贈与もしくは相続時精算課税制度の利用に関して
- 投稿日:2021/08/30
- 相続・事業承継・M&A
- 回答数:3件
よろしくお願い致します。
父母の離婚により父母共同名義の持家の名義変更手続きを行います。その際父親名義の部分(土地、建物半分)を母か私どちらへ名義変更手続きするかで悩んでおります。母へ変更し贈与とするか、将来的には実家を相続する私(娘)に贈与し、相続時精算課税制度を利用した方がいいのか。
子は私のみで、暦年贈与などはないです。
どちら方が良いのでしょうか?
お忙しい中恐縮ですがよろしくお願い致します。
【全国対応・クラウド特化の総合事務所】熊澤会計事務所(熊澤社会保険労務士事務所)
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税理士(登録番号: 148259), 社労士(登録番号: 23020002), 行政書士(登録番号: 16190582)
こんにちは熊澤会計事務所の熊澤が
回答させて頂きます。
ご質問の
①財産分与として母親へ贈与
②相続時精算課税を使って貴方へ贈与
という二択のどちらを選択すべきか
ですが
この場合には、子があなたのみで、暦年贈与など無いということなので
①の一択かなと思います。
●子があなただけということは、母親の財産は遅かれ早かれ貴方のものになります。
●よって、今ここで貴方名義にするメリットはあまり無いように思います。
●仮に②の方法を選択した場合でも、半分が母親名義である以上は、自身の共有持分を勝手に売ろうにも、共有持分の譲渡では、売値がかなり安くなります。
●仮に、母親が勝手に自身の共有持分を売ろうとする事態も阻止することも出来ません。
●②ですと貴方への名変に贈与を移転原因とする「相続より高めの登録免許税」や「不動産取得税」がかかりますが、①の場合には母親が亡くなった後に貴方が相続により取得しますので、登録免許税も、贈与よりも「安い登録免許税」ですみますし、実質的に夫婦の共有財産の分割と認められるもの贈与(父親から母親)や、母親から貴方への相続の場合には「不動産取得税」もかかりません。
●①の方法であれば暦年贈与で母親の財産を減らすなど、次年度以降に相続対策もできますし、貴方が将来、母親名義の土地建物を相続して自己の居住用にする場合に、貴方が所有不動産に住んでいなければ小規模宅地等の家なき子特例を使うことができる可能性もあります。
●②を選択して、半分を貴方の名義にするメリットは、強いて言えば「名前を半分入れておいて「土地建物全て」を勝手に誰かに売却されないようにする」くらいかなと感じます。
●もう一つのメリットは、「その土地建物が地価の高騰する地域にあって不動産価格が鰻登りだ」という状況にある時くらいかなと思います。
なお、①の場合には、不動産の譲渡税がかかる可能性がありますので、取得価額や譲渡価格含め、事前にしっかりとシュミレーションする必要がありますので、資産税に強い税理士さんにご相談いただくことをお勧めします。
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- 回答日:2021/08/31
- この回答が役にたった:4
ご丁寧にご回答ありがとうございます^ ^
確実に地価が上がるような土地ではないですし、正直将来売却する際も値がつきにくい立地だと認識しておりますので、現時点では母に名義変更を検討したいと思います。
本当にありがとうございます。投稿日:2021/09/01
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荒井会計事務所
- 認定アドバイザー
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税理士(登録番号: 63578), 公認会計士(登録番号: 35025), 社労士(登録番号: 13120156), 行政書士(登録番号: 16140764), 中小企業診断士(登録番号: 421403)
はじめまして。
対象資産等の金額や規模もわかりかねるため一般的な回答となることをご理解ください。
ご質問内容の通り、暦年贈与の活用を前提としない場合その土地の価額が相続時までに大きく上昇していく見込みであれば相続時精算課税制度を利用することにも価値があるかと考えられます。
このような場合には相続時精算課税制度の2,500万円の枠を利用して一旦課税を繰り延べ、将来においてその他の相続財産とともに相続することで価額の上昇分の節税を行うことが可能です。また、相続時に相続財産の価額が基礎控除額以下になると想定される場合には早期に資産を移転する手段として利用することができると考えられます。
一方でこの制度を利用した場合には通常の暦年課税制度に戻すことができなくなる点には注意を要します。今一度暦年贈与を利用した場合と比較したシミュレーションを行ってみてください。
また、いわゆる「小規模宅地等の特例」を利用できなくなることも大きなデメリットです。土地の価額の上昇が見込めない場合、相続時精算課税制度は基本的には節税というよりは課税の繰り延べの性格を有しますが、「小規模宅地等の特例」は土地の評価額を直接的には減額する純粋な節税となる特徴があります。
また離婚時のお母様へ行われた財産関係の精算については、以下の場合を除き、通常は贈与税の対象となりません。
①分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合。
②離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合。
また、上記の価値上下問題、現状はお二人のお子さんはご質問者の方だけとのことですが、今後再婚などにより相続人の条件等も変更になる可能性、相続税法の改正による影響、遺言による影響など将来にわたる部分にかかる不確定要素も大きいため、どの程度どのリスクを許容するのかについても十分な検討をいただく必要があると考えています。
いずれにしましても、各選択肢にメリット・デメリットがありますので上記の事項について検討の上有利な選択肢を選択するため、専門家に仔細とあわせてご相談いただくことをおすすめいたします。
- 回答日:2021/08/31
- この回答が役にたった:2
ご丁寧にご回答いただきましてありがとうございます。いただいた回答への質問で恐縮なのですが、父から母への離婚を伴う名義変更の場合は上記回答の①②の場合でなければ贈与税の対象とならないという認識でよろしいでしょうか?
もしそうなのであれば土地の価値もそこまで上がらない、高くないエリアですのでアドバイスの通り、母への名義変更で検討しようと思います。何度もお忙しい中大変申し訳ございませんがよろしくお願い致します。投稿日:2021/09/01
ご丁寧にありがとうございました!
大変助かりました^ ^投稿日:2021/09/03
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荒井会計事務所
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ご返信ありがとうございます。
追加でいただいたご質問にお答えします。
>父から母への離婚を伴う名義変更の場合は上記回答の①②の場合でなければ贈与税の対象とならないという認識でよろしいでしょうか?
離婚後の財産分与ということで離婚に伴う財産分与によって取得した財産については、贈与により取得した財産とはならないため、元妻への贈与税は課税されません。そのためご認識の通り、(評価額と分与した資産を天秤にかけ)①、②に該当するようなケースでなければ贈与税の対象とならないと考えられます。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01/06.htm
(相基通9-8 国税庁)
- 回答日:2021/09/02
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