給与未払い分の一括支払いについて
【状況】
- 9月が期末の一人会社
- 昨年12月から役員報酬の支給を開始すると届出を行い、社会保険に加入
- それ以来社会保険料は収めているものの、役員報酬の支払いを行えていない
【質問】
1. 役員報酬をまとめて、9月に支払いをすることは可能でしょうか?
2. 役員報酬の支払いを行わない場合、問題はありますか?
よろしくお願いします。
荒井会計事務所
- 認定アドバイザー
- 群馬県
税理士(登録番号: 63578), 公認会計士(登録番号: 35025), 社労士(登録番号: 13120156), 行政書士(登録番号: 16140764), 中小企業診断士(登録番号: 421403)
はじめまして。
質問者の方の法人は1名の役員ということですので、役員報酬について経費化(損金算入)が認められるのは、定期同額給与、事前確定届出給与のいずれかに該当する場合のみと規定されています。ただし、その金額が不相応に高額なものや隠ぺい仮装経理により支給されるものについては損金算入が認められません(法人税法34(1))。
ご質問の役員報酬の届出は、(事前確定届出給与の場合には想定が異なるため)「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を指しているとの前提で回答いたします。
定期同額給与とは、「その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの」と定義されており、「支給額が同額」と規定されていることから規定の文言だけでみると支給されていることが前提となっています。しかし、設立したての会社の資金繰り上、役員給与を未払い計上や役員借入金への振替を行うことは珍しいことではないことから、下記の2つの方法が考えられます。
●未払いのまま残す(未払計上)
(払えない事情が合理的にある場合には)毎月freee人事労務などから計上した役員報酬の取引を計上し、そのまま未決済の状態にする。この場合、資金繰りが改善したのちに未支給の役員報酬の支払いを会社から行います。
●役員借入金への振替処理
(払えない事情が合理的にある場合には)毎月freee人事労務などから計上した役員報酬の取引を計上し、その支払いをfreee会計上では"役員資金"の口座で決済をつけている状態(=支給はしているが、支給すると資金繰りが立ち行かなくなるためそのまま役員からの借り入れとして処理する)という処理を行う方法。この場合、資金繰りが改善したのちに役員借入金の返済を会社から行います。
過去の否認事例などは平成元年の国税不服審判などでありますが、平成18年の税制改正により要件が変更になっているため、現行の制度においてそのまま適用して解釈するには少し齟齬が生じるように考えています。
もちろん、未払い状態が長期間続いている場合には、払えない状態なのに計上することで恣意的に利益調整を行なっていると指摘される可能性を否定できませんので、少なくとも解消できない見込みであれば翌期以降の役員報酬の減額なども検討に入れ、解消する必要性についても検討いただく必要が出てくると考えられます。
(1)ご質問のケースではすでに12月から支給ということで考えた場合には、源泉所得税の納付特例制度を活用している場合には2021年1月および2021年7月の源泉所得税の納付が行われていない場合には速やかに年末調整および源泉所得税の納付を行なっていただいた上で、9月に未払いまたは役員借入金の返済分をまとめて質問者の方にお支払いいただくことが可能であると考えられます。
(2)未払いのリスクについては上記の解説文の中でも触れておりますので、重複する部分は割愛させていただきますが、未払いの場合には金融機関目線で考えた場合には、未払いは負債、役員借入金は実質的な資本として見られるケースがあるため、金融機関対策のために役員借入金に振替処理を行うという実務が行われるケースがあります。
https://www.zeiken.co.jp/hourei/HHHOU000000/34.html
(法人税法 第34条 役員給与の損金不算入 税務研究会)
- 回答日:2021/09/23
- この回答が役にたった:8
- この回答が役にたった
【全国対応・クラウド特化の総合事務所】熊澤会計事務所(熊澤社会保険労務士事務所)
- 認定アドバイザー
- 愛知県
税理士(登録番号: 148259), 社労士(登録番号: 23020002), 行政書士(登録番号: 16190582)
こんにちは
熊澤会計事務所が回答させていただきます。
この場合
昨年12月からの役員報酬は「社長からの借入金でもって毎月支払っていた」という処理になります。
具体的には、次の仕訳になります。
(現金)✖️✖️✖️ (借入金)✖️✖️✖️ 社長より借入
(現金)✖️✖️✖️ (預り金)✖️✖️✖️ 社長 社会保険料及び源泉税
(役員報酬)✖️✖️✖️ (現金)✖️✖️✖️ 社長 取締役報酬
理由としては、定期同額給与は支給時期判定なので、未払計上も可とされています。
しかし、国税不服審判所の裁決事例(平成元年6月7日裁決)において定期同額給与の一部を未払金計上して未払金の積み上げをしておいて、従業員の賞与と同じタイミングで一気に支払いしてる場合で、定期給与ではなく役員賞与と認定され損金不算入とされてしまった裁決事例があります。
よって、万全を期すため、毎月未払金計上をするより「社長からの借入金でもって毎月支払っていた」という処理が次善であると思います。
ということで、これらを総括すると結論的に次の回答となります。
1. 役員報酬をまとめて、9月に支払いをすることは可能でしょうか?
