1. 税理士TOP
  2. 税理士相談Q&A
  3. 経理・記帳・仕訳
  4. 個人事業主で厚生年金に入ることを目的に数年前に法人成り(合同会社)を作りました

個人事業主で厚生年金に入ることを目的に数年前に法人成り(合同会社)を作りました

    IT関係のコンサルを個人事業主でやっております。
    厚生年金に入ることを目的に数年前に法人成り(合同会社)をしました。
    仕事を合同会社で請けるように切り替えればよいのですが、
    引き続き個人事業主で請けております。
    したがって、合同会社としての収入は無く、役員借入金で給与を自分に支払っている形にしています。
    このまま継続すると、役員借入金がどんどん累積してしまいます。
    あと数年で仕事も辞めるつもりでいるので、その時点で解散を考えています。
    仕事を合同会社に切り替えて収入を計上しないとだめでしょうか、
    それとも、債務放棄?債務免除?の処理を毎年入れるとかの方法があるのでしょうか。
    最後の解散時に一気に放棄すると課税される?ということもあるのでしょうか。

    1. 仕事を合同会社に切り替えて収入を計上する
    これが最も健全かつ一般的な解決策です。
    メリット:
    * 役員借入金の問題解消: 合同会社に売上が計上されれば、その収入から役員報酬を支払うことができ、新たな役員借入金が発生するのを止められます。
    * 会社の存在意義の明確化: 厚生年金加入という目的だけでなく、事業の実態を伴う会社となります。
    * 融資などの機会: 将来的に事業を拡大するようなことがあれば、売上実績があることで金融機関からの評価も得やすくなります(現状は退職予定とのことなので、これはあまり関係ないかもしれません)。
    デメリット:
    * 契約の切り替え手続き: 既存のクライアントとの契約を、個人事業主から合同会社に切り替える手間が発生します。
    * 消費税の考慮: 個人事業主で免税事業者であった場合、合同会社として課税事業者になる可能性があります(売上規模による)。
    * 会計処理の手間: 個人事業主の会計と合同会社の会計の両方を管理する必要があります。
    検討事項:
    * あと数年で辞めるご予定とのことですので、この手間をかけてまで切り替えるメリットがあるか、契約先との関係性なども考慮して判断が必要です。
    * 契約を切り替える場合、現在の個人事業主としての売上は急激に減ることになります。
    2. 役員借入金の処理について
    仕事を合同会社に切り替えない場合、役員借入金が累積し続けることになります。その場合の処理方法と注意点です。
    (1) 債務放棄(債務免除益)
    仕組み:
    会社(合同会社)が役員(あなた)への借入金(役員借入金)を帳簿上、返済不要とすることを「債務放棄」といいます。会社から見ると、返済義務がなくなるため「債務免除益」という利益が発生します。
    税務上の注意点:
    * 法人税の課税: 合同会社にとって債務免除益は収益となるため、その金額に対して法人税が課税されます。
    * 役員への課税(みなし贈与): 原則として、会社が役員に対して債務放棄をした場合、役員はその債務免除額相当額の経済的利益を受けたとみなされ、給与所得(役員賞与)または贈与税の対象となる可能性があります。ただし、会社に返済能力がない(債務超過に陥っている)などの状況では、役員への課税が発生しないケースもあります。
    毎年債務放棄を入れることの是非:
    * 毎年債務放棄を入れることは可能です。しかし、毎年債務免除益に対して法人税が課税され、かつ役員への課税リスクも伴います。
    * 特に、会社に事業収入がない中で債務免除益を計上し続けると、税務署から不自然な取引とみなされる可能性もゼロではありません。
    (2) 解散時の一括処理
    仕組み:
    会社を解散する際に、累積した役員借入金を一括で債務放棄する(または返済不能として処理する)方法です。
    税務上の注意点:
    * 法人税の課税: 解散する事業年度において、債務免除益が発生し、その金額に対して法人税が課税されます。
    * 役員への課税(みなし贈与): 解散時でも、基本的に債務放棄は役員への経済的利益とみなされ、給与所得(役員賞与)または贈与税の対象となる可能性があります。
    「最後の解散時に一気に放棄すると課税される?」について:
    はい、上記の通り、法人(合同会社)側には債務免除益として法人税が課税され、あなた個人にも経済的利益として所得税(または贈与税)が課されるリスクがあります。
    最も懸念される点:
    合同会社に事業の実態がなく、厚生年金加入のためだけに設立された場合、税務調査が入った際に、役員借入金やその処理について厳しく見られる可能性があります。特に、実態のない会社に給与を支払い続け、それが役員借入金で賄われている状況は、税務署から「給与の支払いの実態がない」「会社設立の真の目的は租税回避ではないか」と疑われるリスクもゼロではありません。
    役員借入金以外の選択肢
    * 増資: あなたが合同会社に出資し、役員借入金を資本金に振り替える方法です。ただし、これもあなたがお金を追加で会社に入れることになりますし、資金使途がない中で増資する意味合いも薄いかもしれません。
    * 配当: 会社に利益があれば配当を出すことも可能ですが、現状は収入がないため不可能です。
    結論と今後の進め方
    現状を総合的に考えると、以下の選択肢が考えられます。
    * 最も推奨されるのは、仕事を合同会社に徐々に切り替えて、合同会社に収入を計上し、その収入から役員報酬を支払うことです。
    あと数年で仕事を辞めるご予定とのことですので、全ての仕事を切り替える必要はないかもしれませんが、一部でも切り替えて会社の収入源を確保することで、役員借入金の累積を止め、会社の健全性を保つことができます。

    • 回答日:2025/07/22
    • この回答が役にたった:2

    必須

    あと

    必須

    質問投稿者以外は返信できません。メールアドレスは質問者の確認のみに利⽤します。

    回答した税理士

    初回完全無料相談/Freee会計専門/山下会計事務所/他ソフトからの移行、全国対応可/まずはお問い合わせください

    初回完全無料相談/Freee会計専門/山下会計事務所/他ソフトからの移行、全国対応可/まずはお問い合わせください

    • 認定アドバイザー評価ランク3
    • 愛知県

    税理士(登録番号: 100068), 社労士(登録番号: 13210457), 行政書士(登録番号: 16192456), 中小企業診断士(登録番号: 414204), その他

    回答者についてくわしく知る

    仕事を合同会社に切り替えて収入を計上しないとだめでしょうか、
    →個人事業主の収入にすることは問題ありません。

    それとも、債務放棄?債務免除?の処理を毎年入れるとかの方法があるのでしょうか。
    最後の解散時に一気に放棄すると課税される?ということもあるのでしょうか。
    →毎年行うことは一般的にはあまり行われていません。
    通常、繰越欠損金があれば、それと債務免除益が相殺されるため、所得が発生することはありませんが、繰越欠損金の期限切れ部分については、留意されるとよろしいかと考えます。

    • 回答日:2025/07/23
    • この回答が役にたった:0

    必須

    あと

    必須

    質問投稿者以外は返信できません。メールアドレスは質問者の確認のみに利⽤します。

    回答した税理士

    質問への回答を投稿してください

    あと

    タグ指定・タグ変更

    タグのみ変更する場合は変更するタグを選択し、投稿内容は何も書かずに「投稿する」ボタンを押してください。

    freee