借地権に対する課税について
個人から法人に、贈与や遺贈もしくは時価の2分の1未満で譲渡した場合は、個人に所得税が時価課税される取り扱いがあると思います。
一方で、個人から法人に、権利金や相当の地代なく土地を賃貸した場合は、借地権設定に関して、個人に対しては課税は生じないのは何故でしょうか?
■結論
個人から法人への土地の無償貸与では、土地の所有権が移転していないため、みなし譲渡課税は適用されないこととなっています。
■みなし譲渡課税の概要
個人が法人に資産を贈与したり、時価の半額未満で売却した場合、税法上は「時価で売却した」とみなして所得税が課税されます(所得税法第59条)。これを「みなし譲渡課税」と呼びます。
■土地の貸与がみなし譲渡課税されない理由
法律上では、みなし譲渡課税の対象を「譲渡所得の基因となる資産の移転」に限定しており、ご質問者さまの認識通り、借地権等の設定は、この資産の移転に含まれていません(所得税法基本通達59-5)。
これは、贈与や売却の場合には、土地の所有権そのものが完全に法人に移転し、個人の手元から永続的になくなるのに対して、土地貸与の場合には、法人に一定期間の土地の使用権を与えるだけで、土地の所有権そのものは貸主である個人に残ります。
そのため、土地を貸しただけでは、賃貸借契約が終了すれば、土地の使用権は貸主の個人に返還されます。この「将来的に返ってくる」という点が、完全に手放す贈与・売却とは根本的に異なる点です。
このように、借地権の設定は「資産の譲渡」ではなく「使用権の一時的な提供」として法律上は区別しており、権利金を収受していなくても、みなし譲渡課税の対象外となっています。
ご参考にしていただければ幸いです。
- 回答日:2025/06/27
- この回答が役にたった:3
ありがとうございます。
借地権の設定は「使用権の一時金な提供」なので、譲渡課税の対象でなく、個人から法人に譲渡した場合のみなし譲渡の適用もないのですね。
確かに、権利金収入は高額でない限り不動産所得だと思いますので、これと整合した考え方と思ってよいでしょうか?投稿日:2025/06/27
回答した税理士
税理士法人コンダクト・社会保険労務士法人コンダクト
- 認定アドバイザー
- 東京都
税理士(登録番号: 146389), 公認会計士(登録番号: 37781), 社労士(登録番号: 13210277)
回答者についてくわしく知るご返信ありがとうございます!
不動産の譲渡ではなく、不動産を貸している(将来的には戻ってくる)、という整理でいいと思います。
この、「所有権が移転していない」という事実への着眼の仕方は、原則的に譲渡所得で課税しない理屈の着眼点と同じかと思います。
ありがとうございます。
借地権の設定は「使用権の一時金な提供」なので、譲渡課税の対象でなく、個人から法人に譲渡した場合のみなし譲渡の適用もないのですね。
確かに、権利金収入は高額でない限り不動産所得だと思いますので、これと整合した考え方と思ってよいでしょうか?
- 回答日:2025/07/08
- この回答が役にたった:2
回答した税理士
税理士法人コンダクト・社会保険労務士法人コンダクト
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税理士(登録番号: 146389), 公認会計士(登録番号: 37781), 社労士(登録番号: 13210277)
回答者についてくわしく知る個人から法人に対して、無償で賃貸している場合、権利金の認定課税を受ける恐れがあります。そこで、土地の無償返還に関する届出書を税務署に提出する必要があります。
- 回答日:2025/06/23
- この回答が役にたった:0
法人側は認定課税を受けないように無償返還届を出すと思います。
質問させていただいたのは、個人側は借地権を無償で譲渡したとして、所得税が時価課税されるような場合もありますか?(個人から法人への低額譲渡は時価で譲渡したとして課税されると思うからです。)投稿日:2025/06/23