大学生の治験について
現在大学4年生です。
扶養上限が今年から150万円に引き上げられたかと思いますが、治験を受けて負担軽減費を受け取った時、その金額は150万円に含まれるのでしょうか。
負担軽減費が雑所得として20万円を超える時と超えない時の違いも教えていただければ幸いです。
■扶養控除の「150万円の壁」について
親御さんが満額の減税効果を受けられるラインは、大学生のお子さんの年間利益が85万円以下で働くことです。
アルバイトなどの給与については、最低65万円の概算経費(専門用語で「給与所得控除」といいます。)が認められているため、利益が85万円以下になるラインが年収150万円(150万円-65万円=85万円)となり、通称”150万円の壁”と呼ばれています。
そのため、治験を受けて負担軽減費を受け取る場合には、以下の計算式で計算した金額を85万円以下になるよう働く必要があります。
【計算式】
(給与収入-65万円)+(治験収入-治験の実額経費)≦ 85万円
なお、治験の負担軽減費は雑所得のため、給与の概算経費である給与所得控除は適用されません。その反面、実際にかかった経費を控除して利益を計算することができます。
■負担軽減費が20万円を超える場合と超えない場合の違い
確定申告は以下の算式で計算して納付税額が発生する人は必ず行わなければなりません。
【計算式】
(利益-所得控除)×税率-税額控除
ただし、上記の算式で計算して納付税額が出る場合でも、雑所得が20万円以下であれば申告と所得税の納税を省略することができます。
- 回答日:2025/07/05
- この回答が役にたった:2
回答した税理士
税理士法人コンダクト・社会保険労務士法人コンダクト
- 認定アドバイザー
- 東京都
税理士(登録番号: 146389), 公認会計士(登録番号: 37781), 社労士(登録番号: 13210277)
回答者についてくわしく知る結論のポイント
1. 負担軽減費は「雑所得」扱いになる
2. 扶養判定(150万円の壁)では「合計所得金額」が基準
3. 雑所得が20万円を超えるかどうかは「確定申告の要否」に影響する
扶養の150万円上限とは?
2023年以降、「扶養控除等の判定における合計所得金額の上限」が150万円に引き上げられました(特定扶養親族の場合)。
• 合計所得金額とは:「給与所得控除後の所得」「雑所得」「配当所得」などすべてを含む金額
• 給与収入のみなら103万円=所得38万円が目安
• 雑所得や事業所得があると、それも合計に含まれる
治験の「負担軽減費」と扶養の関係
● 税法上の取扱い
• 治験の謝礼(負担軽減費)は、原則として雑所得に分類されます。
• これは「労働の対価」ではなく、「協力に対する謝礼」としての収入だからです。
● 扶養の合計所得判定に含まれるか?
→ 含まれます。
• 治験の負担軽減費も「雑所得」として、扶養控除の判定に使う「合計所得金額」に含まれるため、扶養上限150万円の中にカウントされます。
雑所得20万円超の違いについて
● 雑所得が20万円を超えた場合
• 原則として、確定申告が必要になります。
• 学生でアルバイト等の給与所得があっても、雑所得と合わせて申告対象です。
• 扶養かどうかには関係ありませんが、税務申告の義務が発生するかどうかに影響します。
● 雑所得が20万円以下の場合
• 他に確定申告が不要な人であれば、申告不要制度が適用可能
• ただし、住民税には影響するため、市区町村によっては別途申告を求められるケースあり
- 回答日:2025/07/02
- この回答が役にたった:0