家賃無償での役員社宅の可否について
現在代表取締役所有の木造戸建を、法人に売却し役員社宅化(現金決済・所有権移転)します。
国税庁通達による賃料相当額は月額約10万円ですが、これを無償(若しくは1万円等)とした場合社宅として認められない等の問題はありますでしょうか。
代表者の所得税・住民税(月額10万円が給与として課税)、社会保険料(現物支給として対象)が増加することは理解しております。
ご見解をお聞かせ下さい。宜しくお願い致します。
役員社宅として無償または極端に低廉な賃料で提供することは、税務上いくつかの問題が生じる可能性があります。具体的には、以下のような考慮点があります。
1. 経済的利益の提供
国税庁の通達では、役員に提供される社宅の家賃が通常の賃貸相場よりも著しく低く設定されている場合、差額分が役員報酬と見なされる可能性があります。これは、現物給付としてその差額相当が役員の経済的利益となるためです。この場合、差額分が役員報酬として所得税および住民税の課税対象となるだけでなく、社会保険料の算定基準にも影響を与える可能性があります。
2. 法人税法上の取り扱い
法人が個人に対して無償または実勢よりも低額で社宅を提供することは、法人税法上では「寄附金」と見なされることがあります。法人の経費として計上できるかどうかが問題となり、寄附金として認識されると法人の経費として控除ができず、課税所得を増やす原因となります。
3. 税務調査時のリスク
税務調査の際に、適正な賃料設定がなされていないと指摘を受ける可能性があり、結果として過少申告加算税や延滞税が課されるリスクがあります。
このような税務リスクを回避するためには、提供する社宅の賃料を市場相場に見合った額に設定し、その額を基に役員報酬として適正に課税することが重要です。
- 回答日:2024/12/05
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ご丁寧に回答頂き、ありがとうございます。
大変よく分かりました。
無償とすることで税務上はメリットがあると思ったのですが、寄付金等と捉えられ否認を受けては元も子もありません。
ご教示頂いた内容を考慮し、検討致します。投稿日:2024/12/06
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