・・・可能ですが、経理処理をよく考えて処理する必要があります。
2. 役員報酬の支払いを行わない場合、問題はありますか?
・・・上記の経理処理によると「支払っている」ので、役員報酬の支払いを行うかどうかではなく、社長からの借入金を返済するか否かという別の話になるので、社長からの借入金を返すかどうかは任意です。
なお、年一回のスポット契約でも税理士さんに依頼しておけば、申告時期以外でも簡単な相談にはのってくれると思うので、税理士さんを依頼されると宜しいかと思います。
_______________________________
【税務、会計、決算、税務顧問】
熊澤会計事務所
【労務、社会保険、助成金、労務顧問】
熊澤社会保険労務士事務所
【建設業、産廃、運送業など各種許認可】
熊澤行政書士事務所
e-mailアドレス:samurai@kumaz.net
Chatwork ID:kumaz
HP:http://tax-kumazawa.com/
所在:〒451-0042 名古屋市西区那古野1-14-18那古野ビル北館119号
________________________________________________________
- 回答日:2021/09/23
- この回答が役にたった:6
- この回答が役にたった
◇初回完全無料相談〜まずは一度お問合せください〜 ◇スタートアップ税理士法人/社会保険労務士法人/司法書士法人
- 認定アドバイザー
- 東京都
税理士(登録番号: 125734), 社労士(登録番号: 13170062), その他
ご質問ありがとうございます。
役員報酬を経費とするためには、1ヶ月以内の一定期間ごとに支給していることが原則です。
その為、数ヶ月分をまとめて支給したり、未払いのままとされるのは、経費として認められないリスクがあります。
専門家にご相談いただきますと、具体的な対処方法を総合的に判断したり、最適な役員報酬の設定額を検討してくれたりしますので、一度ご依頼いただくのもよいかと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スタートアップ税理士法人
スタートアップ社会保険労務士法人
◆メールでのお問い合わせ
freee_ans@tax-startup.com
(メールは新宿、横浜共通です。)
◆お電話でのお問い合わせ
新宿本社
東京都新宿区新宿 4-3-17 FORECAST 新宿 SOUTH 7 階
Tel :03-6274-8004
横浜支店
神奈川県横浜市西区北幸 2-3-19 成和ビル4F
Tel :045-577-3751
◆チャットワークでのお問い合わせ
チャットワークID
startup99
◆LINEでのお問い合わせ
https://lin.ee/YL0RG6D
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
- 回答日:2021/09/24
- この回答が役にたった:1
- この回答が役にたった
社長のお悩み第1位「売上が上がらない」を「売上が上がる」に改善させる!クラウド会計専門三宅綜合会計事務所
- 認定アドバイザー
- 静岡県
税理士(登録番号: 120363), 公認会計士(登録番号: 16849)
1.源泉税は払っていますか?
単に、資金繰りの関係で、役員報酬/役員資金 として未払にしていたのであれば、きちんと記帳すれば、よいと思います。
9月に払う部分は、役員資金の返済という扱いになるかと思います。
2.支払いを行わないのは、支払って、資金繰りの観点で、会社に貸し付けたって考えであれば、問題ないと思います。
専門家によって見解がわかれると思います。
- 回答日:2021/09/23
- この回答が役にたった:1
- この回答が役にたった