給与所得がある人の短期譲渡所得税計算方法
例えば給与所得が800万あり、給与と別の短期譲渡所得が100万円あったとします。短期譲渡所得は100万から50万が特別控除として引かれて50万。合計金額850万の所得。850万×23%=195万5千円が所得税と考えてよいでしょうか?また住民税はこの850万にそれぞれの市区町村の税率をかけて計算するのでしょうか?
■税金計算の全体像
税金は単純に所得に税率をかけるのではなく、複雑な計算手順があります。また、売却された資産の種類が不明なため、ここでは概要をご説明いたします。
■税金計算の6つのステップ
所得税や住民税は以下の6つのステップを経て計算がされます。
①各種所得の金額を計算する
②税率の区分ごとに分けて各種所得を合算する
③②からお客様の生活状況に応じた控除を差し引く
④「②-③」に税率をかける
⑤税額控除をする
⑥源泉所得税等を精算する
具体的な内容については以下の通り説明いたします。
■具体的な説明
①各種所得の金額を計算する
(ア)給与所得
給与収入 - 給与所得控除(概算の経費) = 給与所得
(イ)譲渡所得
売却した資産の種類によって計算方法が少し異なります。
(a) (b)以外の資産の場合
譲渡収入 - 資産の取得費 - 特別控除(最大50万円)= 譲渡所得
(b) 土地・建物・有価証券の場合
譲渡収入 - 資産の取得費 = 譲渡所得
※取得価格が不明な場合は、「譲渡収入×5%」を取得費として計算します
②各種所得を合算する
税率の区分ごとに分けて、①で計算した各種所得を合算します
給与所得と土地・建物・有価証券以外の譲渡所得は同じ区分です。
土地・建物・有価証券の譲渡所得は別の区分です。
③所得控除を差し引く
②の金額からお客様の生活状況に応じた控除を差し引きます。
(例)
●社会保険料やiDeCoの支払額
●生命保険料や地震保険料のうち一定額
●基礎控除(最大95万円、所得金額により変動)
④税率をかける
「②の所得金額 - ③の所得控除」の金額に税率をかけます。
給与所得など
所得税は超過累進税率、住民税は一律10%
土地・建物・有価証券の短期譲渡所得
所得税は15.315%、住民税は5%
⑤税額控除をする
住宅ローンなどがある場合には税額控除をします。
⑥源泉所得税等を精算する
すでに支払った税金と最終的な税額を比較し、不足分の納付または過大分の還付を受けます
■補足説明
正確な税額計算には、資産の種類、取得費、お客様の詳細な所得控除の状況など、多くの情報が必要です。概算ではなく正確な計算をご希望の場合は、必要書類をご準備の上、税理士にご相談ください。
- 回答日:2025/06/29
- この回答が役にたった:2
回答した税理士
税理士法人コンダクト・社会保険労務士法人コンダクト
- 認定アドバイザー
- 東京都
税理士(登録番号: 146389), 公認会計士(登録番号: 37781), 社労士(登録番号: 13210277)
回答者についてくわしく知る短期譲渡所得の税金計算
ポイントは、「短期譲渡所得」が何の売却益か、です。
1. 総合課税の譲渡所得の場合(生活に通常必要でない資産など)
* 譲渡益から最大50万円の特別控除を引いた額が、給与所得などと合算されます。
* 所得税計算:
* 給与所得額を計算: 給与収入800万円 - 給与所得控除195万円 = 605万円
* 譲渡所得額を計算: 譲渡益100万円 - 特別控除50万円 = 50万円
* 合計所得金額: 605万円 (給与) + 50万円 (譲渡) = 655万円
* この合計所得金額から、基礎控除(48万円)などの所得控除を差し引いた額に、所得税率(超過累進税率)を適用します。ご提示の「850万×23%」のような単純計算ではありません。
* 例:課税所得607万円の場合、所得税は約78.7万円(復興特別所得税除く)。
* 住民税計算:
* 所得税と同様に、合計所得金額655万円をベースに計算されます。
* 住民税の所得控除を差し引いた額に、均等割と所得割(一般的に10%)が課税されます。
2. 分離課税の譲渡所得の場合(株式や不動産など)
* 給与所得とは合算されず、別々に税金が計算されます。 50万円の特別控除は適用されません。
* 株式の売却益:
* 譲渡益100万円に対し、所得税15.315%(復興特別所得税含む)+住民税5% = 合計20.315% が課税されます(約20.3万円)。
* 給与所得800万円の税金は、給与所得のみで計算されます。
* 不動産の売却益(短期譲渡):
* 譲渡益100万円に対し、所得税30.63%(復興特別所得税含む)+住民税9% = 合計39.63% が課税されます(約39.6万円)。
まとめ
* 所得税額は、譲渡所得の種類と、他の所得との合算の有無で大きく変わります。
* ご自身の「短期譲渡所得」が何から生じたかによって、計算方法と税額が異なりますので、ご確認ください。
- 回答日:2025/06/26
- この回答が役にたった:1
回答した税理士
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- 認定アドバイザー
- 愛知県
税理士(登録番号: 100068), 社労士(登録番号: 13210457), 行政書士(登録番号: 16192456), 中小企業診断士(登録番号: 414204), その他
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