育休中の住宅購入と住宅ローン控除の最適化についてのご相談
このたび、長期優良住宅(新築)を6,700万円で購入予定です。
現在、頭金として1,000万円を入れるかどうかも検討中です。
夫婦の収入状況は以下の通りです:
・夫:年収約650万円(フルタイム勤務)
・妻(私):現在育休中(年収ゼロ)。復帰は2年後を予定しており、第二子出産の可能性もあるため、育休期間がさらに延びる可能性があります。
復帰後も約10年間は時短勤務となる予定で、年収300万円に届かない可能性もあります。
当初は夫婦でペアローンを予定していましたが、
育休・時短により私の課税所得が少なくなるため、住宅ローン控除を十分に受けきれず、トータルで損をするのではと懸念しています。
⸻
ご相談したいこと
1. 上記のような状況の場合、夫単独ローンの方が節税効果が高くなるのでしょうか?
2. 私(妻)もローンを組んで控除枠を使う意味はありますか?(将来的に所得が増えた場合を含めて)
3. 頭金として1,000万円を入れるかどうかで、住宅ローン控除や全体の節税額に違いはありますか?
⸻
住宅購入にあたって、控除を最大限に活かしたいと考えております。
ご助言をいただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
■結論
ご主人の単独ローンをおススメしますが、検討の余地はあります。
■理由と詳細説明
●住宅ローン控除の仕組み
住宅ローン控除は、次の①②のうち、いずれか少ない金額が税金から控除されます。
①控除対象借入額(最大5,000万円)×0.7%
②その年の所得税額+住民税額(住民税は上限97,500円)
●控除を最大限活用する工夫の可能性
控除対象借入額の上限が5,000万円のため、13年間の返済を考慮して5,000万円を超える部分は控除できません。
例えば毎月5万円を13年間返済する場合、借入時の残高が5,780万円あっても、13年後には5,000万円まで減少します。そのため、5,780万円を超える部分は永遠に控除対象になりません。
このように、もしご主人の所得税・住民税だけでは13年間で控除しきれない金額があれば、その分を控除できる可能性が残っている奥様に振り分けるという考え方はあります。
●頭金1,000万円の影響
頭金を入れると借入額が減少するため、控除額の計算に影響します。
■単独ローンを勧める理由
奥様もローンを組むことで、理論的には減税効果が増える可能性があります。
しかし、実際には以下の理由により、その恩恵は限定的です。リスクや負担も踏まえると、ご主人の単独ローンが最適かと考えます。
①奥様の所得状況
育休中は所得ゼロ、復帰後も年収300万円未満では控除効果が限定的です。
②返済負担の問題
奥様に返済義務が生じることで、所得が少ない状況下での経済的負担が発生します。
③贈与税リスク
建物の持分割合と資金負担割合が異なると、他人のお金で取得する部分が出てくるため、贈与税問題が生じる可能性があります。
例えば、奥様が建物の30%を所有するのに、実際の返済負担が10%しかない場合、差額部分について贈与税が課される可能性があります。贈与税が発生することで余分な税負担が生じる可能性があります。
④事務手続き
単独ローンの方が手続きが簡単です。
- 回答日:2025/07/06
- この回答が役にたった:2
回答した税理士
税理士法人コンダクト・社会保険労務士法人コンダクト
- 認定アドバイザー
- 東京都
税理士(登録番号: 146389), 公認会計士(登録番号: 37781), 社労士(登録番号: 13210277)
回答者についてくわしく知る育休中の住宅購入と住宅ローン控除の最適化
1. 夫単独ローンが有利
奥様が育休中で年収がない、あるいは復帰後に時短勤務で年収が低い期間は、夫単独で住宅ローンを組むのが最も節税効果が高くなります。
住宅ローン控除は、所得税から控除されるため、所得が少ないと控除を使い切れません。奥様の所得が低い期間に無理にペアローンを組んでも、控除の恩恵を十分に受けられない可能性が高いです。夫の年収であれば、控除枠を最大限に活用できるでしょう。
2. 妻がローンを組む意味は限定的(現時点)
現時点では、奥様がローンを組んで控除枠を使う意味はほとんどありません。将来的にフルタイム勤務に戻り、安定して高い所得が見込めるようになった場合は、その時点から控除の恩恵を受けられる可能性はありますが、控除期間(13年間)を有効活用できないリスクを考慮する必要があります。
例えば、育休や時短で所得が低い期間が続くと、その間の控除枠は実質的に無駄になり、控除期間が終わってしまうこともあり得ます。
3. 頭金1,000万円の影響
頭金を1,000万円入れると、借入額が減るため、住宅ローン控除の対象となるローン残高は減少します。これにより、控除額の総額は少なくなる可能性があります。
しかし、頭金を増やすことの最大のメリットは、総返済額(特に利息分)を大幅に減らせる点です。住宅ローン控除はあくまで利息負担の一部を軽減する制度であり、支払う利息自体を減らす効果はありません。手元の資金状況や将来のライフプラン、金利の変動リスクなどを総合的に考慮し、無理のない範囲で頭金を検討されることをお勧めします。
まとめとご提案
* 夫単独ローンを基本に検討されるのが、現状では最も節税効果が高いと考えられます。
* 奥様の将来的な所得増を見越して、あえてペアローンを組む選択肢もありますが、控除期間の有効活用という観点からは慎重な判断が必要です。
* 頭金の額は、総返済額の軽減効果と手元資金のバランスでご判断ください。
- 回答日:2025/06/30
- この回答が役にたった:1
回答した税理士
初回完全無料相談/Freee会計専門/山下会計事務所/他ソフトからの移行、全国対応可/まずはお問い合わせください
- 認定アドバイザー
- 愛知県
税理士(登録番号: 100068), 社労士(登録番号: 13210457), 行政書士(登録番号: 16192456), 中小企業診断士(登録番号: 414204), その他
回答者についてくわしく知る