資金を移動する場合は、その記録を明確に残しておくことが重要です。
生活用口座への移行: 既存の口座を完全に生活用口座に移行するのであれば、事業用の取引は一切行わないようにする必要があります。
- 回答日:2025/05/13
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