法人化に伴う固定資産の譲渡について
個人事業から法人化する際に、個人事業として所有していた固定資産を個人から法人へ売却という形で移行したのですが、その固定資産の価格を減価償却で残っていた金額でそのまま移行いたしましたが、金額として問題がないか心配です。問題点があればご指摘いただけると幸いです。
【固定資産明細】
建物改装費\2,200,000
工具器具備品\300,000
商品\500,000
付属設備\700,000
車両運搬具\1
合計\3,700,001
また、法人へと売却する際に固定資産の合計金額である\3,700,001を役員借入金として処理しましたが、こちらの帳簿の付け方も問題はありませんでしたでしょうか?
【全国対応・クラウド特化の総合事務所】熊澤会計事務所(熊澤社会保険労務士事務所)
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税理士(登録番号: 148259), 社労士(登録番号: 23020002), 行政書士(登録番号: 16190582)
こんにちは
熊澤会計事務所が回答させていただきます
ご質問のように、法人化(法人成り)では、個人事業者が法人に対して減価償却資産をいくらで譲渡したかという「時価」が問題になります。
減価償却資産と一口に言っても、土地や車両など、ネットなどで検索して、容易に時価が調べられるものから建物付属設備や器具備品など「時価の把握が困難なもの」まで様々なものが世の中にはあります。
そのため、このような時価の把握が困難な減価償却資産については、減価償却という税法上の根拠に基づき算定した簿価を時価とすることは、十分な合理性があるものとして認められています。
つまり、「時価の把握が困難な減価償却資産」は、個人事業主と法人間の売買価格は償却後簿価でいいですよ、ということです。
勿論、減価償却を間違えている場合には、その簿価も間違えてしまうので、減価償却が正しくされていることが大前提にはなります。
これを踏まえて、ご質問の回答ですが、建物改装費、工具器具備品、付属設備は簿価で問題ないのですが、商品は、 通常の販売価額の70%以上で引き継ぐというルールがあるので、簿価ではNGです。
また、車両についてはネットで走行距離や型式などでポチッと検索すると時価がでてきますので、その金額で譲渡して下さい。
なお、法人への売却金額は、法人側で経費になりますので、仮に高く売っても損するものでもありません。
消費税は損ですが、法人側で経費のなる金額を考えると微々たる影響だと思います。
あと、最後の質問の、帳簿の付け方ですが役員借入金で問題ありません。
最後に、もしいずれ税理士さんをつけられるご予定があれば、この譲渡金額をいくらにするという今の段階から税理士さんのアドバイスを受けた方がいいと思います。損しないためにも
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- 回答日:2021/09/12
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個人事業から法人への固定資産譲渡において、減価償却後の帳簿価額で売却すること自体は問題ありません。ただし、適正な時価での取引が求められるため、税務調査で問題視される可能性があります。時価が帳簿価額より高い場合、法人側で寄附金認定されるリスクがあり、逆に低い場合は個人側にみなし譲渡益が発生することがあります。役員借入金で処理する方法は適切ですが、金額が大きいため、返済計画を明確にし、長期にわたる場合は税務上の対応を考慮する必要があります。可能であれば、専門家に時価評価を確認してもらうと安心です。
- 回答日:2025/02/16
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個人事業から法人化する際の固定資産の売却処理について
1. 固定資産の売却価格について
個人事業の固定資産を法人へ売却する際、時価(公正な取引価格)での売却が原則です。
そのため、減価償却後の帳簿価格(簿価)でそのまま売却することは、必ずしも適正とは限りません。
問題点:
時価が簿価を大きく上回る場合
→ 時価より低額で売却すると、法人が時価との差額分の利益を得たとみなされ、個人側でみなし贈与課税が発生する可能性あり
時価が簿価を大きく下回る場合
→ 法人側で過大な資産評価となり、減価償却費が過剰になる可能性あり
対応策: ✓ 資産の時価評価を行い、適正な価格で売却したかを確認する
✓ 特に不動産や車両などは、第三者の査定や市場価格を参考にする
2. 売却代金の処理について
**「固定資産の合計金額 ¥3,700,001 を役員借入金として処理」**は、個人が法人に資産を譲渡し、対価を未払いとしたという扱いになります。
問題点:
法人の負債が増え、返済が長期間未払いの場合、税務上問題になる可能性がある
→ 役員借入金が長期間残っていると、法人の「債務免除益」として課税される可能性
役員借入金の利息の取扱い
→ 一定の金額を超える場合、無利息の借入とみなされ、法人側で「受贈益」扱いされる可能性がある
対応策: ✓ 役員借入金を早期に返済する(法人の利益が出たタイミングで返済)
✓ 返済できない場合は、適正な利息を設定し、利息支払いを行う
3. 結論
✓ 固定資産の売却価格は「時価」が原則。簿価で移行した場合、税務上問題になる可能性があるため、時価の確認を推奨
✓ 役員借入金として処理するのは可能だが、長期間未返済だと税務リスクがあるため、早期返済または利息を設定することを推奨
✓ 帳簿処理については、問題ないが、税務リスクを考慮し適切な対応を行うべき
不安があれば、税理士に相談し、税務リスクを最小限に抑えることをおすすめします。
- 回答日:2025/02/09
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